特性論とは、自己認識のためのパーソナリティ診断のことです。個人の中で頻繁に出現する性質や行動から、性格や得意分野などを診断する方法のことをいいます。
パーソナリティ診断はリーダーシップの育成に活用されており、特性論のほかに類型論があります。
類型論は、性格を各カテゴリに分類し、分析するものです。例えば、血液型や星座による性格診断は類型論にあたります。
類型論は、大まかに個人の傾向を分けることができるため、性格の全体的な把握が可能です。その一方、類型に当てはまらない部分を見逃してしまうというデメリットがあります
それに対し特性論は、個人のパーソナリティはいろいろな特性による組み合わせだとする考え方です。そのため、カテゴリの分類が難しい中間型・混合型タイプも理解しやすいというメリットがあります。
しかし、特性の分類が細分化されすぎているため、全体が把握しずらいという面もあります。
ビッグファイブ理論は、人の性格は5つの特性が組み合わさったものという考え方です。各特性のバランスから、各個人の性格や得意・不得意などを診断します。
外向性は温かさや断行性、積極性、群居性、刺激希求性という特性のことです。
外向性が高い場合は、社交的で明るく、人と一緒にいることを好みます。反対に外向性が低いと、目立ちたがり屋で高圧的、人の話をあまり聞かないといった傾向があります。
神経症的傾向は、不安やストレス、自意識、衝動性といった特性があります。
神経症的傾向が高い人は、ストレス耐性が低く、ちょっとしたことで冷静さを失います。低い場合は、行動力があり、円滑なコミュニケーションを築きやすいという面があります。
誠実性は、自己規律、慎重、達成追求、自己鍛錬などの特性を持っています。
誠実性が高いと、まじめで完璧主義なため、ハードワークしやすいという面があります。それに対し誠実性が低い場合は、情報が限られていても柔軟に対応できるという傾向があります。
協調性の特性は、優しさ、献身、信頼、利他性、慎み深さなどです。
協調性が高い場合は、相手の意見を尊重しチームワークを大切にするため、部下からも信頼されやすい特徴があります。協調性が低いと、チャレンジ精神が高く、自己顕示欲が強い傾向があります。
開放性は、好奇心やアイデア、審美眼、空想といった特性があります。
開放性が高い人はクリエイティブな発想力があり、さまざまな角度から物事をとらえるのを得意とします。一方、開放性が低い場合は、データに基づいた分析が得意です。情報に基づいた問題解決力があります。