ビジネスシーンにおいて、社員への教育はほとんどの会社で行われている。その中で用いられる教育形式が「OJT教育」と「Off-JT教育」だ。
本記事では、OJTとOff-JTの違いを紹介しつつ、失敗例や成功させるポイントを解説していく。
OJTとOFF-JTは、いずれも新人への教育方法を示したものだ。
職場内で業務を通して学ぶものがOJT
職場外で行われる研修等がOFF-JTだ。
OJTとは実践を通じて、実務を覚えさせるための教育であり、先輩社員が手本を見せながら、従業員に覚えてもらう。基本的に1対1で従業員に指導することが多い。
一方、Off-JTとは通常の業務とは別の場所で、知識を習得させる教育を指す。研修会社に依頼をし、テーマ別研修や、階層別研修などを実施することが多い。
デジタルトレンドに関する情報を発信するメディア「kyozon」では、OJTのメリットについて解説されている。 ぜひとも合わせてご覧いただきたい。
参照:OJTとは?Off-JTとの違いやメリット・デメリットなどを網羅的に解説します!
ここではOJTとOff-JTが必要な理由を紹介していく。
OJTとOff-JTを行えば、両者で教わった内容をリンクさせた上で職務に取り組める。従業員の理解度を向上させる効果が期待できるため、仕事のクオリティアップにつながっていく。結果的に社内業務の効率化に役立つ。
実務スキルと知識を両方とも習得させれば、広い目線で仕事をこなせる。さまざまな知識を持っていた方が、多角的な視点で物事を考えられるからだ。そのため、実務で活躍できる従業員を増やすのにいいだろう。
ここからはOJTとOff-JTが失敗する理由を解説していく。
はじめにOJTが失敗する理由を解説する。
OJTを現場に丸投げすると、指導者側は何を意識しながら教えていいか分からなくなる。OJTが上手くいかないときのサポート体制もないため、指導者の精神が蝕まれてしまうかもしれない。
仮に指導者が1人で何とかしようとしても、行動が裏目に出てしまい失敗に終わる恐れがある。
適切に指導できる従業員がいないと、OJTの時間をとっても従業員のレベルアップにならない。なぜなら、指導スキルのない先輩社員が教育しても、従業員は内容を理解できないからだ。
OJTの内容を理解できないと、学んだことを業務に落とし込めない。いつまで経っても同じ状態となり、従業員のレベルが上がらなくなる。そのため、OJTを行っても効果が出なくなってしまう。
OJTの時間が足らないのも失敗する理由だ。時間が足らない中でOJTを実施すると、中途半端な状態で終わってしまう。結果、従業員はOJTの内容を理解できず、効果が現れなくなる。
Off-JTが失敗する理由についても解説していく。
知識を伝えるだけの教育になると、従業員が理解していないのに関わらず、講師が一方的に話す状態になる。単に伝えるだけでは、受講者は理解しない。結果、Off-JTが失敗に終わってしまう。
実務と関係のない知識ばかり教えても、業務に役立たない。そのため、時間の無駄になってしまう。Off-JTは、仕事に活きる知識を習得させる場だ。結果、Off-JTが無意味なものに終わってしまう。
最後にOJTとOff-JTを成功させるポイントを解説していく。前半3つはOJTを成功させるポイント、後半3つはOff-JTを成功させるポイントについて紹介する。
OJTの指導役に自分の役割を理解させる理由は、効率よく会社が求める人材に育て上げさせるためだ。指導者が自分の役割を理解できれば、スムーズにOJT教育を進めていける。指導の際悩むことも減るため、教育しやすくなるだろう。
OJT担当者に「教育する側」としての自覚を持ってもらうには、社内・社外問わずOJT研修を実施することが効果的だ。
社内で行う場合は、昨年度OJT担当者を講師やゲストに交えて実施の話や困りごと、OJT担当として勉強したことなどを話してもらうことも良いだろう。
社外で実施する場合は、OJT担当者としてのマインドセットや面談力の強化に焦点をあわせることが推奨される。
OJT指導者の中には、指導している中で疲れてしまうケースがある。指導者のメンタルが悪いと、スムーズにOJT教育を進められなくなり、従業員が成長する機会を与えられなくなってしまう。
それを解消する意味で、OJT指導者のメンタルケアを行う体制をつくるのは大切だ。なお、会社としてメンタルケアを行うときは、以下のことに気を付けるといい。
OJTの指導者と違う部署で働いている従業員がメンタルケアを行う理由は、話しやすい環境をつくるためだ。同じ部署の従業員がメンタルケアを実施した場合、悩み事があっても仕事を共にしている同僚であるため、気を遣って相談しづらい状況が生まれるかもしれない。
同じ部署の人間だと話せない悩みの場合もある。それを解消する意味でも、違う部署で働いている従業員がメンタルケアを行うべきだ。
指導者を否定すると、メンタルケアが逆効果となってしまう場合がある。そのため、指導者を否定してはいけない。自分と違う考えだとしても、一旦は受け入れることが大切だ。
メンタルケアができる体制を整えても、時間が確保されなければ意味がない。仕組み自体があっても、メンタルケアに携わるメンバーが時間をとれずに、実行できないケースもある。それを防ぐ意味でも、時間の確保は大切だ。
