プレゼンテーションは得意だろうか?
プレゼンテーションスキルは様々な場面で利用されるビジネスの基本スキルだ。どんな職種であろうと、人前で何かを伝えることがまったくないということはほとんどない。
例えば、営業であれば、プレゼンテーションが上手くいけば、自社商品の購入につながる。管理部であれば社内プレゼンの機会は多いだろうし、エンジニアであっても自社やクライアント、ユーザに対して発信をする機会は年々増えている。
本記事では、プレゼンテーションの手順やポイントを中心に解説する。
プレゼンテーションとは、自身が持っている情報を相手へ与える「情報伝達」のことだ。元々はアメリカで使われ始めたが、現在では世界各国で使われている。プレゼンテーションが上達すれば、相手に興味を持ってもらえる。自身のイメージ通りに仕事を進める意味でも、プレゼンテーション能力は身につけた方が良い。
プレゼンテーションの目的は、自分の意見を伝えるためではない。聞き手の行動変容を促すことが目的だ。プレゼンテーションを聴かせることで自分のライフスタイルを見直してもらい、生活に変化を与える。その結果、商品の購入やサービスの利用につながっていく。
プレゼンテーションは「Plot(構想)、Preparation(準備)、Performance(実施)」の順番で行う。これらの頭文字をとって「プレゼンテーションの3P」と呼ばれている。ここでは各ステップにおいて、注意すべき内容を紹介していく。
Plotではプレゼンテーションの目的や聞き手の対象者を決めながら、構想を練っていく。構想を練らないと、イメージとかけ離れたプレゼンテーションになる。Plotでは、以下のことに注意すると良い。
構想を練るときは、聞き手のニーズとプレゼンテーションの目的を考えないと、実施しても失敗に終わってしまう。よってWHOとWHYを意識することを忘れてはならない。
目的を明確にする理由は、プレゼンテーションを行っている意図をハッキリさせるためだ。目的を決めずに構想を練ると内容がボンヤリしてしまい、聞き手の心に響かないプレゼンテーションになる。
自己満足で構想を練っても、相手が求めている内容とマッチするとは限らない。ニーズのない構想をつくっても、聞き手に興味を持ってもらうのは難しい。
相手のニーズを考えるときは、参加対象者の年代・職業などを把握し、その方々が何に対して興味を持っているかイメージすることが大事だ。
Preparationではプレゼンテーションの資料の作成やリハーサル、練習などをする。以下のことに着目しながらストーリーをつくると良い。
構想の内容が同じだったとしても、話す順番によって伝わり方は変わる。以下の順番で話を組み立てると良い。
序論とはプレゼンテーションの導入部分のことを指す。プレゼンテーションのテーマや、その内容を話すことになった経緯などを話す。いわゆる「つかみ」の部分だ。この段階で顧客に興味を持ってもらえれば、最後まで聞いてくれる可能性が高くなる。
本論とは、プレゼンテーションの中で最も伝えたい内容を話すパートのことだ。たとえば、自社製品のアピールをメインにする場合は、自社製品の特長や使うメリットなど、製品に関する内容を伝えていく。
プレゼンテーションで伝えた内容を、まとめたり締めたりするパートを指す。序論や本論で話した内容の一部を再度話して、結論付ける。
フレームワークを用いると、流れが決まっているため資料が作成しやすい。代表的なフレームワークとして、以下のものが挙げられる。
PREP法では「Point→Reason→Example→Point」の順番で作成していく。流れは以下の通りだ。
序盤で結論のみを伝えることで、聞き手に疑問を持たせる。その状態で理由や根拠を進めることで、聞き手は納得していく。プレゼンテーションが終わった後に「腑に落ちる」状態をつくりやすいため便利だ。
SDS法とは「Summary→Details→Summary」の順番で考える手法のことだ。流れは以下の通りだ。
短時間のプレゼンテーションに向いており、必要箇所だけかいつまんで伝えるときに活用できる。
QC法とは、問題解決を進めていく中で使われる手法のことだ。下記のことを意識しながら構成をつくっていく。
問題解決型のプレゼンテーションを考えているときは、この手法を使って構成を組むといいだろう。
いくら内容が詰まった話をしても、見栄えが悪いと聞き手の満足度が下がる。よって、スライドのつくり方にも気を付けるべきだ。質の高いスライドをつくりたければ、下記のことを意識すると良い。
適当なタイトルをつけると、聞き手の注目を集められず、最後まで聞いてもらえない。最後まで聞く価値があると感じるタイトルを付けるべきだ。
文量が多すぎると、聞き手はスライドを見るだけで疲れてしまう。よって、文字を盛り込みすぎてはいけない。スライドには概要を載せる程度にすべきだ。
聞き手の目線を意識したスライドをつくることも大事だ。内容を目で追いやすいスライドをつくれば、聞き手が理解するまでの速度は上がる。Zの法則やFの法則など、様々な法則があるため、活用しながら作成するといいだろう。
