現代ではSNSの普及によって、消費者の目が肥えてきた。その影響を受けて、営業利益の向上に苦戦している企業も存在する。その状況を打破するには「営業力強化」が必須だ。営業力を強化すれば、会社の利益を挙げやすくなる。
社員達に習得させるべきスキルや知識を知っておけば、スムーズに営業力強化を進められる。そこで今回は、営業力強化に必要なスキルや知識を中心に紹介する。
目次
営業力とは顧客との信頼関係を構築できたり、売上達成を実現させたりする力のことだ。営業力の高いチームでは、成約率が同じだったとしても客単価を上げられる。営業力強化は企業の経営成績に直結するものであるため、不可欠なものだと言える。
営業力が低くなるのには原因がある。ここでは、低くなる理由を紹介する。
営業で必要な知識が身についていないと、顧客に売り込んでも購入してもらえない。商談成立の件数が少ないため、営業成績が伸びなくなってしまう。
営業の課題を把握しないと、同じ失敗を繰り返す。営業に活かすことができず、チームの成績を伸ばせなくなる。
営業力の低いチームでは、誰に対しても同じパターンの営業をしている。相手によって、営業の仕方を変えなければ営業成績は伸びない。結果、営業力の低いチームになってしまう。
情報共有されていないと、複数の社員が同じ顧客に対して営業を行うことになり、会社の評判が悪くなってしまう。顧客がつかない状態が続くことになる。
営業力を強化すると、以下のメリットが期待できる。
営業力を強化すると、チームの営業成績が上がっていく。チームの営業成績を伸ばしていけば、予算や人員を確保するチャンスが増える。
営業力を上げれば、他社と比較されたときの評判が良くなるため、差別化につながる。仮に同業他社と似た商品を売ったとしても、評判が良い限り顧客はついてくれるはずだ。
営業力強化で必要な知識は、個人向けか法人向けかによって異なる。ここでは、それぞれの営業において必要なスキル・知識を紹介する。
対個人向けの営業では、即決型の営業が多い。そのため、以下の知識・スキルが必要になる。
トーク力を身につければ、クロージングまでスムーズに運べる。結果、即決型の営業をするときに役立つ。なおトーク力を磨くときは、以下のことを意識すると向上しやすい。
FABEとは「Feature(商品の特徴)、Advantage(商品の機能)、Benefit(商品購入によるメリット)、Evidence(商品の使用事例)」の頭文字をとってつけられた言葉だ。4つのことを織り交ぜながら話を進めていくと、クロージングまで運びやすくなる。
専門用語ではなく、分かりやすい言葉に置き換えることが大事だ。社内で頻繁に使われる言葉だったとしても、顧客に理解してもらえるとは限らない。相手に合わせて、言葉をかみ砕きながら伝えることが大事だ。
非言語コミュニケーションとは、言葉以外でとっていくコミュニケーションのことだ。喜怒哀楽の表情を使い分けたり、身振り手振りを交えたりするのは、非言語コミュニケーションの代表例だ。
非言語コミュニケーションを活用すれば、話のトーンを調整しやすくなる。結果、顧客が飽きてしまう状況をつくらずに済む。
顧客の興味を把握しない状態で営業を進めると、顧客は興味を持ってくれない。商品に興味を持つ方もいれば、そうではない方もいる。
即決してもらうには、出だしから顧客の興味・関心を引き付ける話ができなければならない。短期間で商談を成立させるためにも、顧客の興味を把握するスキルは必須だ。
個人向けの営業では、自社の商品について知らない顧客が多い。仮に、自社の商品に関する専門スキルがない場合、顧客から質問されても答えられない。すると顧客は不安に感じ、購買意欲が下がってしまう。
しかし自社の商品に関する専門スキルを身につけておけば、顧客に質問されたときも堂々と返せる。その立ち振る舞いが顧客を安心させることになり、即決での商談成立を可能にする。
対法人向けの営業では、決裁者ではない方へ話したり、営業開始から契約成立までの時間がかかったりするケースが多い。そのため、以下のスキルや知識を習得した方が良い。
法人のことをリサーチせずに営業活動を行うのは、丸腰で無人島へ行くのと同じだ。どこまでリサーチできているかで、話の進めやすさが変わってくる。細かい部分までリサーチしておけば、浅い話だけではなく深い話もできるため、商談を進めやすくなるはずだ。外出先でも効率よくリサーチが行えるように、タブレットを持ち歩く人も多い。タブレットのレンタルを活用してみてもいいだろう。
法人向けの営業では、担当者に次の予定が詰まっているケースも多い。予定時間をオーバーしてしまうと別の業務が後ろ倒しになってしまい、担当者に迷惑をかけてしまう。時間を守れない社員だと思われてしまうと、印象が悪くなってしまう。それを防ぐ意味でも、スケジュール通りに進めるスキルは身につけた方が良い。
法人向けの営業では、担当者に上長へ話してもらい、許可をとってもらわなければならない。その際に必要となるのが、ヒアリングをもとに提案する力だ。この力がなかった場合、上長にポジティブな報告をしてもらえない。結果、商談を成立させるのが難しくなってしまう。
しかし良い提案ができれば、担当者は上長に対して積極的にアプローチをかけてくれる。すると契約成立に向けて一歩前進できる。なお提案するときは、以下のことが大事だ。
会話を進めていくと、社内での悩みや困りごとなどを伝えてくれる。それらを解決する提案をするといいだろう。
法人向けの営業では、社内のコストなど数字に関する話題が多い。そのような話題が出たときに数字を用いた話ができないと、説得力に欠けてしまう。その結果、商談を成立させることが難しくなる。
数字の知識が身につけば、下記のように数字を用いて話を進めることができる。
例.
