人事部は企業にとって重要な部署だと言える。なぜなら人事部のパフォーマンスが上がるほど、企業が良い状態へと動いていくからだ。また、人事部の業務は多岐にわたるため、様々なスキルを習得しなければならない。人事担当者にスキルが備わっていないと、人事部としてのレベルが落ちてしまう。
そこで今回は人事の業務内容を解説しつつ、求められるスキルを紹介する。
人事とは人に関する業務のことだ。人事部は数ある部署の中でも、企業の顔として存在する部署だ。人事部の取り組み方によって、企業ブランドが決まると言っても過言ではない。
企業ブランドが下がると求職者の減少や顧客離れなどを引き起こす原因になり、最終的には業績悪化を招いてしまう。すると、企業を存続させるのが難しくなる。
現代ではインターネットやSNSが発達したこともあり、悪い情報が広まりやすい。その状況を防ぐ意味でも、人事部は社内に必要な部署だと言える。
ここでは人事の業務を5種類紹介する。
社員の採用・雇用では、会社にマッチする人材を探す。戦力となる人材を採用できれば、生産性の向上につながる。採用した人材によって「費用対効果」が変わるため、慎重に見極めなければならない。ちなみに社員の採用・雇用では、以下のことが行われる。
会社説明会では企業のPRや掲げているビジョン、求めている人材などを伝えて、多くの方に応募してもらう。人事側では会場の手配を行ったり、説明会で話す内容を考えたり、資料を作成したりなど様々なことを準備する。
会社説明会では、参加者に良いイメージを与えなければならない。よって、企業ブランドを悪くしないための取り組みが求められる。
インターンシップとは、学生が会社訪問や職業体験をする機会を設けることだ。実施されている目的は、企業と社員の間でのミスマッチを防ぐためだ。
ミスマッチした人材を採用すると、企業側と社員側に不満が生まれやすくなる。万が一、社員が退職してしまうと、一から採用活動を行わなければいけないため企業にとって手間だ。その状態を生まないために、インターンシップが設けられている。
インターンシップでは、書類審査のみでは分からない部分も把握できるため、入社しても大丈夫な人間か判断しやすい。ミスマッチの確率が下がるため、採用の手間を減らす意味でも効果的だ。
採用しても良い人物か見極めるために面接を行う。応募時に提出した書類と回答における矛盾がないか、面接時のマナーなどを確認する。
部署の人数を決めたり、配置を考えたりするのも人事の業務だ。社員たちが仕事をしやすいと感じ、利益を挙げやすい環境をつくっていく。なお、配置を決めるときは以下の作業を行う。
売上目標や部署に与えられている予算、業務量など様々なことを加味しながら決める。人数が多すぎると無駄な人件費が発生する。しかし人員が少なすぎると、業務が止まってしまう。よって、バランス良く決めることが重要だ。
社員たちのスキルを把握し、人材を配置していく。強みを活かせる場所に配置すれば、部署内の業務効率向上につながる。
評価制度を考えるときは、公平な評価ができる制度にしなければならない。特定の部署において有利になる評価制度は、社員たちの反発を買うことになり、社内に不公平感が出てしまう。その状態をつくらないためにも、評価時のルールを明確にして平等感を出すことが求められる。
研修やセミナーなどを組んで、社員の能力開発を進めるのも人事の仕事だ。社員たちの業務スキルを向上させ、社内の生産性を上げていく。ちなみに能力開発では、以下のことが行われる。
能力開発で、どのような内容を受講させるか決める。同じ内容を実施し続ける場合もあれば、社員によってアレンジする企業も存在する。
実務を通じながらスキルを習得する「OJT」、知識を習得する「OFF-JT」、外部研修など様々な方法がある。内容をもとに受講方法を決めていく。
労働環境の改善や整備も、人事部として取り組まなければならない。社員が働きやすい環境をつくることで、社員の不満が出づらくなる。たとえば、以下のことが行われる。
時短勤務やテレワーク勤務・フレックスタイム制など、様々な働き方を用意することで、ライフスタイルに応じて働き方を選べる。育児や介護などによって、決まった時間に出社できない方も辞めずに済む。
労働時間が長くなると、体調不良を訴えるリスクが大きくなる。そのような社員を生み出さないために、長時間労働の禁止は必要だ。
相談しやすい環境ができれば、悩みが大きくなる前に誰かに話せる。早期解決につながるため、社員が不満を溜めづらい環境ができあがっていく。
人事のスタッフには、様々なスキルや知識が求められる。最後に、どのようなスキルが求められるのか紹介する。
人事担当は様々な方と関わる。したがって、人とスムーズにやり取りするスキルが必要だ。以下の能力を身につけると、社員とスムーズにやり取りするスキルを磨ける。
人事の業務では様々な方と話す機会が多い。内容や相手によって関わり方を変えなければならないため、コミュニケーション力は必須だ。以下のことを意識すると、コミュニケーション力のアップにつながる。
コミュニケーション力が高い方は、相手の立場に立って話せる。相手の気持ちを理解すれば、不快にさせない話し方や、理解してもらうための伝え方がイメージできるため、会話を進めやすくなる。
