行動を変えれば、必然的に意識は変わっていく。継続的に行動を変えていくためには、仕組みづくりを実践する必要がある。このページでは、行動を変える仕組みのつくり方を、4つの流れに沿って紹介していく。
社員の意識が変わると次のようなことが期待できる。
仕事への向き合い方が変わるため、仕事の質が高まっていき成果をあげやすくなる。成果をあげられる社員が増えていけば、他の社員も刺激を受けて「頑張ろう」と思い出す。社内には仕事に対するモチベーションが高い社員が増えて、成果をあげるチームが誕生していく。結果、会社の業績アップにつながると言える。
意識が変わると別の視点から物事を見るようになる。たとえば視野が狭くなっている社員であれば新たな気付きを得て、今まで発想したことがないアイデアを生み出すかもしれない。
さらに、新商品の開発や新事業の立ち上げにも役立つ。今までにはないものを誕生させたい会社にとっても、社員の意識を変えるのは効果的だと言える。
相手の意識を変えることができることが理想だが、現実的なところとして、他者からのアプローチにより、相手の意識を変えることはできない。一時的に意識を変化させたり、モチベーションを上げることはできてもすぐにもとに戻る。スポーツに刺激を受けて、その場でトレーニンを開始しても3日ともたないのと同様だ。
変えるべきなのは意識ではなく行動だ。行動を変えることによって、自然と意識は変わっていく。また、意識が変わらなくても、行動が変わっていればそれで構わないのではないだろうか?
ビジネスの現場で、意識ではなく行動を変えることに注力するべきだ。
行動を変えると言っても、行動を変えるのに意識が必要では元も子もない。行動を変えるためには仕組みを変える必要がある。
何も意識せずとも行動が変わるような仕組みを作るのが、上司や人事の仕事だ。
行動を変える仕組みを作るには、4つのステップに沿って実施することが大切になる。ここでは、どのような手順で設定すべきか紹介する。
目標を設定しなければゴールのない道をひたすら進んでいく状況になる。すると社員は、どの方向を目指せばいいか分からなくなってしまう。社員が行動を変えやすくするために、目標を設定すべきだ。なお目標を設定するときは、以下の内容を意識するといい。
抽象的な内容の目標にすると、目標達成までにやるべきことが分かりづらくなる。そのため、具体的な目標を設定することが大事だ。
測定ができる目標にするのも大切だ。たとえば「売上目標100個」といった形で数量を入れておくと、現時点の進捗状況が分かる。
達成不可能な目標だと意味がない。社員にとって達成することが可能な目標を設定することが大事だ。ただし社員のレベルによって達成可能な目標は異なるため、慎重に決めた方がいい。
経営目標とは、社内で設定している目標のことだ。会社にとって役に立たない目標を設定しても、会社の利益にはならない。したがって、会社の経営目標を実現させる内容にすることが大事だ。
締め切りを設けないと、いつまで経っても目標を達成できない状況になってしまうかもしれない。そのため「〇月〇日に達成する」と言った形で、目標には締め切りを設けることが重要だ。
目標を設定したら、細かく分解して行動に落とし込んでいく。週次or 日次レベルにして落とし込めば管理しやすくなる。とは言っても、内容が多すぎて落とし込めなくなるケースもあるだろう。そのときは、優先順位が高いものから落とし込むといい。すると行動に落とし込みやすくなる。
社員が行動できているか、週次 or 日次で確認する。仕事の様子をチェックしたり、1対1の面談を行ったりなど、様々な方法で確認するといい。
意識していないことに対して指摘しても、状況は改善されない。意識を変えるには、行動に対して叱ったり褒めたりすることが大事だ。なお叱ったり褒めたりするときは、以下のことを意識するといい。
叱るときのポイントは以下の通りだ。
乱暴な言葉を使うと、社員からハラスメントの被害を出される場合がある。相手をおびえさせないためにも、乱暴な言葉を使うのは辞めた方がいい。
自分の言葉によって相手を強引に丸め込もうとすると、社員に反発心が生まれるかもしれない。社員の中に反発心が生まれると、言うことを聞いてくれなくなる。相手を説得するのではなく、納得させる流れに持っていくことが重要だ。
長時間叱り続けると、相手に対して精神的な苦痛を与え続けることになる。叱った後に関係性が悪くなる恐れもあるため、短時間で済ますべきだ。