〇〇を導入していただくと、システム管理費を年間100万円節約できます。
営業代行を利用していただくことで、顧客と接する機会が10倍増えるため、年間で1億円の売上アップが期待できます。
上記のように数字を盛り込みながら話を進めていけば、担当者は購入後のビジョンをイメージできる。そのため、商談がスムーズに進んでいく。
最後に営業力強化のポイントを紹介する。ここでは「個人向けの営業におけるポイント」と「法人向けの営業におけるポイント」の2種類に分けて紹介していく。
個人向けの営業では、以下のことを意識すると良い。
個人向けの営業では、短時間で成立させるケースが多い。その状況に持っていくには、今契約すべき理由を伝えることが大事だ。
「今だけ〇〇」や「今日まで〇〇」という言葉を使うと、顧客の購買意欲を上げることにつながる。それが客単価アップを実現させていく。
顧客の感情が高まっていないときに良いことを伝えても、購入したい気持ちにはならない。買いたいと思ってもらうには、顧客の感情を高ぶらせながら話を進めることが大事だ。
たとえば相手がお得だと感じれば、感情が高ぶって購買意欲が高まるかもしれない。短時間でクロージングまで進めるためにも意識すべきだ。
法人向けの営業では、以下のことを意識すると良い。
担当者が気に入っても、法人の立場から見て好ましくなければ、商品は買ってもらえない。したがって、法人の立場を考えながら営業を進める必要がある。
取引先が求めている理想を叶えられることや、商品を購入することで起こるメリットを伝えるなど、様々な視点でアプローチをかけるといいだろう。
法人向けの営業では、何度も足を運ぶことも珍しくない。しかし何度も足を運びすぎてしまい、多額の交通費がかかると、売り上げたとしても利益は減ってしまう。その状況を防ぐ意味でも、費用対効果を考えるべきだ。
社員に指示するだけではなく、上司が営業力を強化しやすい雰囲気をつくることも大事だ。最後に営業力を強化するために、上司ができることを紹介する。
社内のコミュニケーションが活発化すれば、社員間での情報共有が活発になる。その結果、メンバー達は知らない情報を手に入れられる。各社員の営業活動もスムーズになり、営業力強化に役立つはずだ。
定期的にロールプレイングの機会をつくると、普段の営業風景をチェックしてもらえる。第三者がフィードバックするため、自身で気付かなかった箇所を改善するのに役立つ。
しかも社員間でロールプレイングを行えば、他の社員がどのようなスタンスで営業しているかが分かる。他の社員の営業方法を知ることで、刺激にもなるだろう。
またロールプレイングで大事なのは、欠点を指摘するだけの時間にしないことだ。この状態になってしまうとモチベーションや自己肯定感の低下が起こり、営業力強化を妨げる。それを防ぐためにも、改善点だけではなく良い点も伝えることが大事だ。
短期間で育てようとすると、プレッシャーに押しつぶされてしまい、モチベーションを落とす恐れがある。しかも詰め込み型の教育を行った所で、社員は全ての内容を覚えられない。
新入社員については、はじめに営業新人研修などを受けさせた上で、教わった内容が定着できているかを随時確認する手法が良いだろう。ある程度の期間をかけて身に付くものだという周囲の理解も必要だ。
すでに営業の経験がある方に向けては営業力強化研修などを実施し、自身の営業スタイルを見直した上で、より良くするためにはどうすれば良いかを学んでもらう形がおすすめだ。すでに営業経験がある方については、現状のスタイルを否定し過ぎるとモチベーションを下げる原因ともなるため、内容についてはバランスを取って行うことが良いだろう。
営業成績を伸ばしたいのであれば、営業力の強化は必須だ。同業他社との差別化にもつながり、顧客の定着が期待できる。
しかし個人向けと法人向けの営業では、求められるスキルや知識が違う。必要なスキル・知識は以下の通りだ。
■個人向けの営業で必要なスキル・知識
■法人向けの営業で必要なスキル・知識
営業形式に合ったスキルを習得すれば、営業力強化につながるはずだ。その他にも、営業力強化のポイントもあるため紹介する。
■対個人向けの営業におけるポイント
■対法人向けの営業におけるポイント
上記のポイントを抑えると、より一層営業力を強化しやすくなるだろう。営業力強化は、企業の経営成績アップにつながる。その状態を維持するためにも、力を入れて取り組んでいただきたいと思う。