社内で活躍できる人材がいないと、会社の経営は傾く。それを回避する意味でも、部下の育成に力を入れるのは大事だ。本記事では部下の育成が必要な理由と方法を紹介していく。
はじめに部下の育成が必要な理由を紹介する。
現段階で新入社員でも、数年経てば会社を担うポジションが回ってくる。しかしスキルがないとポジションにはつけない。会社を担う人材として活躍するには、最低限の能力が必要だ。その状態を作るために、部下の育成はすべきだと言える。
指導を受けている部下も、将来的には後輩への指導をする。部下の育成に力を入れなかった場合、部下の指導が雑になる。その結果、有能な社員が増えなくなる。
有能な社員を長期的に生み出すには、指導を受けた社員が後輩へ上手に伝えていく文化が必要だ。その文化を維持し続けるのも、部下の育成が必要な理由だ。
部下の育成に失敗する原因は様々だ。ここからは原因を紹介する。
相手のペースを考えずに指導すると、部下はついていけない。最終的にキャパオーバーとなり、部下はパニック状態に陥る。指導側の自己満足で終わってしまう。
上司の威圧的な態度は、部下が委縮する原因だ。部下はスキルを習得できなくなり、強みを発揮するのが難しくなる。結果、部下の成長がストップし、育成に失敗してしまう。
上司と部下の関係性が築けていないのも、部下の育成に失敗する原因だ。たとえば「上司と部下の会話が少ない」「部下との面談をしない」「上司が部下を放置している」状態が起こると、上司と部下の関係性は希薄になる。
上司との信頼関係がないと、部下は言うことを聞かない。結果、部下の育成で失敗してしまう。
ここからは、部下の育成方法を解説していく。
部下の状況を把握する理由は、指導方法の仕方を見極めるためだ。部下の状況を把握せずに育成すると、効果のない指導をする恐れがある。部下によって効果的な指導方法は違う。したがって、部下の状況を把握してからの指導が大事だと言える。ちなみに部下の状況を把握するときは、以下のことを確認すると良い。
部下のスキルを調べる理由は、どこを指導するか決めるためだ。仮に基礎スキルが身についている社員であれば、応用スキルから教えてもいいだろう。しかし基礎知識が身についていない社員に同じことをすると、ついていけなくなる。
そのことを分からずに次々と進めていっても、部下の脳内には吸収されない。したがって、部下のスキルは調べた方が良い。
仕事の進み具合を調べると、社員が順調に業務をこなしているかが分かる。同じテーマを教えるにしても、仕事が順調に進んでいる社員と進んでいない社員では、カリキュラムの内容は違う。順調に進んでいれば、座学をメインにしても問題ないだろう。しかし仕事が順調に進んでいない場合、OJTが必要になる。部下に適したカリキュラムを提供する意味で重要だ。
部下の性格も分かった方が良い。「人と競うのが好きか嫌いか」「褒めて伸びるタイプか厳しくされて伸びるタイプか」「大勢と少人数どちらが好きか」など、色々な観点で調べると良い。
性格が分かれば、どのような指導が効果的か分かる。そのため、部下の育成で効果を挙げやすくなる。
部下の育成ではゴールを設定する。ゴールがないと何を目標に育成すべきか分からない。指導中に遠回りをしないためにも、ゴールは設定すべきだ。ちなみにゴールの設定時は、以下のことを意識すると良い。
営業職経験が浅い社員に「毎月10件の成約をとることが目標」と言っても、高い壁に感じる。ハードルが高いと、消極的な行動になってしまう。それを防ぐにはゴールを小刻みに設定し、ハードルが低く見えるようにするのが有効だ。たとえば、以下のイメージでゴールを組むといい。
ゴール⓵:営業回りを1日10件する
ゴール⓶:毎月1件の契約を獲得する
ゴール⓷:毎月5件の契約を獲得する
ゴール⓸:毎月10件の契約を獲得する
このようにゴールを何個も設けると、部下は自信を持ちやすくなる。モチベーション低下を防げるため育成も楽だ。
実現できないゴールを設定すると、部下はモチベーションを落とす。その状態を防ぐために、頑張れば達成できそうなゴールを設定した方が良い。
期限を設ける理由は、ゴールに向かって行動させるためだ。ゴールがない場合、いつまでに何をすべきか判断しづらいため、スケジュール感が分からない。部下は動けなくなり、ゴールできない状況が続いてしまう。
一方、期限を設ければスケジュール感をイメージしやすい。部下は締め切りまでに間に合わせる行動をとっていく。結果、ゴールまでの道のりを歩みやすくなる。
育成の質を上げるには、指導した内容を部下ができているか確認することも重要だ。しかし適当にチェックすると、漏れが発生するかもしれない。それを防ぐのに効果的なのが、チェックリストの作成だ。
チェックリストを用いて確認すれば、チェックの抜け漏れがなくなる。しかもチェックリストに部下の状況を記録しておけば、力を入れて指導すべき箇所が分かる。よって部下の育成に役立つ。ちなみにチェックリストの作成では、以下のことを意識すると良い。
チェックリストに記載する項目は羅列するのではなく、種類ごとで分けることが大事だ。たとえば「〇〇の業務」「××の業務」と分けると項目が見やすくなる。