大勢の前で叱ると、社員に惨めな思いをさせてしまう。叱られたことを見られたのが恥ずかしくなって、会社に行くのが嫌になるかもしれない。そうならないよう、誰もいない所で叱るべきだ。
褒めるときのポイントは以下の通りだ。
何度も同じことを褒めると、社員に「他に褒める所がないのか」と思われてしまう。自分のことをしっかりと見てくれていないと思われて、社員との関係性が悪くなる。よって、同じ内容ばかり褒めてはいけない。
曖昧な言葉を使うと、何に対して褒められているのか分からない。結果、社員から不信感を持たれる原因になってしまう。「〇〇の所が良かった」と言った形で、具体的な言葉で褒めることが大事だ。
ウソを言って褒めると、説得力に欠けてしまう。「本当に褒めてくれているのか」という疑問が生まれてしまい、社員との間に距離ができてしまう恐れがある。ウソが発覚すると、社内での信頼がなくなってしまう。よって、本当のことを言って褒めることが大事だ。
最後に社員の行動を変えるための仕組みを作るときに、大事なポイントを紹介する。
上司から指示されるだけだと行動を変えるのがイメージできず、躊躇してしまう社員も現れてくるだろう。その状態を打破するには、上司が見本を見せることが効果的だ。
変わっていく様を社員に見せれば、「自分たちもやらなければいけない」という気持ちが生まれる。変化を受け入れる体制が出来上がっていくため、社員の行動を変える仕組みとして効果的だ。
1人で行動を変えようと思っても、なかなか難しい。それを解消するには、社員が一丸となって行動する雰囲気をつくることが大事だ。社員間で「やらねばならない」という雰囲気ができて、行動を変えるための仕組みにつながっていく。
行動や仕組みを変えるために、いきなり大きな成果をあげようとすると、対応できずに失敗に終わるケースがある。よってハードルを高くしすぎない方がいい。
その状況を生まないためには、小さなことから始める「スモール・スタート」を意識することが大事だ。失敗したときのダメージも小さくなって、リカバリーしやすい。なおスモール・スタートでは、以下のことを意識するといい。
ゴールを何個も設けると、タスクを管理するのが大変になってしまう。そのため、設定すべき目標は1つに絞った方がいい。
内容が複雑だと取り組むのが大変になるため、シンプルで分かりやすい内容の方がいい。短期間で成果をあげるために大事だ。
スモール・スタートであるため、人によっては途中で物足りなさを感じてしまう。しかし欲をかくと、失敗するリスクが上がる。想定したスケジュール通りに進めることが重要だ。また規模を大きくするときも、段階的に上げていくのが鉄則だ。
進捗状況が分かるように可視化すれば、社員は状況を踏まえて行動を変えてくれる可能性が高くなる。たとえば行動別に進捗状況を可視化しておくと、どのくらい変化したかが管理できる。社員にその内容を見せることで、行動変容のきっかけを与えられるかもしれない。なお可視化するときは、以下のことを意識するといい。
たとえば、「100人のうち60人の行動が変わった」と示せば、半分以上の社員が変化したと分かる。数字が入っていればイメージしやすい。説得力のあるデータを提示するためにも、数字を用いて可視化すべきだ。
進捗状況を可視化するための機能がついたツールを活用するのも大事だ。ツールによっては入力された内容をもとに、グラフや表など数値化されたデータをつくりだすサービスもある。ただし社員の人数や業務内容によって使い勝手が異なるため、比較するのを忘れてはならない。
社員に意識を変えてもらう場合、行動を変えるための仕組みづくりが大事になる。それに取り掛からない限り、社員の意識は変わらない。行動を変えるための仕組みは、以下の流れでつくるといい。
これらの流れを実施すると社員の行動が変わっていくため、必然的に意識を変えることになる。社員に行動させるだけではなく、上司や同僚などがチェックしながら進めていくことで効率的に進めていける。
また行動を変えるための仕組みをつくるには、以下のポイントを抑えることも大事だ。
行動を変える雰囲気が社内に広まれば、必然的に社員も変えていく流れになるはずだ。その雰囲気をつくるには、管理職や上司が率先して行った方がいい。すると他の社員も、参考にしながら行動を変えていくはずだ。
なお、手法として褒め方研修・叱り方研修や、部下育成研修などを実施することも効果的だ。
社内に行動を変える社員が多くいると気付けば、他の社員も行動を変えようとする。地道な積み重ねをしながら、行動と共に意識を変えていただければと思う。