管理職になりたがらない社員が増えています。その理由は様々ですが、企業の人事・研修担当者としては対策を取る必要があるでしょう。
本記事では、なぜ社員は管理職になりたがらないかをデータ等を参照に解説していき、企業として取っていきたい施策をご提案いたします。ぜひご確認ください。
まずは、管理職を目指さないかという理由としてよく挙げられるものを確認していきます。具体的には以下の通りです。
管理職の役割は、「直接の成果」「価値への取り組み(企業のビジョンやミッションを浸透させる)」「人材の育成」の3つと言われています。特に直接の成果については、自身の業務だけではなくチームでどれだけ成果を上げられたかが評価されるようになります。
そのため、責任が格段に重くなりプレッシャーに感じる方も多くなります。チーム内の部下を育成することへの不安やチーム目標未達成のリスクを恐れることもあり、管理職を敬遠する傾向があります。
上記のような責任やプレッシャーがあるにもかかわらず、業務量は増えるということから「自身の時間が取れなくなるのでは」という不安も理由の一つです。仕事と自身の時間を分けたいという方も多くなっている上で、昇進に対して漠然とした不安やイメージを覚えてしまうということです。
リーダーシップやマネジメントスキルを身に付けてないからという理由です。リーダーとなったことがない方や、チームを率いる経験がない場合、「やったことがない役割を果たせるか不安」という気持ちから管理職になりたがらないという場合もあります。
もちろん、管理職になってから身に付けても十分間に合う場合がほとんどですが、できるだけ失敗したくないという思いや、今のままで良いという感情からこのような考えになる場合もあります。
上記のように、「今いる管理職が大変そうに見えるから、そうなりたくない」という理由です。業務分担や管理すべき部下の配置などについても改善の余地がある場合もあります。
従来の「昇進することがビジネスパーソンとしての成功」というイメージがなくなり、キャリアデザインが多様化したことも一つの原因です。
専門的な仕事を極めたいという方もいれば、仕事はほどほどに趣味を重視したいという方、転職や起業を見据えて働いている方など様々です。その中で、管理職に昇進すること・役職がつくこと自体が重視されなくなってきたと言えるでしょう。
企業として組織を継続させていくためには、管理職などマネジメントする側の人材を増やしていく必要があります。管理職を目指す人材を増やすために企業としてできることは以下の通りです。
「管理職になるとなんか大変そう」「一気に業務量が増えそう」というぼんやりとしたイメージを払拭することが対策の一つ目です。
管理職としての役割や求められるスキルを明確にした上で、自社ではそれを身に付けるためにどのような支援をしているのかを考え、発信することが良いでしょう。社員の不安を取り除き「この内容ならできるかも」「サポートがあるなら安心」と思ってもらうことが期待できます。管理職研修やマネジメント研修などの実施があることを提示することもおすすめです。
また、あわせて報酬・福利厚生の改善を検討することも良いでしょう。(例:外部研修を受講する際の金銭面でのサポートを福利厚生に入れる、女性管理職として仕事と生活を両立できるような就業形態・在宅勤務の導入など)
現状、企業を支えてくれている管理職のワークライフバランスを見直すことも実施したい対策の一つです。
上記で挙げた通り「今の管理職を見ていると、業務量が多いから大変そう」というイメージを持つ場合も多く、改善できる場所がないかを洗い出す必要があります。管理職自身に業務改善をしてもらう機会を設けることの他にも、人材配置や各部署の人数が適切なものかを人事部で改めて確認していくことも良いでしょう。
管理職になるメリットを伝えるだけではなく、管理職に必要なスキルを若手社員のうちから学べる環境を提供することもおすすめです。
スキルアップの機会としてリーダーシップ研修を実施したり、小さなプロジェクトをまとめる機会を提供するなどです。機会を提供することで、スキルが自身のものとなり今後のキャリアデザインがより広がっていきます。それは、社員としても企業としても望ましいことのため、現場レベルでも実施していきましょう。
本記事では、なぜ社員は管理職になりたがらないかをデータ等を参照に解説していき、企業として取っていきたい施策をご紹介してきました。
管理職の仕事は、プレッシャーや責任はあるものの、得られるやりがいは大きいと言えます。企業としてできることをぜひ検討してみていただけることを期待します。