従業員がスムーズに仕事を進められる状態をつくるには、目的意識を持った人材を増やすことが大事だ。なぜなら主体性を生まれ自発的な行動をとる従業員を増やすことになるからだ。
その体制ができている従業員を生み出す上で大事になるのが「本質志向」と言える。従業員に本質志向が身につけば、仕事に対しての取り組み方が変わっていく。本記事では本質志向の概要を紹介しつつ、身につけさせる方法を解説する。
本質志向とは本質を見抜く力のことだ。表面上のものに踊らされず、本質を見抜いていく。本質志向を身につけている人は目的意識を持っており、かつ主体性を大切にする人が多い。
本質志向を身につければ、上辺だけのものに影響されずに済むため、より良いものを見極めるのにも役立つだろう。
本質志向を持っている人の特徴は以下の通りだ。
本質志向のある人は観察力がある。相手の動きや行動・言動などを自分なりに分析して、その人の本質を見抜いていく。潜在的な部分を見極めるため、相手が本当に何を思っているのか推測することが可能だ。
俯瞰的に物事を見るのも特徴だと言える。周りの意見に惑わされず、第三者目線で物事を捉えることが可能だ。たとえ周囲から批判されても、それを鵜呑みにせず物事を見ていく。そのため、自分の軸もブレない。
さまざまな視点で物事を捉えられるのも特徴だ。1つの視点で相手を見るのではなく、多角的な視点で、相手の本質を見抜く。さまざまな角度から見て、自分なりに分析できるため本質志向を持つ人材だと言えるだろう。
情報をキャッチする能力が優れているのも特徴だ。仮に些細な情報であっても、感度が高いため情報をスルーしない。新しい情報を手に入れようとする習慣が身についており、古い情報を次々とアップロードする。
相手の心境の変化や新しい価値観も逃さないため、相手の本質的な部分が見えやすくなるだろう。
本質志向を持っていない人に見られる特徴についても解説していく。
表面的な部分のみで判断するのが特徴だ。たとえば、表に出ている情報や相手が言った言葉を真に受けて判断するケースが該当する。裏メッセージがあるのに、それに気付かない。結果、本質的な部分をスルーしてしまう。
何も考えずに行動する人も、本質志向を持っていない人に見られる特徴だ。自分で何も考えずにせず相手に任せっきりにするため、自分で本質を見抜こうとする姿勢がない。
そのため、本質的な部分を見極められない状態になってしまう。
自己中心的で周りに配慮しない人は、相手目線ではなく全て自分に都合の良い状態で物事を考える。俯瞰的に物事を見る習慣をないため、本質志向は身についていないことが多い。
ここからは、従業員に本質志向を持たせるメリットを解説していく。
仮に仕事上のトラブルに見舞われたとしても、問題の本質が分かるためどのように解決すべきか浮かびやすい。解決方法が分かれば、そこまでの道筋を立てれば解消される。その姿勢が、問題解決力のアップにつながっていく。
問題解決力がアップすれば社内でトラブルが起こったり、従業員が問題を起こしたりしてもスムーズに解決できる可能性が高い。そのため、問題ごとに割く時間を使わずに済む。
会話の本質を見抜けるため、相手が何を求めているのか察しやすい。相手が求めているものを考えながら話を振ることで、潜在的なものを引き出せる。
情報を次々と引き出すことができれば、どのような話をすべきか明確になっていく。結果、コミュニケーションが円滑になる。
本質志向を身につけるには方法がある。最後に本質志向を身につけるために行うべきことを紹介する。
物事を観察する習慣をつけさせると、さまざまなことを感じるため、感度が高くなる。しかも場数を踏めば、自分の中でパターン化することができて、本質を見抜きやすくなっていく。
結果、本質志向の習得に役立つ。なお、物事を観察させるときは以下のことを覚えておくと良い。
ただ観察するだけなのはNGだ。なぜなら、どうでも良い箇所ばかり見てしまう恐れがあるためだ。どうせ観察させるなら、自分のためになる箇所を見させた方がいい。したがって、目的を持って観察させるのは大事だと言える。
抽象化とは、物事の概要を捉えることだ。概要が分かると、どの部分をどうやって観察すべきか感覚をつかみやすくなる。結果、観察の精度が上がり観察力を高めることにもなっていくだろう。
ただしケースによっては、抽象化できない場合がある。その場合は、上司や同僚などがアドバイスをして、抽象化しやすい状態をつくるといい。抽象化するまでのプロセスを把握でき、さらに観察力を高めることになるだろう。
主体性とは自分事として捉えさせ、責任を持って行動することだ。主体性があれば、周りから言われなくても自発的にアクションを起こすため、細かい部分まで観察できる姿勢がつくかもしれない。
結果、人に任せっぱなしにしない分、自分で観察する力が身につく。
視野を広げさせる理由は、固定観念を取っ払わせるためだ。目の前の事象を主観ではなく客観的に見る習慣を身につけることになる。結果、本質志向の習得につながっていく。
なお視野を広げさせる際は、以下のポイントを抑えると良い。
