働き方改革などの一環でテレワークが進む中、社員同士の情報共有が従来に比べて難しくなってきている。そのときに役立つのが「社内掲示板」だ。社内掲示板を活用すれば、離れた状況にある社員同士の間での情報共有に役立つ。
社内掲示板を効果的に使用してもらうには、導入~運用までの正しい流れを知っておく必要がある。本記事では社内掲示板の概要を紹介しつつ、導入~運用までの流れを解説していく。
社内掲示板とは、社内で必要な情報を全社員に向けて共有・通達するためのツールのことだ。一昔前はホワイトボードに書いて伝えるアナログ式の社内掲示板が多かった。しかし近年のデジタル化により、オンラインで閲覧できるタイプの社内掲示板が増えた。
オンライン上で閲覧できれば、一度の発信で全社員に情報共有でき、修正や更新も簡単に行えるなど、情報の管理も一元化が可能になる。
ここからは、社内掲示板を導入するメリットを解説していく。
社長をはじめとする経営陣からのメッセージを全社員に伝えていくことで、経営理念やビジョンの浸透をスムーズに行え、経営陣と社員との足並みが揃う。また、足並みを揃えることで、組織にも一体感が生まれる。
社内掲示板で社内のナレッジや情報共有を強化することで、組織の横のつながりも強化されます。組織内での距離が縮まれば、部門を超えた協力も可能となるだろう。
社内掲示板を通して、経営陣のビジョンが明確となり、部門同士の風通しも良い組織となれば、従業員も働きやすくなり、モチベーションの向上に役立つだろう。
社内掲示板に載せる内容は様々だ。ここでは、どのような情報を載せるべきか紹介していく。
会社の歴史や事業内容など基本的な情報を載せて、従業員に自社について知ってもらう。特に営業職など取引先や顧客と接する機会が多い方は、自社について説明することが多い。したがって、業務上必要な情報だと言える。
経営理念を載せるケースもある。自社の方向性を知ってもらい、共通認識として社員たちに持ってもらう。方向性を共有すれば、全ての従業員が同じ方向を目指して動ける体制ができ、社員間の団結力がアップし、チームにまとまりができていく。
「前年比と比べて会社の業績が伸びた」「自社の商品を大手企業に大量購入してもらった」というポジティブな情報もあれば、「社内で不正が起こった」「業績が悪化した」などのネガティブな情報を載せる場合もある。その他に、台風などの災害による出勤情報を載せてもいいだろう。
内容によっては話のネタになるため、顧客や取引先との会話で役立つだろう。
社内イベントを案内するのにも便利だ。全社員を対象とした社内健康診断やできるだけ多くの人に参加してもらいたい社員向けのセミナー・社内表彰式などについて、前もって周知することもできる。このほか組織内には、支社の社員が地域の人を対象に実施しているボランティア活動や見学会など、各部署で毎年実施していても他部門にはあまり知られていないイベントやニュースも多くある。社内で共有できる情報が多ければ多いほど、他部門への理解が深まるだろう。
最後に社内掲示板の導入~運用までの流れを紹介していく。
社内掲示板の導入目的を決める理由は、社内掲示板を活用して、自社が設定している目標を達成させるためだ。社内掲示板を導入する理由は様々だ。
会社に対しての従業員満足度向上を目的に導入する場合もあれば、情報漏洩の防止を目的に導入するパターンもある。目的が異なれば、社内掲示板に求められるものも異なる。自社の目的に合わない社内掲示板を導入しても意味がない。その事態を避けるためにも、導入目的は明確にすべきだ。
なお導入目的を決めるときは、以下のことを意識するといい。
たとえば社内の士気が低いのであれば、社内掲示板を用いることで、どのように解決するか考えるといい。
「従業員のモチベーションを上げる」「自発的に業務をこなしたくなる環境をつくる」など、様々なアイデアが出てくる。それをもとに導入目的を決めるといい。
導入目的と会社の目標がマッチしていないと、会社が目指している目標を達成できない。したがって、会社の目標を達成するための導入目的にすることも大事だ。
社内掲示板を導入するにあたり、ツールを決めていく。選択を間違えると従業員から不満が漏れだして、社内掲示板が邪魔な存在となる。それを防ぐためにも、自社に合うツールを選ぶことが大事だ。
ちなみにツールを選ぶときは、以下の項目をチェックすると良い。
自社が求める機能が備わっているか確認していく。しかし、機能が多ければいいわけでもない。なぜなら、使いこなせない場合があるからだ。
とくにITリテラシーの低い従業員の場合、社内掲示板の使い方が分からなくなり、業務効率が落ちてしまう恐れがある。したがって、機能数が多いものを選ぶという考えは持たない方がいい。
社内掲示板を用意しても、使い勝手が悪いと従業員たちの不満が溜まる。やがて、社内掲示板は使われなくなる。従業員の不満を増やさないためにも、使い勝手が良いツールか確かめた方がいい。
