マネージャーは、チームの業務を円滑に進めていく上でいなくてはならない存在だ。現場で活躍するには様々なマネジメント能力を身につける必要がある。しかし、どんな能力を身につければいいのだろうか。
そこで今回はマネージャーの基本的な5つの行動規範・心構えを紹介したあとで、必要となる3つのマネジメント能力について紹介する。
そもそもマネージャーとは組織の成果に責任を持って、マネジメントを行う人を指す。また、マネジメントはチームとして成果が上がるようにチームを機能させることだ。
基本的にはプレイヤーを経験してからマネージャーになるため、現場仕事で必要なスキルを身につけている人は多い。マネージャーの中には、現場仕事など管理業務以外に力を注ぐケースもある。よってひと口にマネージャーと言っても、様々な役割があるのだ。
マネージャーと聞いて、リーダーを思い浮かべる人もいるかもしれないが、どちらが重要というものではない。マネジメントはリーダーに求められる役割で、リーダーシップとはビジネスマンの誰もが持つべき行動方針のことだ。いくつか違いを紹介すると、マネージャーは部下が的確な行動を取れるように指導する一方、リーダーは自ら的確な行動をとる。マネージャーはビジョンの実現のために動く一方、リーダーはビジョンをかかげる、などがある。
ただ、いずれも完全に違う概念ではなく、それぞれがそれぞれを包括しているのだ。
まずは、マネージャーの基本的な行動規範・心構えを5つ紹介する。
多くの場合、マネージャーが初めにルールを破りがちだ。自分で決めたルールだからこそ起きることだ。決めた人には誰も指摘ができないため、守れていないことに気付きづらい。自分が決めて守れていないルールはないか改めて確認をする必要がある。
上から命令するだけでは、他のメンバーは積極的に行動を起こさない。口で言ってばかりで、自ら行動しないことは避けるべきだ。
マネージャーはチームにおいて新しい知識を広げ、業務に革新をもたらす立場であるべきだ。成長し続けることは、個の確立にもつながる。自らが学んだことを自分のものだけにせず、積極的にチームに導入し、活性化を図るべきだ。
自身が考える以外でも、会社の他組織から新しい情報が入ってくることがある。マネージャーはそれらに率先して協力し、自らを実験台にするのがいい。新しいものが苦手で自らは手を出そうとしないと、周りも発信したことに対して積極的な姿勢を見せることはない。
マネージャーは勢いだけではなく納得感のある説明が求められている。論理的な説明の基本は身につけておく必要がある。
マネージャーは、これまで説明した5つの基本的な業務のみを知っていればいいわけではない。マネージャーの主な仕事は名前の通り、マネジメントだ。会社の目標をチームで達成するため、マネジメント能力は必須である。ここでは主要な3つのマネジメント能力について紹介する。
成果を出す優秀なチームにはいくつかの共通点がある。その中でも最も重要なのが、チームの目的が明確であり、それがメンバー一人ひとりに浸透していることだ。 目的は企業や部門におけるゴール設定や存在意義を指す。目的がなければ個々人がバラバラの方向で走ってしまい、チームとしての働きが発揮されない。
また、目的は判断の主軸ともなる。アクションや問題に対し、「目的達成に沿っているのか」を判断することで、正しい意思決定が早くなる。
そして、マネージャーは目的を達成するために、具体的にすべきこと、つまり目標をチームとして具体的に設定する必要がある。組織の目的、つまりビジョンやミッションを自身の部門でどのように目標として据えて成果につなげていくかを考えるということだ。チームとして設定をした後は、部下一人ひとりが目標を自分ごととして捉え、行動に移せるような個人目標を設定する。設定をしたあとは、わかりやすく説明をし、部下が目標を達成できるようサポートをする必要がある。
数値化できることを目標に設定をすると、取り組みやすくなる。
部下の目標設定ができた後は、PDCAを回していく必要がある。PDCAが表す、計画→実行→検証→改善という流れは、社会人にとって「当たり前」の仕事の仕方のように思えるができていないチームが多い。一番多いのは検証をしていないケースだ。自分達がやったことは成功、失敗に関係なく、振り返らなければならないという意志を持ち、その機会や仕組みを設けることが重要だ。
マネージャーとしてチェックした内容が目標に届かないようであれば、改善する必要がある。KPIや計画・行動を見直し、これをどうにかして改善できないかを全力で考え、具体的な改善案を考えなければならない。
また、業務をマネジメントしていく上で、もう一つ重要なことがリスクマネジメントだ。「事前に測定できるリスク」を洗い出し、対応策や予防策を考え、チームとしてリスクが発生する前に予防をしなければならない。
