SNSやチャットツールの広まりで、新入社員の中には電話や留守電が苦手な人も多い。
しかし、ビジネスでは電話が依然として重要なコミュニケーション手段である。特に留守電対応は繊細で、相手を不快にしないよう慎重な言い回しを心掛ける必要がある。そうすることで、クレームを避け企業イメージも向上する。
本記事では、電話初心者でも使える伝言フレーズを紹介したい。
目次
SNSなどのチャットツールの普及により「電話を使ったことがない」「留守電にメッセージを残すことが苦手」という新入社員も多いのではないだろうか。
しかし使用頻度は減ったものの、「電話」はダイレクトに素早く情報交換ができるため、ビジネスでは必須のコミュニケーションツールだ。なかでも「留守番電話対応」はリアクションがわからないため、相手を不快にさせないよう注意しなければならない。
相手の顔が見えないことで、ついぞんざいな言葉づかいになってみたり、一方的にこちらの都合を押し付けてしまうケースがあるからだ。
ただし、相手の心情に沿った適切な留守電対応ができれば、クレームを未然に防いだり自社のイメージアップにつながる可能性が高い。
つまりビジネスにおいて電話を使用した円滑なコミュニケーションは、新入社員にとって必須の基本スキルと言えるだろう。
そこで今回は、電話に不慣れな新入社員も安心してすぐ使える伝言メッセージフレーズを紹介したい。
留守電対応で気をつければいけないポイントは?
伝言メッセージでよく使うフレーズが知りたい
メールやチャットと異なり、電話は話し方によって相手のイメージが大きく変わる。
特に留守番電話は伝言メッセージが録音されるため、言葉づかいや言い回しが良くも悪くも伝わりやすいからだ。
適切な敬語を使いこなすことはもちろんだが、抑揚、滑舌など、相手が聞き取りやすいよう工夫する必要がある。
軽薄な印象を与えないよう、声の大きさ、トーンなど安心感を与える「話し方」に気をつけたい。
留守番電話対応に慣れていないうちは、伝言メッセージでよく使うフレーズを事前に声に出して練習するのがおすすめだ。
実際に何度か声に出して復唱すると、口が慣れて本番でもフレーズがスッと出てきやすくなるからだ。
まずは「あいさつ」「自己紹介」「締めのあいさつ」など簡単なフレーズから、相手に安心感を与える声の大きさやトーンなどを練習すると良い。
留守番電話対応は相手に情報を正確に伝えるだけでなく、相手を不安にさせない話し方ができるかどうかがポイントだ。
留守番電話ではメッセージに入れるべき項目を順番に入れていく必要がある。
話す手順がバラバラだと相手に伝わる情報が分散し、伝えるべき要点が録音時間内に上手く伝わらないからだ。
入れる項目と順番は①自己紹介→②相手の名前を入れる→③要点を簡潔に伝える→④次のアクションを伝える→⑤締めのあいさつ、という流れが定番だ。
それぞれの項目で重要なポイントと「よく使うフレーズ」があるため①〜⑤まで順番に見てみよう。
伝言メッセージを入れるときは時間帯など相手の状況を考慮してあいさつを工夫すると良い。
ビジネスにおいては冒頭に、以下のような「あいさつフレーズ」を用いることで円滑なコミュニケーションが図られる。
「お世話になっております」
「お忙しいところ恐れ入ります」
「夜分遅く申し訳ありません」
あいさつで相手を配慮していることが伝わると、伝言メッセージをしっかり聞いてもらえることにつながり自己紹介に違和感がない。
不信感を持たれないためにも伝言メッセージの序盤にまず自社名と名前を名乗るのがビジネスマナーだ。
業務上の用件を切り出すときは、まず自分が何者であるかを認識してもらうために以下のように簡潔な自己紹介が定番だ。
「株式会社□□の田中です。」
「わたくし△△社の鈴木と申します。」
「先日ご挨拶に伺いました○○株式会社の高橋です。」
「どこのだれ」のように、所属している組織名と名字を組み合わせると、相手に自分のイメージが明確に伝わる。
伝言メッセージを入れるときは必ず相手の名前を入れて、誰に向けて情報を伝えているのかをわかるようにする。
特に相手と面識がない場合は思わぬ伝達ミスが起こりやすいため、以下のようなフレーズで念のため確認をしている。
