コロナ禍を機に、社会全体・経済が大きく変わった。将来に対する不確実性や不安感が高まる中で、企業を成長させるために、これまで以上に社員のリーダーシップが求められている。
企業内人材育成においても、以前からリーダーシップ研修の需要は高かった。だが、上述の背景を受けて、最近では更に実施回数も増えている。効果的なリーダーシップ研修を導入することで、アフターコロナの成長基盤としたい企業側の意図が伺える。
しかし、リーダーシップ研修と言われても内容が分からず、どうやって実施すべきかイメージの湧かない研修担当者の方も多いだろう。
そこで今回はリーダーシップ研修の概要を紹介しつつ、おすすめの実施方法を解説する。
本記事の終盤には、おすすめの研修会社を載せているので参考にしてほしい。
目次
リーダーシップ研修とは、リーダーに必要とされるスキルを身につけるための研修だ。現代のリーダー像を考える機会になるため、今後リーダーとしての活躍を期待される方々にも役立つ内容になっている。
リーダーシップ研修の費用感の相場は、1名から参加できる「公開型研修」で1人当たり2~5万円。依頼企業一社のみで実施する「一社研修(日程・内容などアレンジ可能)」の場合、30~50万円だ。
研修の実施方法や内容によって価格が変動するため、内容を調べてから申し込もう。
受講対象者は大きく3パターンに分かれる。どのような方が対象者になるか紹介する。
既にリーダーとして、チームや部署を管理している方のことだ。部課長の他に、係長・チームリーダーなどが該当する。年齢層は20~60代と比較的幅広い。
ただ、ひと口に管理職と言っても様々な状況の方がいる。たとえば管理職の経験年数が1年目の方もいれば、20年以上経っているベテランの方もいる。
また、管理している部下の人数も各人によって違うため、それぞれ求められているスキルセットは異なる。
そのため、研修に参加される管理職のバックグラウンドに合わせて、研修内容をアレンジすることをおすすめする。
入社から5〜10年程度経ち、役職がついていない方を指す。2~30代が中心となっている。
参加対象者の年齢・勤続年数でカテゴリー分けしている為、管理職向けの研修と比べると、近しい経験を持った従業員が集まりやすい。
中堅社員の立ち位置になったら、後輩の指導や上司と部下を繋ぐ業務などを担当する。そのためリーダーシップ研修を受けさせた方がいいだろう。
ゆくゆくはリーダーとして活躍して欲しい若手社員にも、リーダーシップ研修を通じて基礎力を固める効果がある。入社3年目程度の従業員がメインだ。
早いうちからリーダーになった自分を想像してもらい、仕事へのモチベーションを高めてもらうための手段として実施することが多い。
ここからは、リーダーシップ研修の実施をおすすめする理由を3つ紹介する。
リーダーシップ研修を受講した人の中には、リーダーとしての自覚を再認識したり、リーダーになる意欲が向上する方がいる。
リーダーとしての自覚を持つ従業員が増えれば、各受講者の生産性アップに繋がる。
その効果は、巡り巡って受講者の周りの社員にも波及し、会社全体にとっても大いにプラスに作用することが期待できる。
リーダーは、チームメンバーなど他の社員と接する機会が多いため、どのように従業員と接するべきか要諦を押さえておく必要がある。
リーダーシップ研修では、人との接し方について考えるカリキュラムが存在する。そのため、メンバーとの関わり方に悩みを持っている方・より効果的なチームビルディングを実現したい時にピッタリだ。
リーダーの在り方や必要なスキルを知れるので、立ち振る舞い方が分からない方に受講させるのもいいだろう。
理想のリーダー像を描きながら、現状とのギャップを把握することで、自分が今後何をすべきか具体的にイメージしやすくなる効果がある。
ひと口にリーダーシップと言っても、求められるスキルは幅広い。求められるスキルは、現状の課題感によって異なる。ここでは5つの項目に分けて、どのようなカリキュラムを受講させればいいか紹介する。
チームの目標を決め、達成に向けてメンバー全員を巻き込んでいくための力を身につけるカリキュラムを設計しよう。
メンバーにやる気を出させるコツや、メンバーとの関係性の築き方などを考えるカリキュラムが効果的だ。
上手なコミュニケーションの手法を学んで欲しいという要望は多い。
正しいコミュニケーションの手法を学んだり、グループワークを通じて各受講者と関わったりできるカリキュラムを用意するといいだろう。
主体性の発揮や問題解決の手法を体得するカリキュラムがオススメだ。
これまでの仕事に対する取り組み方を見つめ直してもらったり、フレームワークといった「明日から使える」実践的な課題解決手法をカリキュラムに組み込もう。
部下を育てるときのコツを知ってもらおう。
部下に不満を持たれないための指導方法や、部下のパターン別に育成方法を変える手法を学ぶカリキュラムが良い。
効果的に会議を進行させたいのであれば、ファシリテーションスキルを身につけてもらおう。
議論が活発化するようにメンバーの意見を引き出すノウハウや場の空気感の作り方など、ファシリテーションに必要とされる内容を中心にカリキュラムを組もう。
疑似会議をさせて、実際にファシリテーションを体験をしてもらうことも効果的だ。
ここからは、リーダーシップ研修の内容を決める際のポイントを3つ紹介する。
研修受講後に、「どういう状態になっていて欲しいか」というゴールを想像し、そのゴールから逆算して内容を決めよう。
研修は、現段階で受講者が持っているスキル(スタート)と、研修終了後に持ってもらいたいスキル(ゴール)のギャップを埋めるために行う。
したがって目的を決めてから、カリキュラムの内容を組むことが大切だ。