チェックリストは、様々な社員が使用する。そのため作成者だけではなく、全ての関係社員に分かる文言を用いて作った方が良い。
作成者しか理解できない文言だと、チェックに時間がかかる。作業の流れを滞らせないためにも、誰もが使えるように作るべきだ。
〇と×の判断基準が曖昧だと、チェックを入れるときに迷う。それを失くすために、判断基準も明確にすべきだ。たとえば「〇点以上であればOK」「〇〇を怠った時点でNG」といった形で基準を設ければ、チェックが楽になる。
結果を伝えるだけでは、部下はどのように改善すべきか分からない。部下の行動を変えて、良い方向へ持っていくためにもフィードバックの時間はとった方が良い。ちなみにフィードバックでは、以下のポイントを抑えるといい。
叱るだけだと部下はやる気をなくす。業務に支障をきたさないためにも、褒めることもした方が良い。
たとえば「ハンバーガー式」と呼ばれるパターンでは「褒める→改善点を伝える→褒める」という流れでフィードバックを進める。最初と最後が褒める形になっているため、部下のモチベーションを下げずに済む。
時が経つと、フィードバックすべき内容を忘れるかもしれない。早めに伝える分、改善されるのも速い。よってフィードバックは、気付いた段階で行った方が良い。
相手の性格や生い立ちなどをもとにフィードバックすると、人格否定になる恐れがある。この状態を避けるには「事実」をもとにフィードバックすることが大事だ。
たとえば作業が遅い社員へフィードバックするときは「〇〇の業務を、10分早く終わらせると良い」と伝えるといい。事実しか盛り込まれていないため人格否定にはならない。
内容が抽象的だと、部下は何を改善すべきか理解できない。それを防ぐために、具体的な内容を伝えることが大事だ。フィードバックの内容が具体的であれば、何を変えるべきかイメージしやすい。結果、行動改善につながり部下を成長させやすくなる。
たとえば上司に怒られないか気にしながら働く状態になると、部下は変に意識をする。すると部下は、習得した知識を業務に落とし込めなくなる。その結果、部下の育成に支障をきたしてしまう。
部下の育成では周りの目を気にせずに働ける状況を作ることが大事だ。自然体で働くことができ、部下の仕事の質を上げることにつながる。自身の能力を発揮しやすい状態を作るためにも、安心して働ける場所を提供すべきだ。
ちなみに安心して働ける職場を作る場合は、以下のことを意識すると良い。
社員間のコミュニケーションが増えれば、悩み事があったときに社員へ伝えられる。相談する側は問題を解決しやすくなり、聞いている側は相手の悩みが分かる。結果、社員間の意思疎通がとれて、部下にとって働きやすい職場ができていく。
チャレンジできる環境を作るのも大事だ。たとえば再チャレンジできる機会を設けたり、部下を全力で支えたりするサポート制度があれば、部下は意欲的に動ける。上司や会社に対する部下の信頼度が上がるため、安心して働ける職場になっていく。
価値観の多様化とは、様々な価値観を受け入れることだ。たとえば、特定の価値観しか認められない職場だと、その価値観と違う部下は窮屈に感じる。周りの視線を気にしながら作業するのが当たり前になって、自分のやりたいことができなくなる。それが安心感をなくしていく。
しかし価値観の多様化が進めば、否定されることが減る。その結果、職場に対して安心感を持つ。周りのことを気にせず行動できるため、安心して働ける職場を実現させるのに効果的だ。
上司が部下の作業をやるのも良くない。なぜなら部下の成長機会を奪うからだ。部下の作業の機会が減ると、体に覚えさせるのが難しくなる。結果、部下の成長が止まる。
上司が行った方が早く終わる業務も多いと思う。しかし部下の育成である以上、見守ることが大事だ。
最初から最後まで、同じ指導方法をしてはいけない。なぜなら、部下の成長度合いによって効果的な指導方法は異なるからだ。
部下が成長した場合であれば「少しペースを上げて指導する」。逆に部下のミスが多くなった場合は「少しペースを下げて指導する」というように調整すると、部下に合う指導がしやすくなる。
部下育成・後輩指導研修や、チームビルディング研修などを受講することも良いだろう。
社内で講師を立てる場合や、本記事を作成しているリスキルのような研修会社に依頼することいずれも選択肢として検討してほしい。
後輩社員がいる限り、部下の育成は必要だ。部下の育成が上手くいけば、会社を支える人材として成長する。後輩の指導ができる社員を増やすことにもつながるため、部下の育成には力を入れるべきだ。
しかし部下の育成に失敗するケースもある。理由として、以下の内容が挙げられる。
部下の目線に立って育成しないと、失敗に終わってしまう。そのため、後輩の様子を見ながら育成することが大事だ。
部下の育成を成功させるには、正しい方法を知らなければならない。以下のことを実践すると、部下の育成をスムーズに進められる。
部下が成長すれば、業務をサポートしてもらえるため先輩社員は楽になる。有能な人材を増やすためにも、部下の育成に力を入れていただきたい。