ナレッジマネジメントとは、組織や企業内での知識やノウハウを適切に管理し、共有する仕組みのことを言います。
暗黙の了解や明文化されていないルールなどがあると、チームや部署の誰もが生産性高く仕事をこなすことが難しくなります。
本記事では、ナレッジマネジメントの概念とその重要性、そして企業が受けるメリットについて解説します。
ナレッジマネージメントとは、組織内部で蓄積された知識や情報を効果的に管理し、共有、活用するためのプロセスです。個人が持っているものだけに留めておくのではなく、企業内で共有することにより、生産性が上がり、新たなイノベーションにも繋がります。
暗黙知とは、個人が持っている知識やノウハウのことです。形式知とは、言葉や文章などで表現された知識やノウハウのことを指します。
ナレッジマネジメントとは、暗黙知を形式知に変える作業のことです。「Aさんだからできる」という業務は、Aさんがいなければ成り立たず組織として良い形とは言えません。それを「誰もがマニュアルを見ればできるようになる」という形にするために、知識をマニュアルや仕組みに落とし込む必要があります。
ナレッジマネジメントを実施することで、組織に以下の効果をもたらします
1人が持っていた成功する仕組みや作業しやすいフォーマットなどを共有することで、誰もが同じように業務を進めることができ生産性が上がります。生産性が上がることでチーム全体の雰囲気も良くなり、よりイノベーションが起こりやすい組織となることが期待できます。
ナレッジマネジメントがある組織・企業というのは、競合他社と比べて優位に立てる場合が多くなります。なぜなら、企業独自の情報を効率的に管理し、それを活用できているからです。従業員一人ひとりが持つ知識を組織全体の財産として活用できるようになることは、組織として大きなメリットがあります。
また、知識の共有を促進する文化を醸成すれば、社員同士のコミュニケーションも活性化し、結果として組織力が強化されるのです。
ナレッジマネジメントは、SECI(セキ)モデルで表されます。SECIは、Socialization(共同化)、Externalization(表出化)、Combination(連結化)、Internalization(内面化) の4つのプロセスの頭文字から名付けられています。
共同化とは、暗黙知となっている知識やノウハウを集めるフェーズです。情報をとにかく収集していきます。フォーマットを作成しそれに書き込んでもらうことや、共同で書き込めるスプレッドシートを作るなど方法は様々です。文章化されていないものはすべて書き出してほしいという形で依頼をすると良いでしょう。
表出化では、共同化された知識やノウハウを文章に書き起こすという作業です。個人の経験や感覚、直感などの暗黙知を、他のメンバーが理解できる形で言語化し、図解や文章などの形式知として表現します。このフェーズが暗黙知を形式知に変えるという部分になります。
集めた知識やノウハウが多い場合は、グループにまとめたり業務ごとに分けたりする整理のフェーズも必要になります。
連結化とは、形式知としたもの(マニュアルなど)をブラッシュアップすることを指します。既にある形式知同士を組み合わせ、新たな知識を創り出していきます。具体的には、データの収集、整理、分析を通して情報を統合し、全体像を把握するなどが該当します。
内面化とは、共有された形式知を個人が実践を通じて経験に落とし込み、暗黙知として自分のものにするプロセスです。マニュアルを実践してみた上で自身のスキルとして身に付けるという流れがここに当たります。
ナレッジマネジメントの取り組みでは、上記で説明したSECIモデルのサイクルを回し続けることで、知識の蓄積とイノベーションが促進されると考えられています。
例えば、ナレッジ共有の仕組みを整備し、個人の経験やノウハウを形式化することで組織全体のスキルが向上します。また、新入社員や中途入社などがそれを実践しながら暗黙知として習得し、次の知識の循環を生み出すことが可能になります。
一度マニュアルを作成することで終わるのではなく、常に仕組み化するマインドを社内で醸成していく必要があります。
本記事では、ナレッジマネジメントの概念とその重要性、そして企業が受けるメリットについて解説してきました。ナレッジマネジメントが上手く運用されている組織は、情報管理が適切でありノウハウも蓄積されるためより良い成果を上げ続けることが期待できます。
企業として導入する方法の一つに、ナレッジマネジメント研修を実施することがあります。これらはマネージャー研修や管理職研修などと組み合わせて実施することもある内容です。
現状、暗黙知やマニュアル化が進んでいないという場合、まずは自分が対応している業務から形式知に変えることを取り組んでみることをおすすめします。