インシデントプロセス法とは、発表者のインシデント(実際の出来事)をもとに、参加者と質疑応答しながら、全員で問題点を洗い出し、その解決策を考えるというものです。
インシデントプロセス法は、リーダー候補・マネジメント人材の採用面接や教育現場などで活用されています。
インシデントを提示する発表者は、従来の事例研究会で準備していたような資料を作成する必要はありません。ただし、参加者からの質問に答えるための準備はしておくとよいでしょう。また、司会を決めておくと、スムーズに進行できます。
発表者は5分程度でインシデントを提示し、参加者と情報を共有します。
参加者は、インシデントが起こった原因や、問題解決に必要となりそうな事柄を質問します。質疑応答の時間は20分程度です。発表者は事実のみを伝え、憶測や自分の主張を回答してはいけません。
参加者は、個別に収集した情報から自分なりの解決策をまとめ、記録用紙に書き出します。
司会者は参加者をグループ分けします。参加者は必ず自分が考えた解決策とその理由を発表し、グループとしての解決策をまとめます。インシデントの発表者は、それぞれの解決策を比較検討します。その際、自分の実際の対応を話してはいけません。
グループごとにまとめた解決策を発表し、ほかのグループの内容と自分達がまとめた内容と比較検討します。インシデントの発表者は自分がとった対応を話し、その後どうなったのかを参加者に明示します。
今回のインシデントから、参加者全員が何を学ぶことができたか、またはどういう取り組みがよいのかなどを振り返ります。
従来の事例研究会は、参加者が受動的で質疑応答が活発に行われないというデメリットがありました。インシデントプロセス法は、参加者全員が発表者のインシデントを共有し、自身も当事者として問題の解決策を考えるため、積極的に事例研究会に参加できます。また、参加者がお互いの意見に耳を傾けて情報を整理するため、コミュニケーション力はもちろん、情報分析力、判断力なども養われます。