背景や文字など様々な箇所の色を使い分けることで、スライドの雰囲気は変わる。たとえば背景をグレーや紺色にすると、落ち着いた雰囲気のスライドが出来上がる。また強調したい言葉があるときは、赤などの派手な色を使うと目立ちやすい。
リハーサルでは本番に近い環境で行って、修正箇所がないかチェックする。最低でも、下記の内容は確認すべきだ。
機材のトラブルがないかチェックする。マイクやプロジェクタなど、正常に使えるかチェックしておくことで、本番当日に問題なく使える。
声の聞こえ方を確認するのも大切だ。広い会場だと、席の後ろまで声が届かない場合もある。席の最後部へ行って、声が届くか確認すると良いだろう。
字が小さかったり、陽が差し込んだりして見えづらい場合もある。その状態にならないよう、どの場所に座ってもスライドが見えるか確認すべきだ。
プレゼンテーションの実施時は、以下のことに気を付けると良い。
アイスブレイクとは、場の緊張をほぐすために行われる手法のことだ。場の緊張感がほぐれると聞き手はリラックス状態になり、プレゼンテーションしやすい環境ができる。ミニゲームを行ったり参加者同士で自己紹介し合ったりなど、様々な種類がある。状況に合わせて使い分けるといいだろう。
プレゼンテーションの実施時は、話し方も注意すべきだ。なぜなら、聞きやすさに影響を与えるからだ。以下のことに注意しながら話すと良い。
話すスピードが速いと、聞き手がついていけなくなる恐れがある。すると聴くのを放棄する方が増えだし、最後まで真剣に聞いてくれる方が減ってしまう。聴き続けるのが苦痛にならないためにも、ゆっくり話すべきだ。
とは言え話すスピードが遅すぎると、時間がオーバーする。そのためスライドの内容や終了までの時間を見ながら、臨機応変に調整することも忘れてはならない。
抽象的な話だと、相手に分かってもらえない。聞き手に理解してもらうためにも、具体的な話をすることが大事だ。
プレゼンテーション中は、体の動かし方を意識すると良い。体の動かし方によって、相手への伝わり方が変わるからだ。たとえば、以下のことを意識すると良い。
プレゼンテーションでは、ジェスチャーを交えると良い。指で数を表したり、手で製品の大きさを示したり、手のひらを真上に向けたりなど、様々な種類のジェスチャーがある。
アイコンタクトとは、相手の目を見ることだ。アイコンタクトをとりながらプレゼンテーションをすれば、聞き手は自分に話してもらえていると感じる。それが、相手の心に響くプレゼンテーションを生み出す。
自信のある表情で話すと、聞き手に安心感が生まれて話を聴いてもらえる。逆に不安な表情で話すと、いくら良い内容だとしても疑いの目を持たれてしまう。聞き手に悪い印象を与えないためにも意識すべきだ。
最後にプレゼンテーションを実施時に意識すべき点を紹介する。
実施前には他の方にチェックしてもらった方が良い。自分では満足できても、第三者からすると指摘だらけの場合があるからだ。自分よがりにならないよう、他の方に確認してもらった方が良い。
プレゼンテーションは、自分が好きなことを伝える場ではない。聞き手が興味を持たなければ意味がない。よって、聞き手の立場を無視して話すのは厳禁だ。聞き手が興味を持ちそうな話題を考えながら伝えることが大事だ。
プレゼンテーションを実施するときは登壇者が話すだけではなく、質疑応答の時間をつくることも大事だ。プレゼンテーションの内容に疑問を持つ聞き手もいるからだ。
仮に質疑応答の時間を設けていない状況だと、疑問点が解決されない。その結果、聞き手の購買意欲を低下させてしまう。しかし質疑応答の時間を設ければ、聞き手が抱えている疑問を解消できる。それが、製品の購入者を増やすことにつながっていく。
質疑応答をスムーズに行いたいのであれば、事前に想定される質問と回答を考えておくことが大事だ。質問に答えられない状況は、自社の信頼ダウンにつながる。その状態をつくらないためにも行うべきだ。
プレゼンテーションは様々な企業で使われる。プレゼンテーションは、Plot(計画)、Preparation(準備)、Performance(実施)の順番で行う。これをプレゼンテーションの「3P」と呼ぶ。
いきなりプレゼンテーションを実施すると、本番でトラブルに遭遇しやすくなる。その事態を回避するためにも、計画と準備にも時間を割いた方がいい。なお、それぞれの注意点は以下の通りだ。
Plot(計画)の注意点
Preparation(準備)の注意点
Performance(実施)の注意点
上記の内容に注意しながら進めれば、プレゼンテーションの成功率がアップする。その他にプレゼンテーションの実施におけるポイントもあるため紹介する。
これらのポイントを抑えれば、プレゼンテーションの質は高くなる。質が高くなれば聞き手を満足させることができて、価値観や行動を変えるきっかけになっていく。ぜひプレゼンテーションの3Pを意識しながら、聞き手が興味を持つものにしていただければと思う。
なお、本記事を作成したリスキルではプレゼンテーション研修や、パワーポイントプレゼンテーション研修も開催している。ぜひ参考にしてほしい。