部下をダメにする上司は、様々な会社に存在する。この状況では部下が育たないため、社員や会社にとって良くない。この状況を打破するには、部下をダメにする上司の原因と対応を知っておく必要がある。
今回は部下をダメにする上司を4つのパターンに分けて、それぞれの解決方法を紹介していく。
はじめに、部下をダメにする上司に見られがちな特徴を4パターン紹介する。
1つ目は教え方が悪いパターンだ。部下にスキルが身につかず、社内で活躍できない状況をつくりだす。それが原因で、今後スキルを習得するときに苦労するかもしれない。結果、キャリアを築くときの支障となってしまう。
矢継ぎ早に指示を与えて、部下に考えさせない上司もいる。部下が考えようとしても、それを遮断するように次々と指示を与えていく。部下は成長の機会を奪われて、受け身の人間になってしまう。
受け身の体制が身につくと、上司から指示が出されるまで動けなくなり、自発的に行動する習慣が難しくなる。結果、積極性に欠ける社員を生み出してしまう。
部下とのコミュニケーションがとれていないのも、部下をダメにする上司に見られがちだ。お互い意思疎通が取れず、連携ミスが起こってしまう。チームの仕事がストップしたり連携ミスによって余計な業務が発生したりして、他の社員に迷惑をかけることになるだろう。
部下からの信頼がない社員もダメな上司に見られる。気分屋だったり部下の手柄を横取りしたり、部下から嫌われる行動をとっているのが特徴だ。仮に上司として立ち振る舞っているつもりでも、部下からすると不快に感じる行動が多い。信頼を取り戻すのは難しく、相当な努力が必要とされるだろう。
部下をダメにする上司は、自社で部下が成長する機会を奪ってしまう。その原因を2つ紹介する。
上司の指導によって、メンタル不調を引き起こす恐れがある。万が一、精神疾患を患うと出勤できなくなり、仕事を通じて成長する機会が奪われてしまう。
上司のもとで、これ以上働けないと思った部下は退職してしまう。社員ではなくなるため、部下にかけた時間やコストが無駄になる。優秀な人材がいなくなり、会社からすると痛手になってしまう。
部下をダメにする上司から抜け出すことは可能だが、抱えている原因によって方法は違う。ここでは、本記事の序盤で紹介したパターン別に解決方法を紹介する。
教え方が悪い上司の場合は、指導方法を変える必要がある。以下の方法が効果的だ。
一緒に目標を設定させれば、何に向かって仕事を進めていけば良いか分かる。結果、人材育成の成果を出しやすくなる。ちなみに目標を設定させるときは「会社が求めているスキルに対して、部下がどのような行動をとるべきか」という視点を持たせるといい。すると、部下や会社にとって良い目標ができるはずだ。
口では分かりましたと言っても、実際には分かってない場合もある。その状況を回避するには、部下の行動によって指導内容を変えさせることが大事だ。部下の理解度を把握させておけば、必要に応じた指導ができる。
ちなみに部下の理解度を確かめる方法として、上司が部下に質問をして確かめたり、研修で理解した内容を書かせたりなど多数存在する。
部下の成長には、ある程度の時間がかかる。上司が部下に教えたからと言って、全ての内容を理解してもらえるわけではない。短期間で全ての内容を覚えさせるのは無理がある。したがって中長期的な視点で、部下を育てさせるべきだ。半年や1年ごとのスケジュールをつくり、長い目で育成させるといいだろう。
いくら熱心に指導しても、部下に理解してもらわなければ意味がない。上司が伝えても、それは自己満足を満たす行為でしかない。専門用語を多用したり自分の経験談をもとに指導したりするのは控えて、部下がイメージしやすいように伝えることが大切だ。
部下に自分の状況を把握させるのは難しい。自分の状況を部下に把握させるためにも、フィードバックを行わせるべきだ。部下にフィードバックを与えさせれば、その内容をもとに動きだす。部下に成長のきっかけを与えることになり、質の高い指導が可能になるだろう。
部下に考えさせない上司は、考える時間を与えさせるべきだ。抜け出す方法は以下の通りだ。
すぐに上司が答えを言ってしまう行為は、業務を速く進めたいときには良いだろう。しかし部下が考える時間を奪うことになるため、答えを言わせてはいけない。答えを分かっていても、部下が答えを言うまで黙らせるべきだ。
たとえば「業務効率を上げるために、必要だと思うことはあるか」「どのような仕事の仕方が良いと思うか」といった形で上司が質問をすると、部下は自分なりの答えをつくるために行動する。結果、部下に考えさせない状況から抜け出せる。
部下にチャレンジする機会を与えさせるのも、考える時間をつくるのに効果的だ。今まで経験したことがないことや、普段の業務よりも多少ハードルが高い業務を与えるといいだろう。
