コミュニケーション力を高めるための研修やセミナーは様々だが、「コミュニケーションゲーム」はその中でも効果的なテーマの一つだ。
コミュニケーションゲームとは、ゲームを通して「人と協力すること」や「会話すること・共有すること」の重要性を理解できるものだ。本記事ではコミュニケーションゲームについて詳しく解説していく。
コミュニケーションゲームとは、参加者たちでコミュニケーションをとりながら行うゲームのことだ。チーム対抗戦や参加者全員でミッションを達成させる種目など、様々なゲームが存在する。楽しめるゲームも多いため、気分転換としても役立つだろう。
コミュニケーションゲームのメリットは以下の通りだ。
参加者同士で会話をしながらプレーするゲームが多いため、自然とコミュニケーションが生まれる。社員間の関係性が深まり、業務のときにメンバー間で声を掛け合う文化ができる。よって、孤立する社員を減らすのに役立つ。
話し合いながらゲームを進めるため、相手の価値観や考え方を知れる。そのため、相手が何を考えているか分かる。相手の気持ちが分かれば、相手の立場に立って仕事を進められるため、意思疎通が上手くいく。結果、チームの団結力アップにつながる。
コミュニケーションゲームは、体験しながら学ぶ。繰り返し行うと感覚をつかめる。その結果、自然と知識が定着していく。体を動かしながら知識を身につけたい方にも、コミュニケーションゲームは最適だ。
コミュニケーションゲームは、メンバー間で達成感を味わえる。その体験はゲームが終わってからも、参加者同士の思い出話として話のネタになる。当時の経験をメンバーと話すことが、モチベーションアップになる社員もいる。よってコミュニケーションゲームは、社員のモチベーションや職場の士気を高めるのに役立つ。
コミュニケーションゲームは、いくつかのタイプに分かれる。今回は「作業系ゲーム」と「短時間で行えるゲーム」の2種類に分けて、チームで行えるゲームを紹介していく。
作業系ゲームの特徴は、参加者が作業しながらプレーすることだ。細かい作業の場合もあれば、簡単な作業で終わる場合もある。ここでは5種類のゲームを紹介していく。
マシュマロチャレンジとはパスタでタワーを作っていき、制限時間内にどこまでつなげられるか競うゲームだ。1チーム4人で行うゲームで、世界記録は「99cm」となっている。以下のものを用意すれば行える。
乾燥パスタ20本(ストレートタイプ)
90cmのマスキングテープ1個
ビニールひも1個
マシュマロ1個
はさみ1個
ちなみに積み上げる前には、メンバーたちで話し合う時間が設けられている。そのため、コミュニケーションの機会が生まれやすい。なおマシュマロチャレンジでは、以下の行為が禁止となっている。
タワーを安定させるために、足場を固定してはいけない。用意してある材料のみで、立たせることになっている。
マシュマロを切るなど、加工してはいけない。丸々1個を、タワーの先端に刺して使う形になっている。
レゴブロックで、お題に沿った作品を作っていくゲームもある。たとえば「社員が楽しそうに働いている状況を表す」というテーマであれば、その状況が伝わる作品をレゴブロックで作らせる。参加者たちの感性が試されるため、クリエイティブな面を磨くのに最適だ。
作品が完成したら、メンバー間で感想をシェアし合う。作品に対する自身の想いを伝えたり、様々な人の考え方を聞いたりする時間を作ることで、コミュニケーションの機会が生まれる。参加者たちにとって学びの場となるだろう。
条件プレゼンとは、指定されたお題やテーマの中でプレゼンするゲームだ。たとえば「物語・クリスマス・会社」というテーマであれば、3つの内容を盛り込んだプレゼンをする。
各チームがプレゼンを行い、審査員が一番面白いと思ったチームの勝利だ。なお、条件プレゼンのコツは以下の通りだ。
ストーリーの内容が平凡だと面白さに欠けるため、独創的なストーリーにした方がいい。ただし奇想天外な内容だと、聞き手がついていけなくなる。よって、ユニークでありながら、聞き手が想像しやすいストーリーを作ることが大事だ。
ストーリーの内容が良くても、プレゼンの構成を間違えると面白さが半減する。よって、どのような構成にすれば面白くなるか考えることも大事だ。
ストーリーの内容やプレゼンの構成が良くても、伝え方が悪いと面白さは減る。抑揚の付け方や間の作り方、分かりやすい言葉で伝えるなど意識できる箇所は多い。誰が話すかも、勝負のカギになるだろう。
NASAゲームとは、NASAが作った問題の答えを話し合って予想するゲームだ。チームメンバーで話し合いながら1つの答えを決めるため「コンセンサスゲーム」とも呼ばれている。このゲームは、以下の流れで進めていく。
出題されたお題に対して、各個人で答えを考えていく。制限時間は15分となっており、誰にも相談してはいけない。
次にメンバーたちで話し合いながら答えを決めていく。このときに、多数決で答えを決めるのは禁止となっている。全てのメンバーが納得した状態で答えを決める。制限時間は20分と決まっているため、スピーディーに話し合いを進めなければならない。
