リスキルラボ 3分で分かる、評価制度の種類とメリット【基本理解】

人事評価研修
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「評価制度」とは、従業員の能力や貢献度などについて従業員を評価する人事制度の一つを指す。評価制度は処遇を決めるだけでなく、企業の業績や従業員のモチベーションに直結する重要な制度といえるだろう。しかし、企業にとって、全従業員の納得する人事評価制度を確立させるのは難しい課題だ。評価がきっかけで退職者が出てしまったりすることもある。

そこで、今回は人事評価制度の種類や正しい運用方法を紹介する。

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評価制度とは

人事評価制度とは、従業員の能力や貢献度などについて評価内容に応じて従業員に対応する制度だ。半年に1回、1年に1回など、定期的に行う。評価基準については企業ごとに定められている。

人事評価の目的

従業員が評価制度に不満がある場合は、人事評価制度の目的がなんだかわからないという不満が多い。まずは「何のために評価するのか」についてきちんと従業員に理解させる。

主な人事評価の目的は次のようなものだ。

最適な人材配置

企業は、従業員の能力や適性に見合った配置を行うことで組織の成果を最大化させるため、人材配置を決定する根拠が必要だ。そこで、従業員一人一人の能力を十分に活かす適材適所の人員配置を行うために、人事評価が活用されている。同じ評価基準のもと、それぞれの従業員の強みや弱みを比較することで、最適な人員配置の決定が可能となる。

処遇決定

企業は、従業員が働くことに対して「毎月の給料」「賞与」「退職金」などの名目で報酬を支払っているため、個人が果たした貢献や担った役割などによって優劣がつけられる。そうすることで、報酬の支払いに対する従業員からの納得が得られることから、報酬の支払いに対する優劣をつけるための根拠として、人事評価が活用されている。

生産性や業績の向上

企業の生産性や業績を向上していくため、企業が従業員に対して目指す方向性を示し、同じ目標に対して進んでいく必要がある。人事評価制度を企業理念や経営方針、経営目標などに基づいて作成し、評価項目や基準に適切に反映できれば、企業の進むべき道や求める人物像を明確に従業員に示すことができる。

人材育成

明確な評価基準と処遇を明確にすることで従業員が「評価される」と認識できれば、従業員の自発的な成長が期待できる。また、評価は個々の従業員の理解度や育成度を明らかにするための根拠となるため、人材育成の基準としても役立ち、評価をすることで、被評価者の能力と組織が期待する内容とのギャップを把握できる。そして、目標の立て直しや行動の振り返りを効果的に行うことが可能となる。

人事評価制度の種類

人事評価は種類がいくつかある。現場で導入されている人事評価制度は、企業の目的によってさまざまだ。ここでは主に3つの人事評価制度をチェックしていこう。

MBO(目標管理制度)

MBO(目標管理制度)とはMBO(Management By Objectives:目標管理制度)の略だ。従業員が自身で目標を考え、企業に伝えたうえで達成度が評価される評価制度だ。MBOでは、できるだけ目標の内容や期限を細かく定めることが必要となる。

MBOのメリット

MBOのメリットはまず、会社への貢献度と成長度が両方見れる点だ。社員と企業間で目標が共有され、自分の目標が企業のためになっているという実感が生まれる。また社員の目的も明らかになっているため、モチベーションを上げることもできる。

MBOのデメリット

一方で、目標内容が具体的に定められているが、社会情勢などが変わったりして経営状況が変化すれば修正していかねばならない点はデメリットだ。また定期的に内容を見直さなくてはならない点も、面接する側とされる側で両方の時間を使うこととなる。

また評価指標として「OKR」というものがある。OKR(Objective Key Results:目標成果)は目標に対する達成度合いを見る評価手法の一つだ。OKRでは目標を会社全体・部署・個人といった階層・単位ごとに決めていく。MBOと比較すると、仕事内容や環境変化に合わせ、短い期間で目標を設定できるので変化の多い業界ではこちらの方が向いている場合もある。IT系などはMBOよりOKRを導入検討する場合が多いようだ。

360度評価

360度評価(多面評価)とは直属の上司だけでなく、複数の従業員で一人を評価する方式だ。上司と部下だけの個人間の関係性に左右されず、公正な評価が実現しやすい。

360度評価のメリット

360度評価のメリットは複数の視点による評価で、従業員からの納得を得やすい点にあるだろう。また一人ではなく複数からの評価が自分にとって目からうろことなり成長のきっかけになることもある。