ただしチャレンジする機会を与えさせるときは、部下によって内容を変えた方が良い。理解度や状況は各社員によって異なるためだ。仮に同じキャリアを描いている部下がいても、チャレンジするタイミングは社員によって違う。最大限の効果が生まれそうなタイミングで実施することを意識すべきだ。
部下とのコミュニケーションがとれていない上司は、関わる時間を増やした方がいい。以下の方法で解決するといい。
部下とのコミュニケーションをとる時間を確保させれば、お互いの価値観や意見が分かる。すると相手の視点に立った行動ができて、仕事の質を向上させるのに役立つ。以下の形式でコミュニケーションをとる時間をつくるといいだろう。
定期的に部下と上司で1対1の面談を行う時間をいいだろう。雑談などを交えながら、部下の状況を把握することで、上司としてどのような指導をすべきか考えやすくなる。部下との距離感が縮まって、コミュニケーションをとるのが楽になるはずだ。
チームメンバーなど大勢でコミュニケーションをとらせたい場合は、懇親会を実施するといい。1対1の面談が苦手でも、懇親会であれば人と話すのが楽に感じるケースもある。飲み会やレクリエーションなど様々なパターンで開催できるため、使い分けるといいだろう。
ウソが発覚すると上司を信じなくなり、コミュニケーションをとるのが難しくなる。ウソをついた状態で部下と接すると、矛盾が生じる原因になる。しかもウソを隠しながら仕事を進めなければいけない恐れもあるため、精神的に滅入ってしまう。よってウソをつくべきではない。
自分の言うことを聞かせようと、相手に強制させると部下からの信頼を損なう。理想通りにさせたいのであれば、部下が自主的に動くよう誘導すべきだ。部下が興味を持ってくれそうな話題を振ったり、上司から部下のもとに歩み寄らせたりなど様々な方法がある。
部下からの信頼がない場合は、信頼回復する必要がある。方法は以下の通りだ。
部下の成功を素直に喜べない上司もいるが、その行為は部下から器が小さいと思われる原因になる。そう言われないためにも部下が成功したときは、素直に喜ぶことが大事だ。しかし意識をしても行動に移せない上司もいる。その場合は、以下のことを意識させるといいだろう。
部下に追い越されるのが怖くて成功を喜べない上司の場合は、部下と比較させないことが大事だ。向き不向きがあることや自分の目標に向かって進んでいく大切さを伝えて、比較させないように持っていくことが大事だ。
部下の立場に立たせて、行動させることも大事だ。部下が一生懸命やってきた努力を、上司に共感させることで、部下の成功を喜んでくれる可能性がある。自分目線ではなく部下目線に立って物事を考えさせると、成功を喜ぶ上司になるだろう。
仕事である以上、私情を入れてはならない。たとえばプライベートで嫌なことがあって部下に八つ当たりしたり、機嫌の悪い表情で話したりすると部下に気を遣わせてしまい、仕事のモチベーションを下げる恐れがある。
また、部下の好き嫌いによって指導方法を変えるのもNGだ。好きな部下には優しく接して、嫌いな部下には厳しく接するイメージだ。このような指導を行うと、部下によって指導方法を変えていることが社内に回ってしまい、上司としての印象が悪くなってしまう。
上司に自分の居場所を失くさせないためにも、中立的な立場で指導させた方がいい。それを日頃から行うことで、器は大きくなっていくはずだ。
謙虚な気持ちを持てば、部下の手柄を横取りしたり、自分の過ちを認めたりできるようになる。それが器を大きくする行為につながる。上司に謙虚な気持ちを持たせるには、以下の方法を意識させるといい。
自分の現状を全て認めさせると、自分の短所に気付く瞬間が生まれる。それがきっかけで、謙虚な気持ちを持ってくれる可能性がある。様々な場面で振り返させる機会を与えるといいだろう。
携わっている業務のほとんどは、他の社員や取引先など、様々な方の力によって処理できている。感謝の気持ちを大切にさせると、他の方々に対する配慮が生まれて自分以外のことを考えさせる習慣ができる。結果、謙虚な気持ちを持つことにつながっていく。
ひと口に部下をダメにする上司と言っても、様々なパターンの方が存在する。
部下をダメにする上司の大半は、上記のいずれかに当てはまるだろう。このような上司がいると、部下を成長する機会を奪ってしまうため、いち早く抜け出させる取り組みを行うべきだ。解決方法は以下の通りになる。
パターンごとに解決方法を使い分けると、部下をダメにする上司から抜け出すきっかけになるだろう。部下は会社の成長を支える人材として必要だ。
上司によって部下の育ち方が変わると言っても過言ではない。立派な人材に成長させるためにも、部下を育て上げる上司にしていただければと思う。