全チームの解答が出そろったら、答えが発表される。正解したチーム(正解者がいない場合は正解に近いチーム)の勝利だ。
問題を解きながら脱出を目指す、脱出ゲームもある。用意された問題を解いて制限時間内にゴールを目指すゲームだ。こちらもメンバーたちで話し合いながら答えを導いていく。様々な場所で行われ、一時期話題となったゲームだ。屋外や社内、オンラインなどで行えるため、会社の事情に合わせて使い分けるといいだろう。
短時間で行えるゲームとして、以下のものがある。
ヘリウムリングとは6~10人の指で支えているフラフープを、誰一人離さずに地面に下ろすゲームだ。フラフープを持ち上げた状態から、5分以内に下ろすことができれば成功だ。参加者たちが同じタイミングで下ろす必要があるため、阿吽の呼吸が必要になる。
ちなみに参加者が増えるほどゲームの難易度は上がっていくため、慣れないうちは少ない人数でプレーするといいだろう。
ペアを組んで、お互いが質問をしながら共通点を探すゲームもある。,制限時間内に多くの共通点を出せたペアの勝利だ。共通点探しゲームでは、以下のポイントを抑えると共通点が出やすくなる。
質問をするときは、共通点が生まれやすい質問をするといい。兄弟の人数や血液型など、共通点の確率が高い質問を行うことが大事だ。
相手が答えるまでに時間がかかると質問数が減る。そのため、共通点を見つけられる数も減ってしまう。それを防ぐには、相手が瞬時に答えられる質問をすることが大事だ。制限時間内に多くの質問ができるため、より多くの共通点を見つけやすくなる。
お題を伝えていく「伝言ゲーム」も、コミュニケーションゲームの代表例だ。チームメンバーたちは横一列に並ぶ。その後、先頭の方から順番に隣の方へお題を伝えていく。アンカーの方が、正解すれば勝利となる。なお、伝言ゲームのコツは以下の通りだ。
ゆっくり伝えることを意識すべきだ。早口だと誤った内容の言葉が伝わる。急がず慌てず伝えることが大事だ。
自分の思い込みを取っ払って聞くことが大事だ。「多分〇〇だろう」という思い込みは、その後の伝達ミスにつながる。したがって、相手が言っている言葉を理解しようとする気持ちが大事だ。
コミュニケーションゲーム実施時には注意点がある。最後に3つの注意点を紹介する。
コミュニケーションゲームは、種類によって期待できる効果が異なる。したがって、目的に合わせてゲームを選ぶことが大事だ。
プレゼン能力を鍛えたいのであれば「条件プレゼン」、阿吽の呼吸を合わせるチームを目指すのであれば「ヘリウムリング」というように、目的に応じてゲームを選ぶことが大事だ。
ゲーム終了後は振り返りを行った方が良い。振り返ることで、自身の仕事に活かせるものを見つけやすくなるからだ。
振り返りの時間を設ければ、ゲームで得た知識をどのように落とし込むか考える時間ができる。自分がやるべきことを「言語化」する時間にもなるため、何をすべきか明確になりやすい。その結果、業務に活かすのが楽になる。
なお振り返りでは、以下のことに気を付けると良い。
失敗したことを引きずるとネガティブな発想が生まれやすくなる。すると振り返りの時間が暗くなり、後味が悪くなってしまう。二度とゲームをしたくないと感じる社員も現れるかもしれない。その状況を作らないためにも、ゲームで失敗したことを引きずるのはNGだ。
振り返りはゲームの感想だけではなく、それをもとに今後どうするかが重要だ。よって、未来に焦点をあてながら考えることを意識させた方が良い。自身の将来像をイメージさせた上で振り返させると、スムーズに進むだろう。
定期的にゲームを行えば、どのくらい成長したかが分かる。繰り返し行えばゲームのコツもつかめてきて、コミュニケーションをとるのも楽しくなってくる。さらに得られる知識もゲームをこなすたびに変わるため、定期的に行うべきだ。ゲームの種類によって頻度を変えると、運用しやすくなるだろう。
コミュニケーションゲームは、社員達にコミュニケーション能力を身につけてもらうときに効果的な手段だと言える。このゲームを行うと、以下のメリットが期待できる。
上記の効果が期待でき、社員達の戦力アップにつながっていく。社員間の団結力や連携力などチームワークを強化させたい企業にとって、コミュニケーションゲームは効果的だ。
しかしコミュニケーションゲームと言っても、様々な種類がある。たとえば、以下のゲームが存在する。
従業員数や確保できる時間、目的によって使い分けるといいだろう。コミュニケーションゲームを導入すれば、社員間での会話が増えて社内の業務効率が上がる。内定者や第二新卒に対してビジネスゲーム研修 コミュニケーション強化編や、第二新卒研修に取り入れることもおすすめだ。
また、そもそものコミュニケーション力について基礎から学ばせたい場合は、コミュニケーション研修などを実施することも良いだろう。新人や若手社員などが該当する。
コミュニケーション力の強化は会社の業績アップにつながる。会社を活気づけるためにも、コミュニケーションゲームを定期的に行っていただきたいと思う。