ツールが良くても、自社のシステムと相性が悪いとアクシデントが多発する原因になる。システムエラーの回数が増えたり、他の業務に支障をきたしたりなど様々なトラブルが想定される。トラブルが増えると業務の妨げになるため、相性が良いかも確認すべきだ。
ツールの価格を見て、コストパフォーマンスが良いかも確認した方がいい。ここでの注意点は安さのみに釣られて、ツールを決めないことだ。価格が高くても、トータルで見ると会社にとって得する場合もある。自社の財務諸表をもとに、計算してみるといいだろう。
アフターフォロー体制が整っているメーカーを選ぶことも大事だ。理由は、自社で解決できないトラブルに遭遇する恐れがあるからだ。
アフターフォローの対応が整っていないメーカーだと、解決までに時間がかかる。しかしアフターフォロー体制が整っているメーカーであれば、迅速に対応してくれる。1秒でも早くトラブルを解消するためにも、アフターフォローが充実しているメーカーを選ぶべきだ。
社内掲示板を運用するときのルールを決める理由は、社内掲示板を安全に運営するためだ。ルールがないと秩序が保たれなくなる。社内掲示板の私物化につながってしまう。従業員が安心して利用できる環境をつくるためにも、ルールはあった方がいい。最低限、以下の内容はルールに盛り込んだ方がいいだろう。
社内掲示板に載せてはいけない内容を決めておくと良い。たとえば、誹謗中傷の投稿や会社に関係のない投稿などは、社内掲示板に載せる情報として不適切だ。何でも載せられる状態だと、社内掲示板が無法地帯となる。従業員を不快な気持ちにさせない意味でも大切だ。
長期間更新しないと、従業員から社内掲示板の存在が忘れ去られる。従業員に必要とされなくなる状態を回避する意味でも、更新頻度は設定した方がいい。
たとえば「最低でも週1回は更新する」と決めれば、社内掲示板の稼働がストップせずに済む。結果、従業員に必要とされなくなる状態を回避できる。
閲覧範囲についても決めた方がいい。全従業員に共有すべき情報もあれば、管理職などの一部社員にのみ共有すべき情報もある。たとえば、一部の社員のみに共有すべき内容を全員に配信すると、関係のない従業員の時間を奪うことになる。業務を止めないためにも、閲覧範囲は決めた方がいい。
社内掲示板は適切に管理しないと場が荒れる。そのため、管理体制も決めた方が良い。不適切な投稿がないかのチェックや、バグやエラーの確認など様々なことを行う。社内掲示板を快適に使える環境を保つためにも、管理体制は整えた方が良い。
セキュリティ対策をすべき理由は、会社に多大な損失を与えないためだ。たとえば、社内掲示板の情報が同業他社へ漏れると、そのアイデアを丸パクリされるかもしれない。すると、同業他社との競争で負けてしまう恐れがある。競争に負けないためにも、セキュリティ対策に関しても決めた方がいい。
ウイルス対策ソフトのインストールや、データの持ち出しができない仕組みをつくるなど、様々な対策ができる。
社内掲示板の運用が始まっても、社員たちに使ってもらわなければ意味がない。利用者を増やすためにも周知すべきだ。周知の方法として、以下の内容が挙げられる。
全社員で朝礼を行う企業であれば、朝礼のときに周知するといい。一度の周知で済むため便利だ。
全社員へ周知するのが難しい場合は、各部署の部課長へ周知してもらうといい。たとえばミーティングのときに伝えてもらうよう指示すれば、全従業員に行きわたる状態をつくれる。
社内掲示板が始まったことを知らせる通知書やポスターなどを職場に貼って知らせてもいいだろう。職場の中でも目立つ場所に貼れば、大勢の目に留まるため周知に役立つ。
システムのアップデートを放置すると、不具合が起こりやすくなる。そのため、定期的なアップデートも忘れてはならない。ちなみにアップデート時は、以下のことに行うと良い。
アップデート中に、社内掲示板を閲覧できなくなる場合がある。従業員に何も伝えずにアップデートすると、その時間帯に社内掲示板の閲覧をしようとしていた従業員を邪魔することになる。それを防ぐためにも、社内メールやグループチャットなどで事前に伝えるべきだ。
大半の従業員が勤務しているときにアップデートを行うと、業務に支障をきたす。それを防ぐには社員が退勤した後など、従業員に迷惑がかからない時間帯にアップデートすることが大切だ。
社内掲示板は多くの企業で導入されており、自社の歴史や理念、ニュースやイベント情報など、様々なことを載せられる。情報共有を効率化したい企業は、導入するといいだろう。ちなみに社内掲示板を使用すると、以下のメリットがある。
情報伝達による時間の削減や、会社や社員の戦力アップに役立つため、社内掲示板はあった方がいい。しかし勢いで社内掲示板を導入しても、運用はうまくいかない。長期にわたり利用してもらう社内掲示板を目指すには、導入~運用までの流れを抑える必要がある。流れは以下の通りだ。
社内掲示板を導入しても、誰も使わない状態だと意味がない。多くの従業員に活用してもらってこそ、初めて価値が生まれる。ぜひとも、会社で必要とされる社内掲示板に育て上げるためにも、導入~運用までの流れを理解していただきたい。