新入社員の育成担当だったり、先輩社員だったりすれば、新入社員に対して仕事のアドバイスをする機会も多いはずだ。アドバイスをして行動を改善して成長したり、反対に伸び悩んでしまう新人もいる。
このページでは新入社員へアドバイスするときの3ステップを解説しながら、ポイントや注意点・事例を紹介する。
目次
先輩社員の視点からアドバイスしても、新入社員に理解してもらうのは難しい。なぜなら立場が異なるためだ。
数年間働いている社員であれば、会社の状況や業務内容を把握しているが、新入社員は社内の様子を何も把握できていない。よってアドバイスをするときは新入社員の立場や気持ちになることが大切だ。例えば、新入社員の中には以下のように、ネガティブな考えを持つ方もいる。
先輩社員とのコミュニケーションをとるのが分からない状況を指す。現代ではチャットでのやり取りが多く、面と向かって話せない新入社員もいるようだ。
入社したばかりで何をすれば分からず、指示待ち人間になっている状況を指す。社内の事情や業務の内容が分かっていないため起こってしまう。
先輩社員から怒られないか不安になっている状況を指す。怒られたくないという気持ちが先行し、積極的な行動や新しい挑戦を躊躇ってしまうケースもあるようだ。
「そんなことを悩んでいるのか?」と感じるかもしれないが、新入社員にアドバイスをするためには、そういった「自分にとっての普通」をいかにして減らしていくかが大切になる。
ここでは新入社員へアドバイスするときの流れを、3つのステップに分けて紹介する。
新入社員の性格や特徴・スキルを見極めて、アドバイスの仕方を決める所からスタートだ。口調の強弱や言葉の言い回し方など、新入社員によって使い分けた方がいい。
アドバイスの仕方によっては、実践を通じて業務で役立つスキルを教育する「OJT」や、新入社員の悩みや相談を聞いて助言をする「メンター制度」を取り入れてもいいだろう。OJTを導入する場合には、ただの「背中を見て学べ」から脱却する必要があるのは注記しておく。
相談相手がいるのは新入社員にとって、安心感となる場合がある。さらに先輩社員と関わる機会も増えるためおすすめだ。あなたが人事部やそれらの制度を導入できる立場になくとも、先輩後輩の立場だけで十分にこれらは狭い領域で導入可能だ。
アドバイスをするときは、以下のことを伝えよう。
アドバイスをしても、他人事として聞き流されることがある。それを防ぐには理由や目的を話して、自分事の話だと認識させることが大事だ。業務の全体像を用いて話すといいだろう。
業務に関するアドバイスであれば、部署全体の業務を説明しながら話すイメージだ。他の業務との関係性を伝えれば、自分が任されている業務の位置づけが分かる。新入社員も聞く耳を持ってくれるはずだ。
人は曖昧なアドバイスでは、なかなか成長しない。「もう少し、頑張らないと数年後厳しくなると思うよ」というアドバイスは何の効果もない。大切なのは具体的な行動に対するアドバイスだ。
「営業電話を1日10件だけ増やしてみようか」「企画の質はなかなか上がらないから、一日一件かならず考えて量でまずは勝負しよう」「仕事の速度が上がらないのはPCの操作速度がまずは原因なので、タイミングでこの速度まで出せるように練習するところからはじめよう」などのアドバイスが求められる。
これであれば、人は改善が可能だからだ。
褒めるのは良いが、叱るときには注意が必要だ。キャラクター(性格や人となり)についての言及は避けるべきだ。「だからお前は駄目なんだ」というような言葉は、相手の自尊心を傷つけるだけで、それは改善につながったりしない。
あくまでも上記のように「行動」だけに焦点を絞って伝えるべきだ。
期待していることを伝えると「期待されているから頑張ろう」、「成果を挙げられるように動こう」という想いを持ってくれる。新入社員のモチベーションを高めて、やる気を出すために大事だ。
最大のポイントは「行動に焦点を当てる」だが、新入社員へアドバイスするときのポイントを他にも紹介しておこう。。
アドバイスしながらお手本を見せれば、新入社員は自分がやるべき業務をイメージしやすい。実務に関することであれば、先輩社員が現場で実践しながらアドバイスすると、新入社員の理解度が上がるだろう。お手本を一通り見せた後は、質問や不明点がないかも聞くといいだろう。
ただし自分の実力を見せつけるようなお手本だと、新入社員からの印象が悪くなるため要注意だ。
アドバイスをするときは聞き手側に回って、新入社員の意見や考えをたくさん聞こう。相手の考えを知れば何を伝えるべきか絞りやすくなるため、的確なアドバイスをするのに効果的だ。
アドバイスは相手をサポートするための手段であって、自分の思い通りに動かすために使ってはいけない。相手をコントロールしようとすると、コミュニケーションをとる際に不具合が生じる。相手の悩みを解決するための手段として、アドバイスするのがベストだ。
新入社員が理解できる内容を伝えるのも、アドバイスのコツだ。以下のことに気を付けよう。
専門用語や横文字を多用すると、新入社員に理解してもらえない場合がある。たとえば「ニュートラル」であれば「中立的」、「インフィニティ」であれば「無限」と伝えるイメージだ。一般的に知られている言葉で、話す習慣をつけておこう。