360度評価のデメリット

360度評価のデメリットとしては時に、特定の社員を評価してさらしているような形に見られることもある点であろう。このように公平な評価を悪用していると思われないためにも、きちんとした説明や従業員への納得のいく人事評価研修が必要となる。

また評価する側の負担が上司以外でも必要になる点も時間を割かれるデメリットとなってしまうだろう。

コンピテンシー評価

コンピテンシー評価とは、業務遂行能力が高い社員の行動を把握し、それを基準として評価を行う評価方式のことだ。「コンピテンシー」とは「高い成果を上げるための行動特性」を表す意味がある。高い業績を上げている従業員の行動特性をモデルとし、そのモデルから設定した評価項目と社員の行動を照らし合わせた評価をする。

コンピテンシー評価のメリット

コンピテンシー評価のメリットは基準があるため評価のブレが小さいことだ。基礎的な能力や知識、スキルは項目ごとに細かく基準に基づいた設定がなされるため、モデルがいるだけに具体的な設定をしやすいからだ。

また実際に実績を上げている社員を基準にしていることから評価への納得度も高いとされている。

コンピテンシー評価のデメリット

一方、コンピテンシー評価のデメリットは正しい基準を見出しておかないとぶれた評価になってしまうことだ。優秀な従業員のモデルは一つではなく、部門ごとに違うものを設定したりある基準ごとに複数設定するなどの工夫も必要であろう。

ミッショングレード制度

ミッショングレード制度(役割等級制度)とは、「役割」単位で等級が決められている。一つの職種のなかに、レベル差のある役割があり、その役割の遂行度や発揮度で給与が決められる制度だ。

ミッショングレード制度のメリット

ミッショングレード制度は、現時点での役割において貢献度が高い人を評価しやすいため、役割を果たしている従業員には年齢に関わらず高い評価を与えることが可能だ。また、従業員は自身の現在の等級やスキルレベルなどを自覚した上で、今後何をすべきかを認識しやすいため、将来を思い描きやすく、意欲の向上にもつながる。

ミッショングレード制度のデメリット

それぞれの従業員に果たすべき職務や成果を具体的に提示するため、導入時に自社に合った「役割定義」の作成が必要となり、役割定義の作り方によっては、適正な評価がしづらく、評価基準があいまいになるリスクがある。また、勤務年数の長い社員も降格や降給の対象になるため、一部の社員からは不満が生じやすくなるという事態も考えられるだろう。

評価制度はどのように行えばよいか

人事評価制度を導入するときの流れはどのようなものだろうか。人事評価制度を導入するときは、正しい流れを組みこむようにすることが大切だ。ここからは、人事評価制度導入時のステップを順番にみていこう。

基準として、目的の設定まずは人事評価制度を導入する目的を明確にしなければならない。目的によって導入すべき評価制度も変わってくるのでどの種類が一番適切なのかなどきちんとした目標に基づいて行わねばならない。

人事評価制度導入の流れ

次に人事評価制度の導入についてみていこう。導入する上での流れは、会社がどの種類の人事評価を実践するのかという評価制度の検討から始める。次に、数ある中から導入する評価制度を検討する。決めた導入の目的はもちろん、企業の理念にその評価が合っているかどうかも考えながら設定した評価制度を行っていく必要がある。

また社員がどんな点を評価してほしいと思っているのかアンケートなどで知ることも良い資料となる。また業界や業種によってはこの評価制度が長々と使えるものか、見直しが必要なものかなども先を見ながら、行っていく必要がある。

人事評価の目標設定

目標の設定は人事評価の種類をどうして、どのような目的で取り入れたのかを社員に納得させることだ。報酬の基準なのか、昇進なのか、インセンティブのための評価なのか、という点だ。目標についてはしっかりと設定しなければならない。

評価項目の設定

次に評価項目の決定をする。導入する評価制度を決定したら、次は具体的な評価項目が必要となる。役職や職種の違いによって業務上求められる能力は異なる。社員が意欲を持って業務に取り組んでもらえるような項目を細かく設定しよう。評価制度は、社員が納得感を持って働いてもらえるためのものだ。

反映方法の査定

策定した評価制度は規定としてきちんとマニュアル化する。反映方法の査定が明確になるからだ。評価基準が明確化することは評価者ごとのブレも少なくなる。評価フォーマットを用意しておくと毎月、半年、一年ごとに見直しや実践がしやすくなる。