多角的な視点から物事を考えさせると、さまざまなパターンで物事が見えてくる。その習慣が身につけば、必然的に視野が広がっていく。
従業員の中には、一方向からしか見ない人材もいる。他の視点から見れば見え方が変わることを他の同僚が伝えることで、広い視野を持てる人材に育つだろう。
未知のものに触れさせる理由は、従業員の脳内にはないものを体験させるためだ。未知のものに触れたことがきっかけで、新たな視点が生まれるかもしれない。それが視野を広げさせることになる可能性がある。
ただし強引に触れさせようとすると、従業員から嫌がられるかもしれない。それを防ぐには従業員から話を聞きながら、少しずつ進めることが大事だ。従業員の興味・関心を把握して、それを考慮しながらアクションをとっていくことが重要だと言える。
正解を出そうとさせると、不正解だと感じたことをスルーしてしまう可能性がある。正解だと感じるものばかりに目がいってしまい、視野が狭くなるかもしれない。
一見して不正解に見えても、別の視点から見たら正解になるケースもある。そのため、一概に正解のものだけ見ればいいわけではない。
物事を深く考える習慣を与えれば、表面的なものだけを見て結論を出すことが減る。表面的なものに踊らされることがなくなり、本質志向の習得に役立つ。
なお物事を深く考えさせるときは、以下のことを意識すると良い。
知識を増やす習慣をつける理由は、知識があることで、さらに深く考えられる可能性があるからだ。知識がなかった場合、物事を深く考えようと思っても、それ以上のことを知らないため次のステップへ進めない。
しかし知識を増やしておけば、物事の本質が見えやすくなり、深堀しながら考えることが可能だ。また知識を増やしておけば、さまざまな発想が生まれやすくなるため、物事を深く考えやすい。結果、知識を増やす習慣はあった方がいいと言える。
なぜなぜ分析とは、ひたすら「なぜ?」と考えていくことだ。「なぜ?」と考えられなくなるまで行わせることで、物事を深く考える習慣がついていく。
なお、なぜなぜ分析を行う際は答えを飛躍させないのがコツだ。質問と全く関係のない回答を出すと、分析内容が破綻してしまう。それを防ぐためにも、質問と回答が一致しているか意識することが大事だ。
良い面と悪い面の両方から考えさせるのも大切だ。理由は物事を立体的に捉える習慣をつけるためだ。どのような物事でもメリットもあればデメリットもあるため、表裏一体の状態だと言える。
表からも裏からも考えることができれば、それらの視点を考慮した状態で物事を深堀することが可能だ。表面的な部分のみで判断することが減るため、深く考えるクセをつけるのに役立つだろう。
本質志向・意欲向上研修を受けてもらうことにより、「本質的に物事を見るとはどのようなことか」を体感してもらうことも良いだろう。
本人は本質的にものを見ているつもりでも、そうではない場合もあるためだ。ワークなどを通して自身の現状に気づき、本質を見抜く力を磨いていくことができる。
さまざまなことに興味を持たせると、インプット量が増えて感度が高くなる。情報をキャッチする能力も高くなり、本質志向が向上していく。なお興味を持たせるときは、以下のことを抑えると良い。
多趣味な人と交流させる理由は、さまざまな趣味を共有してもらうためだ。自分の知らない趣味と出会うことができれば、新しいことに興味を持つきっかけが生まれる。そこから、さまざまなことに興味を持つ人材になっていくかもしれない。
周囲から話を聴くことで、新たな趣味を見つけられるケースもある。よって、多趣味な人と交流させるのは大切だ。
チャレンジの場を与える理由は、新しいことに対して意欲的にアクションを起こさせる状態をつくらせるためだ。
会社として、新しいことに取り組む状態を良しとすれば、必然的にさまざまなことにトライしてみる気持ちが生まれるかもしれない。それが、さまざまな趣味を持たせる状態をつくる。
新たな目標を持たせる理由は、現状のアクションをとるのではダメだという気持ちを持たせるためだ。
今までとは違う目標を持たせれば、それを実現させるために別のことに取り組む状態ができていく。結果、目標を達成するために、さまざまなことに趣味を持つ状態が生まれるかもしれない。
従業員たちに本質志向が身につけば、表面上のものに踊らされずに済むだけではなく、目的意識や主体性を持つ人材が増える。コミュニケーションが円滑になったり仕事が進みやすくなったりなど良いことが多い。
本質志向を身につけた従業員には、以下の特徴が見られる。
本質志向を持つ従業員が増えれば、会社に潤いを与えてくれるだろう。結果、会社としての力も大いに発揮されるはずだ。
しかし、本質志向を身につけさせるには会社が土壌をつくる必要がある。従業員へ指示するだけでは意味がない。なお、本質志向を身につけさせるときは、会社として以下のことを行うことが大切だ。
上記の機会を従業員に与えれば、本質志向を身につけた従業員を増やせるチャンスが高まる。
表面上のことだけで物事を捉えない従業員を増やすには、目的意識を持って主体的に動ける従業員に育成することが大事だ。その状態をつくる意味でも、本質志向を持つ従業員を増やすことに力を入れていただきたい。