会社で依頼をする研修である以上、コスト意識を持つことの重要性は非常に高い。
経営視点から、コスパが高い研修になっているか、チェックすることをおすすめする。
研修でたくさんのカリキュラムを詰め込んでも、研修内で全てを覚えてもらうことは不可能だ。詰め込みすぎたカリキュラムに良くある落とし穴としては、同一の研修で複数の異なるゴールを設定してしまっている場合だ。
これでは、受講者側が何のためにその内容を学んでいるのかという理解がブレてしまい、研修の教育効果そのものに悪影響が出てしまう。
したがって受講生に身につけてほしいスキルとして、優先順位が高いものを1,2つに絞って、カリキュラムの中に盛り込むことが大事だ。こうすることで、研修後のパフォーマンスを最大限発揮するのに役立つだろう。
最後にリーダーシップ研修を実施しているおすすめ研修会社を6つ紹介する。
社名の通り、リカレント教育(社会人の再教育)に特化をしている老舗の研修会社だ。リーダーシップ研修の実績も豊富で、公式サイトに研修実績の一例も紹介されている。
また、公式サイト自体がWeb研修カタログになっており、10秒で見積もりが完了するとうサービスがある。研修の料金を早く知りたい企業にピッタリだ。
ちなみに、ここまで紹介したオススメの研修内容は全て網羅されている。
加えて、社内を変革していくリーダーを育成する「変革リーダーシップ研修」。品質管理部門で活躍するリーダーを育成する「QC研修」などのリーダー研修も実施をしている。
参照:リーダー研修一覧
まずは、10秒で見積もりで費用感を確認。その後、研修内容を相談してみるといいだろう。
国内人材会社最大手企業「リクルートグループホールディングス」の傘下で、50年以上の歴史を持つ老舗スクールだ。
社外の参加者と一緒に受講できる「公開型」の研修を取り扱っていて、1名~参加できる。ちなみに研修は3時間で終わるカリキュラムから、1~2日間かけて実施するものまである。
たとえば、「リーダーのためのチームワーク入門」では、チームリーダーを初めて経験する方や成果を出せるチーム作りを目指している方向けに、座学や個人ワーク・グループワークなどを導入した研修を用意している。
研修で使える時間を考えながら、カリキュラムを選ぼう。
グロービスマネジメントスクールと呼ばれるサービスを展開しており、「東京・大阪・名古屋」に校舎がある。様々な種類のリーダーシップ研修を用意しているのが特徴だ。
たとえばヒト系領域プログラムでは、「組織行動とリーダーシップ」と呼ばれる項目に3種類。「リーダーシップ開発」と呼ばれる項目に6種類用意しており、1~2日間で終わる研修となっている。
また、長期にわたって行う研修もある。たとえば「リーダーシップディベロップメントプログラム(LDP)」の場合、3時間のセッションを3カ月間で6回受講するといった具合だ。その他に講座形式のカリキュラムも用意してあるので、状況に合わせて使い分けよう。
三井住友銀行グループの企業である「SMBCコンサルティング」でもリーダーシップ研修を実施している。元々は1971年に設立された「住友ビジネスコンサルティング」が始まりとなっており、2001年に現在の会社が誕生した。
ちなみにリーダーシップ研修と呼ばれるものは1種類しかない。リーダーシップの基礎や活かし方、マネジメントとの違いなど5つのセクションに沿って受講する。
研修時間の目安は午前10時から午後5時となっているが、要望すればカリキュラムをカスタマイズしてもらえる。
航空機を運行するANAグループの企業「ANAビジネスソリューション」でも、講師を派遣して研修を実施している。
講師はANAの職員として働き、社員教育に携わってきた方が中心だ。研修時間は2時間~2日間の間で設定できて、以下の基本的プログラムを元にカリキュラムが組まれる。
リーダーシップとは
→グループディスカッションなどで、リーダーシップに求められるスキルや素質などを考える。
自己理解・他者理解
→自己・他者について深く理解する手法を知る。
コミュニケーション
→「聞く・褒める・認める」ことを意識しながら、ロールプレイングを通じて学んでいく。
コミット宣言
→自身の長所を理解した上で、部下の能力を発揮させるための仕組み作りや、それを実現させるためのモチベーション形成を行う。
ただしプログラムによって、定員が異なるため確認してから申し込もう。
リンクアンドモチベーションでは、2001年より企業向けのコンサルティング事業を行っている。そこで得たスキルを反映した、リーダーシップ研修を実施している。
研修で学んだ内容を現場で活用できるよう、グループワークや体感型ゲームなど、楽しみながらスキルを磨く研修となっている。
研修の最後には自身の課題を解決するためのアクションプランを作成する場面もあるので、既に具体的な課題を抱えている方には有効な研修となるだろう。
ここまで、リーダーシップ研修が求められている背景やおすすめのカリキュラムなど、全体像について紹介をしてきた。
リーダーシップ研修は、リーダーシップに必要なスキルを得るだけでなく、リーダーとしての自覚を醸成させたい時にも役立つ。現職のリーダーだけではなく、今後組織をまとめる可能性がある人材に対して実施してもいいだろう。
しかし、リーダーシップ研修と言ってもカリキュラム内容によって期待される効果が異なる。そのため、まずはリーダーシップ研修を実施している企業への相談することをお勧めする。ゴール設定を明確化させることが、効果的な研修を実施するための第一歩だ。
ちなみにリーダーシップ研修を行っている企業は、以下の通りだ。
企業ごとで研修内容が異なるので、どの企業が自社に合うか見極めてから申し込もう。