「○○様の携帯電話でお間違い無いでしょうか」
「○○様のお電話にかけさせていただいております」
「○○様、ご多忙のところお電話失礼致します」
初めて伝言メッセージを入れる場合は特には名前や電話番号を間違えないようにしたい。
すでに面識がある人に伝言メッセージで何度も間違い無いか確認をとると少々くどい。
くどい印象にならないためには、以下のようにあいさつの前にさりげなく相手の名前を入れるとスムーズだ。
「○○様、先日はありがとうございました」
「○○様、この度はお世話になっております」
「○○様、伝言メッセージにて失礼いたします」
すでに何度かやりとりをしている相手の名前は、メッセージのどこかにさりげなく入っている方が伝達の邪魔にならない。
留守番電話対応は「発注の修正」や「アポイントの変更」など、謝罪の意を伝言メッセージに残すケースが比較的多い。
相手に申し訳ない気持ちが相手に伝わらなければならないため、以下のような「謝罪フレーズ」はよく使われる。
「大変申し訳ありません。本日お送りした資料に一部誤りがございました。」
「申し訳ございません。トラブルがあり納期が予定より2日ほど遅れそうです。」
「○○様、ご迷惑おかけして大変申し訳ございません。」
謝罪は声のトーンや言い回しによって逆に軽薄な印象を与えてしまう場合があるため、やや深刻なトーンでメッセージを残したい。
「進捗状況の報告」や「納期の調整相談」など、「ホウレンソウ=報告・連絡・相談」を留守電の伝言メッセージを入れるケースも多い。
ひとまず相手に状況を伝えておくという場合は以下のようなフレーズを用いる。
「ご注文の商品が当社に届きましたので、ご報告いたしました。」
「納期より早く出来上がりましたので、ご連絡差し上げました。」
「◇◇の件で詳細がわかりかねましたので、そのご相談でございました。」
些細なことも報連相を徹底しておくと、様々なトラブルを未然に回避できるため、円滑に業務をすすめやすい。
伝えたい要点を簡潔に伝えた後は、次に相手に起こしてほしいアクションや、自分が起こすアクションを相手に伝えることが多い。
とりわけ相手からのリアクションが欲しい場合は、以下のフレーズで自然に伝えると良い。
「すぐにメールで訂正ファイルをお送りしますので、ご確認いただけますと幸いです。」
「ご請求金額の件でお伝えしたいことがございますので、お手数ですが◯◯時頃ご連絡いただけますでしょうか?」
「△△様がご契約の賃貸物件の更新の件で、至急確認したいことがございます。恐れ入りますが、当社までご折り返しご連絡ください。」
用件の重要度や緊急度によってフレーズを変化させると、相手に次のアクションを起こしてもらいやすくなる。
伝言メッセージで用件を伝えた後は、自分のアクションを相手にひとまず伝えておく場合もある。
実際に折り返してもらう程でもない些細な伝達をするときや、折り返されてもこちらが対応できないケースは以下のようなフレーズが無難だ。
「お送りいただいた書類が届きました。確認にお時間いただきますので、もうしばらくお待ち下さい。」
「現在対応中ですので、改めて明日こちらからお電話させていただきます。」
「代替品を早急にご用意いたしますので、発送の準備が整いましたら、またこちらからご連絡いたします。」
留守電対応で伝言メッセージを入れるときは相互の次のアクションを明確に伝える折り返されてもこちらが対応できないケース必要がある。
ビジネスにおいてはどんなに気をつけていてもちょっとしたミスが起きるので、お詫びのあいさつで締めくくるケースが多い。
謝罪のときに間違った言葉づかいだと相手をさらに怒らせてしまうこともあるため以下のようなお詫びのフレーズを活用してほしい。
「お手数をおかけし恐縮ですがよろしくお願いいたします。それでは失礼いたします。」
「ご迷惑おかけしましたことを重ねてお詫び申し上げます。大変申し訳ごさいませんでした。」
「今後このようなことが無いよう気を付けてまいります。大変失礼いたしました。」
迷惑をかけて相手を不快にさせてしてしまったときは、まず迅速かつ的確にお詫びを述べることが一番の対処法である。
お詫びの締めと同様に、感謝の意を伝えて伝言メッセージを終えるケースも多い。