すべての準備が整ったら、実際に評価制度の運用を開始する。運用が始まってから制度内容に問題が見つかった場合は、改善を繰り返しながらベストな評価制度を作り上げていく。評価者への研修を行い、人事評価の意義を深く伝え、正しい認識を持たせること、都度見直していくことも大切なことだ。

従業員への周知

従業員への周知は評価制度を実施する上で欠かせない。評価制度の導入を、説明会などを行い、「評価内容が何を目的にどう反映されるのか」といった点や社員が持つ評価制度に対する疑問を解消することだ。また、評価者に対しても研修を実施し、評価基準に不公平が生じないようにしなければならない。

人事評価がブレたときに起こるマイナス面は「離職率の増加」だ。「正しい人事評価が受けられない」「平等でない」といった不満がモチベーションは失われ、働き甲斐もなくなるというものだ。ゆえに優秀な人材の流出にもつながってしまうことになりかねない。また、あまりにも社員の処遇が理不尽だったケースなどでは、「裁判所に訴えられる」というケースも起こりえる。そのようなこととなれば、企業のイメージダウンになるばかりか、人事評価の目標である社員成長や企業成長には程遠くなってしまう。

企業の成功事例

次に人事評価で成功を収めた企業例を見ていこう。

1.Chatwork株式会社

2004年に設立され、チャットツール「Chatwork」で知られるChatwork株式会社。当初目標設定という文化がなかったが、従業員数が大幅に増えたため上司一人からの評価では足りなくなってきた。そこで「MBO」を導入した。しかし職種柄細かい設定修正が必要になる業界のため設定の切り替えがしやすいOKRを導入することとした。

当時Googleが採用していたOKRを導入した当初ではOKRの達成率が報酬に連動していたので社員の緊張もあったようだが、業績評価を「会社の業績」とし、それを補足する目標評価として「どれだけチャレンジできたか?」に変更して運用した。さらに行動評価を採用することで、挑戦を常に意識する人事評価制度が実現した。

2.株式会社メルカリ

フリマアプリで一躍、名を知られることになった株式会社メルカリでは、人事評価制度に「OKR」を採用している。スピード感を持って事業を成長させるため、変化にも柔軟に対応できるよう3か月ごとのサイクルで実施されている。グループ全体から事業部、部署、個人へと目標を割り振ってそれぞれのOKRは全社的に共有される。達成率ではなく「達成するプロセス」を評価の軸に定めている。

もうひとつの評価軸に定められているのは、同社のバリューを実践できているかの「バリュー評価」だ。これを取り入れてからスピード感もアップし、上場準備も行えるようになった。

まとめ

長年続いた評価制度も、時代や業種、ライバル社に比べて流れが自社と合わなくなることもある。そのように感じたら人事評価制度の見直しを検討しよう。

すでに社員から抵抗があったり離職者が増えたりしている場合は要注意だ。適切な人事評価制度が設定されると、離職率が低くなるという結果になることも分かっている。フィードバックによって社員は評価結果に納得し、課題を明確化することで次の目標と成長につなげていくことができる。これが全従業員にかかわってくれば会社全体の底上げを人事制度で行うことが可能だ。

この記事の監修者
リスキル事務局
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Q&A
  • 人事評価制度とは、従業員の能力や貢献度などについて評価内容に応じて従業員に対応する制度です。半年に1回、1年に1回など、定期的に行うことが必要で種類や評価基準については企業ごとに定められています
  • 主な人事評価の目的は「最適な人材配置」「 処遇決定」 「生産性や業績の向上」 「人材育成」といえます。
  • 人事評価制度は、「会社にどれだけ貢献できているか」という点がまず入ることが必要です。それに伴ってプロセスの評価も必要とされます。 そしてその評価に従業員もある程度のやる気を見出して次にステップアップしてもらう必要がありますので、会社の目標に対して自分はどんなことをしたのかなど、人事評価の種類で会社の業種や業界によって設定する項目を細かく調整していく必要があります。
  • 360度評価(多面評価)とは直属の上司だけでなく、複数の従業員で一人を評価する方式です。上司と部下だけの個人間の関係性に左右されず、公正な評価ができ、評価を受ける方も納得しやすい点がメリットです。 今までは一面しか見れなかった上司だけの評価であったものが、直属の上司では気が付かない点をほかの人が別の視点から見ることができたりする点が社員にも納得を得られやすいのです
  • コンピテンシー評価とは、業務遂行能力が高い社員の行動を把握し、それを基準として評価を行う評価方式のことです。高い業績を上げている従業員の行動特性をモデルとしているので、具体例をあげやすく目標項目を設定しやすい、評価しやすいメリットがあります。
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