リスキルラボ エバンジェリストとは|必要なスキルを紹介【ITの伝道師を育てる】

IT基礎研修
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時代の移り変わりによって、さまざまな職種が誕生している。今回紹介する「エバンジェリスト」も、IT化の波がきっかけで生まれた職種だ。国内企業の中にも、エバンジェリストを配置する場所が増えてきた。

しかしエバンジェリストに任命するには、ある程度のスキルが要求される。必要なスキルが備わっていないと、エバンジェリストとしての活躍は難しい。本記事ではエバンジェリストの内容を説明しつつ、求められるスキルを解説していく。

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エバンジェリストとは

エバンジェリストとは、IT関連の情報を外部へ伝える職種のことだ。 IT事情や、自社製品に関することを中心に伝えていく。顧客や取引先など社外に向けて活動する場合もあれば、従業員など社内に向けて活動するケースもある。

現代ではデジタル化が進んでおり、ITのニーズが高まっている。そのため、エバンジェリストは今後も必要な職種だと言えるだろう。

エバンジェリストと営業職との違い

エバンジェリストは、ITに関する情報を伝えるのがメインだ。IT関連や自社の製品やサービスなどを広めたりすることを目的として動く。

しかし営業職は、顧客の獲得をメインに行動している。自社の製品やサービスを広めることを目的にしていないため、両者は違う職種だと言える。

エバンジェリストを配置するメリット

社内にエバンジェリストを配置するメリットは以下の通りだ。

会社の信頼を獲得できる

会社の看板を背負ってエバンジェリストとして活動すれば「〇〇社に所属するエバンジェリストの話だから信用できる」と思う人が増える。結果、会社を支持する人が増えて、信頼獲得につながっていく。

従業員に刺激を与えられる

エバンジェリストとしての活動を社内で行うと、スキルアップを目指す従業員が表れるかもしれない。それが社内全体に伝染することで、従業員に刺激を与えることになる。自発的にレベルアップしようとする従業員が増えれば、その分組織のレベルアップにもなるため、会社にとって好都合だ。

自社製品やサービスの価値向上

自社のエバンジェリストが顧客から気に入られることが増えれば、自社製品やサービスに良い印象を持つ顧客が増える。結果、自社製品やサービスの価値向上につながっていく。

エバンジェリストの業務内容

ここからは、エバンジェリストの主な業務内容を紹介する。

プリセールスエンジニアとしての活動を行う

プリセールスエンジニアとは、商談相手の前で自社製品に関してのデモンストレーションを見せたり、相談対応を行ったりするエンジニアのことだ。

自社の営業担当と一緒に商談会場へ向かうことが多く、クライアントの問い合わせに対応する。顧客と営業担当の仲介役であるため、商談がスムーズに進む環境をつくることが大事だ。ITに関する知識の他に、営業スキルも求められる。

IT専門家としての情報共有

IT専門家としての情報共有を行うのも業務に含まれる。自社のエンジニアとして接することもあれば、セミナー講師として出席するケースなどさまざまだ。エバンジェリストによっては、県や市区町村など自治体が実施するセミナーに参加する場合もあるようだ。

インナーマーケティング

インナーマーケティングとは、自社の従業員に向けて行う活動のことだ。Tや自社製品に関する知識を習得させる活動を行い、自社の従業員が仕事で成果を挙げられる流れをつくる。従業員のモチベーションが向上させるための活動を行えるかが重要だ。

エバンジェリストに必要とされるスキル

ここからは、エバンジェリストに必要なスキルを解説する。

プレゼン能力

人前で説明する機会が多いため、プレゼン能力は身につけるべきだ。話の内容が詰まっていても、プレゼン能力がないと興味・関心を持ってもらえず、エバンジェリストとしての成果を挙げるのは難しいだろう。

ちなみにプレゼン実施時は、以下のポイントを抑えると良い。

相手のレベルに合わせてプレゼンする

プレゼンは聞き手が理解しないと意味がない。そのため、相手のレベルに合わせて言葉を使い分けることが大事だ。

アクションを交えながらプレゼンをする

身ぶり手ぶりを交える理由は、聞き手にイメージさせるためだ。たとえば手で形を表現したり、場面に応じて表情を変えたりすると、聞き手はイメージできる。聞き手の理解度が高まるため、興味・関心を持たせるのが楽になる。