「人のマネジメント」とは、部下とのコミュニケーションや育成のことだ。持つべき意識は以下2つだ。
拡張的知能観とは、能力は経験や努力を重ねることで高めることができるという考え方だ。人は変わることができる、成長できると考えるため、上手くいかない場合も「努力不足だった」「戦略や計画を間違えた」と行動を理由にした指導ができる。初めからできないと思っていると、それは無意識のうちに態度や発言にあらわれ、部下に伝わる可能性が高い。
減点主義では部下と上手く接することができない。できて当たり前という考えがあるため、部下のモチベーションを上げるような声がけなどもない。部下側も、いつのまにか上司に叱られないことが目的になり、部下自身も気づかないうちにストレスを感じてしまうようになってしまう。ゼロ点を起点として、日々、部下のプラス面を見つけて加点していくという流れで、部下と接すべきだ。
これらの意識を持ち、チーム内で傾聴と質問を上手に使う必要がある。
ここまでマネージャーの基本的な業務と必要なマネジメント能力について説明をしてきたが、ひと口にマネージャーと言っても、様々な種類が存在する。そのため、立ち位置によって、必要となるマネジメント能力の割合は変わる。そこで最後にマネージャーの種類を6つ紹介する。
マネージャー職の中でも、上位に位置する管理職を指す。GMとも呼ばれており、配下の部署における決定権を持つ。経営者の立ち位置に近いマネージャーであるため、経営的視点が必要だ。
さらに現場の業務を上手く回す仕組みを作るのも仕事だ。経営と実務の両方に携わるため、多くの知識が必要とされる。
中間管理職にあたるマネージャーで、部長や次長などが該当する。経営陣と部下を結びつける仲介役として業務に携わる。異なる役職の従業員に挟まれて、お互いの言い分を聞く場面もあるため、クッション材としての役割も必要だ。
さらに部下の育成にも関わるため、コミュニケーション能力は必須だ。部下の気持ちを理解しつつ、チームで設定した目標を達成できるように導けるかが大切になる。
現場の意思決定権を持つ管理職を指し、大きく2つに分かれる。
部下に直接指導するマネージャーのことで、基本的に部長や課長職クラスが就く。直属の部下とのつながりは濃いものの、それ以外のつながりは薄い。
ファーストラインマネージャーを統括し、複数のプロジェクトを管理するマネージャーのことだ。ファーストラインマネージャーと比べて、広い視野で物事を見ることが求められる。経営陣や現場の従業員など、色々な立場の方と接するため、多方面への気遣いが必要となる。
プロジェクトの準備から立ち上げ、運用など全体の管理を行うマネージャーのことで、現場監督の立ち位置が近い。プロジェクトのクオリティにおいて全責任を持っているため、様々なことを正しく意思決定するスキルが必要となる。
しかも数年間かけてプロジェクトを管理するケースもあるため、長期スパンで物事を進める力も求められる。1つの作業が遅れただけで、全ての作業に支障をもたらす恐れもあるため、的確にタスクを管理するスキルも必要だ。
決まったエリア内にある店舗を管理するマネージャーのことだ。各店舗の売上や利益・人材などを管理し、数字が良くなっていく仕組みを考えていく。
担当している店舗に本社の情報を共有したり、エリア全体の業績を良くしたりするのが仕事内容だ。店舗の状況を調査し、改善ポイントがないか調べる力も大切になってくる。
管理しながらも、プレイヤーとして動くマネージャーのことだ。営業職であれば、チームを持ちつつ個人の営業もしっかり行っていくのが、プレイングマネージャーだ。
個人の目標とチームの目標を設定し、両方を達成しなければいけないため、管理とプレイヤーのバランスを考えながら仕事をする必要がある。
マネージャーは、メンバーが仕事で成果を出しやすいよう、チーム全体を管理しながらサポートする役割を担っている。マネージャーの基本的な行動規範・心構えは以下の5つだ。
1.ルールを守る
2.自ら動く
3.学習し知識を共有する
4.新しいことを定着させる模範となる
5.論理的に考えて説明する
上記の内容は、あくまでマネージャーとしての基本的な行動規範・心構えだ。マネージャーの主な仕事は名前の通り、マネジメントだ。会社の目標をチームで達成するため、必要なマネジメント能力を身につけなければならない。代表例は以下の3つだ。
1.目的のマネジメント
2.業務のマネジメント
3.人のマネジメント
マネジメント研修やマネージャー研修などを通して、マネジメント能力を多く身につけておけば、チームメンバーのサポートもしやすくなる。本記事を参考に、チームの成果を上げられるマネージャーとして活躍していただきたいと思う。