相手に興味を持てば、自然と質問をすることが増える。結果、相手の情報を引き出すことができ、どのような話であれば喰いついてもらえるかイメージしやすくなる。そのため、スムーズなコミュニケーションがとれるようになる。
社内で起こった問題の中には、人事部が動くケースもある。その際、適切な対処ができないとトラブルが起こりやすくなる。その状態をつくらないためにも、問題解決力は必要だ。
なお問題解決力を磨くには、以下のことを意識した方が良い。
物事に対して「なぜ?」と思う習慣をつくっておくと、自分なりに考えようとする習慣が身につく。問題が発生した原因を見つけやすくなり、問題解決力のアップにつながる。
ロジカルシンキングとは、物事を論理的に考えていくことだ。この能力を習得すれば事象を細かく分けて、筋の通った結論を出しやすくなる。原因分析の質が上がり、問題解決力の向上に役立つ。
固定観念に捉われると、自身の思い込みによって、問題解決までに時間がかかってしまう恐れがある。短時間で問題を解決するには、様々な視点から原因を探ることが大事だ。よって、固定観念に捉われずに生活を送ることは重要だと言える。
人事は専門スキルの習得も怠ってはいけない。たとえば、以下の専門スキルが必要とされる。
コンプライアンス遵守は企業として当然のことだ。とは言っても、コンプライアンス違反が起こる確率は0とは言えない。コンプライアンス関連の知識がなかった場合、社内でコンプライアンス違反が起こっても誰も気づかない。その結果、気付かない間にダメージが大きくなってしまう。
人事はコンプライアンス違反が起きたら、すぐに改善しなくてはならない。したがって、コンプライアンス関連の知識は必須だ。
人事は書類や資料の作成をする機会も多い。したがって、事務処理能力も必須だ。事務処理能力は、以下のことを意識しながら向上すると良い。
事務処理をするときは、どのような順番で処理すればいいか考えることが大事だ。なぜなら、順番を変えるだけで、作業の時間が短縮される場合があるからだ。
たとえば「同じ種類の作業を、まとめて処理する」「午前中に時間がかかる作業は午後に回す」というように、工夫すれば事務処理能力の向上につながる。
「パソコンで不要な操作をしている」「確認の作業回数が多い」など、無駄が発生しているケースもある。しかし惰性で事務作業をしていると、無駄に気付かず作業を進めてしまう。その結果、気付かぬうちに生産性を落とすことになる。生産性を上げるためにも、定期的に無駄がないか確認すべきだ。
たとえば「〇〇の作業は15分以内に終わらせる」と意識させれば、時間を意識しながら働く習慣ができていく。結果、作業時間の短縮が期待でき、事務処理能力のアップにつながる。
たとえば書類が散らかっていたり、データの管理ができていなかったりすると、探すのに時間がかかる。そのため、事務処理において無駄な時間が発生してしまう。
しかし整理整頓ができていれば、探す時間が短くなり無駄な時間も発生しない。よって、散らかっている場合と比べて、短時間で事務処理を終えやすくなる。
人事部は様々な企画を生み出さなければならない。よって、企画を生み出すスキルも必要だ。たとえば、以下のスキルが求められる。
「入社希望者を増やす方法」「社員たちが快適に働く方法」など、人事は様々なことを考えなければならない。そのため、アイデア力も必要だ。アイデア力を鍛えるには、枠に捉われずに考える力を身につけることが重要になる。
違う価値観の方と交流すると、自身にはない意見を発見できる。それがきっかけとなり、アイデアを生み出しやすくなる。
ゼロベースとは、何もない所から物事を考えていくことだ。固定観念に捉われると、自分の価値観に囚われてしまい、アイデアを生み出しづらくなる。その状況を打破する意味でも、ゼロベースで考える習慣をつけるのは大事だ。
情報収集力がないと、時代にマッチした企画を生み出せない。「どのような企業が世の中から求められているか」「社員が職場に求めるものは何か」など、日頃から情報を集めておけば、会社に対するニーズが分かる。その結果、良い計画を生み出すことにつながる。
人事は会社にとって、なくてはならない部署だ。人事部が機能していない職場は、社員をスキルアップさせる環境が整っておらず、生産性の低下を生み出す原因になる。最終的には会社を弱小化させてしまう。その状態をつくらないためにも、人事部の質は上げた方が良い。なお人事部では、以下の業務を行っている。
異なる業務を同時並行で進めなければいけない場面もあり、人事担当者には様々なスキルが求められる。以下の内容が、人事担当に必要なスキルだ。
⓵社員とスムーズにやり取りするスキル
⓶専門スキル
⓷企画を生み出すスキル
これらのスキルを習得すれば各社員の業務の質が上がるため、レベルの高い部署になるはずだ。人事部は様々な方々と関わる部署であるため、ときには無理難題なことを要求されるかもしれない。しかし、その状況が起こったとしても人事部としてベストな回答をしなくてはいけない場合もある。様々な状況に対応するためにも、スキルを磨く環境をつくっていただきたいと思う。