早口で話すとアドバイスの内容が聞き取れなかったり理解できなかったりして、新入社員が混乱する原因になってしまう。したがって、相手のテンポに合わせて話すことが大事だ。
本音の部分を出せば、新入社員から信用してもらいやすくなる。結果、アドバイスを聞き入れてもらいやすくなる。建前ばかりのアドバイスは見透かされ、聞く耳を持ってもらえなくなる恐れがあるため気を付けよう。
新入社員へアドバイスするときは、注意点もある。ここでは3つ紹介する。
新入社員の意見を全否定してはいけない。新入社員の自信を削いだり、ネガティブな思考を持つようになったりする恐れがあるからだ。メンタルの低下は仕事の質の低下にもつながるため、一旦新入社員の意見を受け入れることが重要だ。
先輩風を吹かせて上から目線でアドバイスをすると、新入社員からの印象が悪くなってしまうためNGだ。新入社員に嫌われるとアドバイスを聞いてもらえなくなったり、社内で悪い評判が広まったりする。自分を守る意味でも先輩風を吹かさずに、アドバイスすることが大事だ。
新入社員から聞かれてないのに、アドバイスをたくさんするのも良くない。アドバイスの量が多いと、キャパオーバーになって混乱する恐れがある。
たくさんインプットしたからと言って、全ての内容を完璧にできるわけではない。そのため新入社員が、アドバイスを欲してきたときに話すのが大事だ。
最後に新入社員の悩み別に、アドバイスの事例を紹介する。
職場での過ごし方で悩んでいる新入社員へのアドバイス事例は、以下の通りだ。
新入社員は任せてもらえる業務が少なく、時間を持て余すことがある。自分で探す習慣を作っておけば、相手が何を欲しているか気付きやすくなる。結果、気が利く人間だと思われて、社会人として得することも増えるだろう。
相手が何を求めているか考えながら、業務をこなさなければいけない場面も多々ある。たとえば取引先に対してアンテナを張り、何をすると喜んでもらえるか把握しておけば、取引を優位に進められるかもしれない。ビジネスを行う上で大事なことだ。
具体的に行動に落とし込めるとより良い。
次にプレッシャーを感じやすくて悩んでいる、新入社員へのアドバイス事例を紹介する。
不安な気持ちを抱えていると、仕事のミスを増やす恐れがある。さらに他の社員へ気を遣わせてしまい、部署内に暗い空気が漂う原因になる。それを防ぐためにも、自信を持って明るい雰囲気で仕事をすべきだ。
これだけだと精神論になるため、具体的に伝える。例えばため息をつくことが癖になっている人であれば、「まずため息をやめるところから開始してみよう」でもいい。
体調管理を怠ると心身ともに不安定な状態になって、余計プレッシャーを感じてしまう恐れがある。早寝早起き・運動・正しい食生活など、規則正しい生活を送ると、心身ともに健やかな状態を作りやすくなる。不規則な生活習慣から脱することが大事だ。
仕事の進め方で悩んでいる、新入社員へのアドバイス事例も紹介する。
仕事を円滑に進めるには、優先順位をつけよう。先順位を決めるときは、どの業務が重要か見極めることが大切だ。ちなみに優先順位をつけるときは、緊急度と重要性を考えながら分けるといいだろう。
タスクを上記のいずれかに当てはめていき、その中で細分化すれば優先順位を決めやすくなるだろう。
期限を設定すれば、その日までに仕事を終わらせようとスピードアップする効果が期待できる。本来の締め切り日よりも、前倒しで設定した方がいい。
たとえば本来の締め切り日が8月1日18時の場合、7月31日の18時に設定するといいだろう。前倒しで作業を終わらせるクセがついて、仕事を進めやすくなるはずだ。
プライベートで嫌なことがあったとしても、仕事に持ち込んではいけない。職場に引きずってしまうと、業務の流れが悪くなって関係者に迷惑をかける恐れがあるためだ。その状況を作らないためにも、ONとOFFの切り替えは大切だ。
最後に、コミュニケーションに関する悩みを持つ新入社員へのアドバイス事例を紹介する。
新入社員は自分から挨拶をするのが社会のルールだ。元気よく挨拶をすれば、周囲に対して良い印象を与えるだろう。
新入社員に分からないことが多いのは当たり前だ。重要なのは積極的に質問することだ。分からない箇所を放置してしまうと、業務のときに困ってしまう恐れがある。「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」を意識させたいときに、効果的なアドバイスと言えるだろう。
間違いを認めて素直に謝るのも、円滑なコミュニケーションをとる秘訣だ。自分が原因であるにも関わらず、謝罪をしないと人間関係がこじれてしまう。どんな人間にも間違いを起こす確率があるため、謝罪することを覚えておくのは大切だ。
相手の話を途中までしか聞かない新入社員もいる。早合点の原因となり、相手が求めている内容と違うことを行ったりチーム内での連携がとれなかったりすることが起きる。次のアクションを間違えてしまい、人間関係をこじらせないためにも最後まで話を聞くべきだ。
アドバイスの仕方を間違えると悪い印象を与えるため、新入社員の視点に立つことが重要だ。ちなみにアドバイスの流れは以下の通りだ。
何よりも重要なのは「行動に焦点を当てること」だ。それ以外は、この記事では蛇足と言ってもいいくらいだ。行動に焦点を当ててアドバイスをする意識を持つようにしよう。
なお、伝える力研修などを受けることで、アドバイスが受け入れてもらいやすくなる。ぜひ検討してほしい。