アイコンタクトを入れながら話す

アイコンタクトを入れながら話すと、聞き手はエバンジェリストに見られている感覚を味わう。自分に話してくれていると思い、相手は話を真剣に聞こうとする。聞き手の集中力を途切れさせない上で大事だ。

コミュニケーション能力

人と関わることが多いため、コミュニケーション能力も必要だ。コミュニケーション能力を磨くには、以下のことを意識すると良い。

相手に興味・関心を持つ

相手に興味・関心を持つ理由は、聞き手が何を求めているか理解するためだ。聞き手の需要が分かれば、何の話をすべきかイメージできる。結果、エバンジェリストとして成果を挙げやすくなる。

聞き手に回る

コミュニケーション能力を高めるには、話し手ではなく聞き手に回ることも大事だ。自分が好きな話ばかりしても、相手は振り向いてくれないからだ。聞き手に回れば、情報を引き出しやすい。相手の悩み・課題を把握できて、相手のニーズに合わせて話を振れる。

最新の情報を取得するスキル

古い情報を説明しても、相手の役に立たない。業務に活かしてもらうためにも、最新の情報を取得するスキルも大切だ。

エバンジェリスト育成のポイント

ここからは、エバンジェリストを育てるポイントについて解説する。

専門分野の研修の提供

エバンジェリストとして育て上げるには、会社として専門分野の研修を提供すべきだ。専門分野に長けていないと、エバンジェリストとして深い話ができない

浅い知識しかないと「知識のない専門家が話している」と思われ、会社のブランドが下がってしまう。それを防ぐ意味でも、専門分野の研修は提供すべきだ。ちなみに専門分野の研修を提供する際は、以下のことに気を付けるといい。

専門分野に長けている講師を用意する

専門分野に長けている講師を用意する理由は、受講者の質問に答えられる状況をつくるためだ。知識が乏しい人を講師にすると、受講者の質問に答えられなかったり、必要な知識を提供できなかったりする。そのため、研修に参加させても受講者は育たない。受講者が成長できる環境を用意するためにも、専門分野に長けている講師を呼ぶべきだ。

さまざまな形式の研修を行う

さまざまな形式の研修を行う理由は、知識量を増やしたり、場数を踏ませたりするためだ。座学であれば「Off-jt」、実践を通じて行うのであれば「Ojt」「ロールプレイング」といったイメージだ。研修内容によって最適な形式が異なるため、意識した方がいい。

長期的な専門の育成プログラムの導入

短期間ではエバンジェリストとして育たない。育つのには時間がかかるため、長期的な専門の育成プログラムが必要となる。育成プログラムを組むときのポイントは以下の通りだ。

ゴールから逆算しながらプログラムを組む

ゴールから逆算しながらプログラムを組む理由は、プログラム実施の際に違う方向へ進まない状況をつくるためだ。

スタートから順に決めると、プログラム終了時に会社が求めている成果が出ない場合がある。会社が想定した成果を挙げるためにも、逆算しながら考えた方がいい。

習得させたいスキルを洗い出す

エバンジェリストに習得させたいスキルを洗い出す理由は、漏れなく必要とされるスキルを習得させるためだ。必要とされるスキルは、エバンジェリストの担当分野によって異なる。

エバンジェリストを活躍させるためにも、現段階において必要なスキルを洗い出して、全て習得できるプログラムにすることが大事だ。

なお、資格の取得を目標にしてしてみることも、モチベーションを上げるためのひとつの方法である。
※参考:IT系の主要資格は何? それぞれの難易度や試験問題、取得メリットなどを解説(フォーサイト)

無理のない範囲でプログラムを組む

タイトなスケジュールだと、本業に支障をきたす。その結果、事業の売上が下がっては意味がない。仕事に悪影響を及ぼさないためにも、無理のない範囲でプログラムを組むべきだ。