指導者によっては、仕事が忙しくてOJTに時間が割けないケースもある。その状態を回避する意味で、指導者のスケジュールを気にしながらOJTの日程を決めることは大事だ。ちなみに日程を決めるときは、以下のことを意識すると良い。
繁忙期に日にちを設定すると、予定外の業務が入ったり、日程調整をしづらかったりする場合がある。そのため、繁忙期以外の時期を狙った方がいい。閑散期や従業員の手が空く日を狙うことが大事だ。
OJT研修が理由で、指導側が休めない状態になるのは良くない。体力を回復できる時間がなくなることで、OJT研修の質が低下してしまう恐れがある。そのため、指導者のワークライフバランスを意識しながら日程を決めるのも大切だ。
相手に希望日を聞く理由は、スケジュール調整後に断られる確率を減らすためだ。日程調整で相手から何度も断られると、それだけで時間をとられる。日程調整をスムーズに進めるためにも、指導する社員にスケジュールを聞きながら調整すべきだ。
Off-JTは、タイミングを意識しながらカリキュラムを組んだ方がいい。なぜなら時期によって、実施すべきカリキュラムが変わってくるからだ。
たとえば、数年後の業務で必要となる知識を教えても、受講者は忘れてしまう可能性が高い。なぜなら、実務で使うことがないからだ。
Off-JT研修を行うのであれば、現段階で必要な知識を教えた方が受講者は教わった後も覚えている可能性が高い。そのため、タイミングを気にしながらOff-JTを実施するのは大切だと言える。
受講者間でコミュニケーションが取れる場をつくる理由は、Off-JTに対するモチベーション維持のためだ。
他の参加者と交流できないと、受講者は孤独を感じてしまい、Off-JT教育を受けたくないと思う恐れがある。その状態でOff-JTを行っても、受講者のやる気は出ない。
しかし同じ目標に向かっている受講者と話すことができれば、他の受講者と一緒に頑張ろうとする気持ちが生まれる可能性がある。
途中で投げ出さない気持ちを植え付ける意味でも、受講者間でコミュニケーションがとれる場を設けるのは大切だ。なお、場を設けるときは以下のことを意識すると良い。
Off-JTを実施する中で、参加者たちが話せる時間を組み込むといいだろう。たとえばグループワークの時間をつくると、受講者間で話す機会が必然的に生まれる。
その他にもグループディスカッションやロールプレイングの時間をつくるのも効果的だ。
Off-JT以外の場面で交流する時間を設けるのであれば、オフ会を企画するのもいいだろう。オフ会を企画すると、研修中とは違う雰囲気の中で交流できるため、受講者間で話しやすくなる可能性がある。結果、コミュニケーションの活性化に役立つ。
メンバー間でグループチャットができるようにするのも手だ。会う機会が少ないメンバーでも、チャット上で交流できるため、コミュニケーションをとれやすくなる。お互いの進捗を報告し合ったり、オンライン通話で話したりもできるため良いだろう。
業務に活きる内容を中心にカリキュラムを組む理由は、無駄な時間を削減するためだ。Off-JTに割ける時間が有限である以上、必要な項目のみをチョイスしてカリキュラムを組むことは大切だと言える。
なおOff-JTのカリキュラムを決めるときは、以下のことを意識するといいだろう。
理想の人物像を明確にする理由は、受講者に必要な知識を把握させるためだ。必要な知識が分かれば、最適なカリキュラムを提示しやすい。そのため、理想の人物像を明確にするのは大切だ。
Off-JTを確保できる時間によって、カリキュラムを取捨選択するのも大切だ。たとえば、1時間あれば行えるカリキュラムもあれば、3時間以上確保しなければ盛り込めないケースもある。そのためOff-JTの時間によって、カリキュラムを選ぶのは大切だ。
過去のカリキュラムをそのまま使わない理由は、時代の流れによって不要な研修となるケースがあるからだ。現代はスキルが陳腐化するスピードは格段に速い。時代の流れについていかないと、会社として生き残るのは難しくなる。
そのため、役に立たない知識はOff-JTから除外して、代わりに別の知識を習得させた方がいい。現代に必要ないスキルは会社の成長につながらないため、カリキュラムの内容は定期的に変えるべきだ。
OJTとOff-JTは、従業員を成長させる上で必要となる教育制度だ。実務スキルを高めつつ知識を習得させれば、従業員の仕事の質は高まる。そのため、会社にとっても良い状態が生まれるはずだ。
しかしOJTとOff-JTに取り組んでいる企業の中には、失敗してしまうケースがある。失敗する理由として、以下の内容が挙げられる。
~OJTが失敗する理由~
~Off-JTが失敗する理由~
失敗すると、OJTやOff-JTにかけた時間が無駄になってしまう。そのため、社内で取り組む際は成功させるポイントを抑えた方がいい。ちなみに成功させるポイントは以下の通りだ。
~OJTの成功ポイント~
上記のことに気を付ければ、OJTやOff-JTが成功しやすくなる。従業員の育成は、会社を成長させる上で大事だ。従業員の教育内容を充実させるためにも、会社としてOJTとOff-JTに力を入れていただきたいと思う。