用件を伝えたあとに、日頃の感謝の気持ちを表す以下のようなフレーズで締めくくるとスマートに好印象を演出できる。
「貴重なお時間いただき感謝いたします。今後ともよろしくお願いいたします。」
「お忙しいところありがとうございました。それでは失礼いたします。」
「いつもありがとうございます。何卒よろしくお願いいたします」
感謝の意で伝言メッセージを締めくくることは、今後も継続して良好な関係を築きたいという意思表示でもある。
状況によって使い分ける必要があるが、上記のよく使うフレーズを組み合わせて伝言メッセージを作ると以下のような手順になる。
①お世話になっております。株式会社□□の田中です。
↓
②○○様の携帯電話でお間違い無いでしょうか。
↓
③大変申し訳ありません。本日お送りした資料に一部誤りがございました。
↓
④すぐにメールで訂正ファイルをお送りしますのでご確認いただけますと幸いです。
↓
⑤お手数をおかけし恐縮ですがよろしくお願いいたします。それでは失礼いたします。
あいさつから始まり、自分と相手の名前を確認し、要点と次のアクションをシンプルに伝え、あいさつで終わる。という一連の流れを覚えておくと良い。
留守電メッセージを残した後10分くらいは、すぐ相手からの折り返し電話に出られるように準備しておく必要がある。
不在時に電話をもらった方はすぐに折り返しかけるのが一般的なビジネスマナーだからだ。
相手がたまたま電話に出られなかった場合など、すぐに折り返した方がお互い話が通じやすいうえに、信頼関係を深めることにつながる。
あらかじめ相手からすぐ折り返しがあることを想定して留守電メッセージを入れると良いだろう。
留守電メッセージを残した後に、自分が席を外す場合は、他の社員に対応してもらうためのメモを残す必要がある。
折り返しがあったときに担当者不在だと話が通じずお互い負担が増えてしまい、取り次いだ人にも余計な業務を増やしてしまうからだ。
オフィスの環境によっては、取り次いでもらう人を決めて「伝えてほしいこと」や「聞いてほしいこと」などのメモを渡しておく。
折り返しが想定される場合は、他の社員でも対応できるように伝達メモを取り次いでもらう人に渡して席を外すのが適切な対応だ。
重要な案件は、留守電メッセージを残した後の対応メールでも用件を伝える方が良い。
なかでも緊急度が高い案件は、365日24時間伝えたい内容を記録できるメールを同時活用した方が情報伝達の精度が高まるからだ。
加えて何らかの理由で録音メッセージが聞けないことや、電話が故障している場合も考えられる。
よって重要度が高い案件の場合は、留守番電話のメッセージ機能に頼るだけでなくメールなどの他のコミュニケーションツールと組み合わせるとトラブルが少ない。
最近は防犯の意味でも活用される留守番電話サービスなので、業務として伝言メッセージを残す際は適切な「話し方」を「事前練習」することが重要だ。
特に電話に不慣れな新入社員は、留守電メッセージを残すときの「手順」を意識しておくと大きなトラブルを起こす可能性は低い。
①自己紹介:状況に応じたあいさつを意識してまず名乗る
②相手の名前を入れる:名前や電話番号間違いに注意する
③要点を簡潔に伝える:謝罪やホウレンソウの言い回しを使い分ける
④次のアクションを伝える:相手や自分の役割を明確に伝える
⑤締めのあいさつ:お詫びや感謝の意を伝えておわる
よく使うフレーズで留守電メッセージを残した後も「折り返し準備」「担当者不在時のメモ」「メールを同時活用」など、一連の流れが自然体でできるまで何度も練習が必要だ。
電話応対研修などの実施が社内や社外である場合は、積極的に参加してみてほしい。
なお、電話の利用頻度が高くトレーニングだけでは追いつかない場合は、電話代行サービスなどのアウトソーシングの併用も検討するとよいだろう。
ビジネス電話特有の、拠点が複数ある場合や対応人数が多い場合は、手順がより複雑になりがちだ。そうなると、なおさら習得に時間がかかることも考えられる。そのような場合は、IP電話の『りもふぉん』のように、ビジネス電話に特化したサービスに頼ることも一つの方法である。複数拠点やリモートワークが多い会社できっと役に立つだろう。