定期的に成果を確認する

プログラムの実施中は、定期的に成果を確認すべきだ。理由は、早い段階で軌道修正するためだ。

設定したプログラムでは、うまくいかないケースもある。それを放置して研修を進めても、エバンジェリストの育成を妨げるだけだ。よって、成果はコマメに確認した方がいい。

実践の機会を提供する

実践の機会を提供する理由は、体にしみこませるためだ。研修と実践は違う。実践では何が起こるか分からない。研修で習った内容だけでは、太刀打ちできない場合もある。エバンジェリストは、臨機応変に対応する能力も求められる。身体に染み込ませるためにも、実践の機会は与えた方が良い。

ちなみに実践の機会を提供する際は、以下のことを意識するといい。

部下に報告させる

部下に報告させる理由は、今の育て方が合っているか判断するためだ。部下の理解度が高いと分かれば、少しハードルが高いものにトライさせてもいいだろう。

しかし理解できていないのであれば、ハードルが高い場面を増やすべきではないと判断できる。間違った育て方は部下の成長機会を奪う。よって、コマメに報告させるべきだ。

フィードバックする

実践の場を与えるだけでは、成長につながらない。その内容をもとに、フィードバックすることが大事だ。部下の様子を見て、足らない箇所や改善点、良かったことなどを伝えるといいだろう。

上司が伝えれば、部下は自分では気づけなかった箇所を知れる。それが、業務改善の効率性を上げるのに役立つ。

エバンジェリストが活躍する企業例

エバンジェリストが活躍する企業も存在する。最後に、エバンジェリストが活躍している企業を2社紹介する。

マイクロソフト

著名なエバンジェリストとして、日本マイクロソフト株式会社の西脇資哲氏があげられるだろう。1996年日本オラクルに入社したのち、2009年12月にマイクロソフトへ移籍し、マイクロソフト製品すべてを扱うエバンジェリストとして活躍している。

「顧客視点」「製品への愛着と自信」をモットーとし、聴き手との一体感を高め、相手を動かすプレゼンテーションを行っている。

富士通

富士通株式会社で活躍しているエバンジェリストの中山五輪男氏は、前職でもエバンジェリストで活躍をし、年間約300回ペースで講演を行っていた。

現在は、企業や商工会、医学会などさまざまな場での講演やセミナーのみならず、社内のエバンジェリスト育成にも従事し、「エバンジェリスト育成プログラム」を開講し、新たにエバンジェリストの創出にも尽力している。

まとめ

現代において、ITのスキルが求められるケースも増えてきた。そのため、エバンジェリストが必要とされる場面も、今後増えるだろう。社内にエバンジェリストを置くと、以下の効果が期待できる。

  • 会社の信頼を獲得できる
  • 従業員に刺激を与えられる
  • 自社製品やサービスの価値向上

エバンジェリストを活用すれば、会社にプラスの効果をもたらす。そのため、従業員の中から選抜して数人配置することが大事だ。

しかしエバンジェリストを配置するには、ふさわしい人材を誕生させなくてはならない。それを実現するには、会社として育てる環境を完備することが大事だ。育てる時は、以下のことを行うと良い。

  • 専門分野の研修の提供
  • 長期的な専門の育成プログラムの導入
  • 実践の機会を提供する

上記のことを社内で行えば、エバンジェリストにふさわしい人材が育つはずだ。従業員任せでは、会社が理想とするエバンジェリストは誕生しない。会社に貢献させるためにも、育成に力を入れていただきたい。

この記事の監修者
リスキル事務局
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Q&A
  • エバンジェリストとは、ITに関する情報を伝える職種を指します。キリストの世界では伝道師と呼ばれており、IT事情や自社のサービスなどを伝えていきます。
  • エバンジェリストがいれば会社の信頼を獲得したり、自社の製品に対する印象を良くしたりする効果が期待できます。さらに社内向けの活動を行えば、従業員へ刺激を与えられます。
  • 会社として専門分野の研修を提供したり、長期的な育成を軸にプログラムを組んだりすることが大事です。その後、実践の機会を与えることでエバンジェリストに必要な能力が身につきます。
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