スキルアップは、社員の能力を上げるときに必要だ。社員の能力を高めるには、正しい方法・ポイントを抑えておくことが大切だ。そこで今回はスキルアップの概要を紹介しながら、5つの方法とポイントを解説する。
スキルアップとは様々な訓練や実習などを行って、業務に活きる能力を上げることだ。習得済みの能力値を上げていく場合もあれば、新たな能力を身に付ける場合もある。ちなみにスキルには、様々な種類が存在する。
人と会話をするときに必要なスキルのことだ。相手の話を聞く力や、良好な人間関係を築くときに必要な内容などを理解しながら高めていく。多くの場合、一人ですべての業務を行うことはできず、社内外とのコミュニケーションが必要となる。そのため、多くの会社員に必要とされるスキルだ。
自分の目標を設定したりモチベーションを高めたりなど、自分のことを管理するスキルのことだ。別名「セルフマネジメント力」とも呼ばれる。
パソコン操作など、ITを扱うときに必要とされるスキルのことだ。多くの会社ではコンピュータを用いて、データの管理や事務処理などを行っている。そのため、多くの方に必要なスキルと言える。
スキルアップを行うと、以下の5つの効果が期待できる。
スキルを上げれば対応できる業務の種類が増えるため、業務の幅を広げることになる。先輩社員の業務をサポートできる種類が増えるため、部署にとって好都合だ。
スキルアップを行えば、できることが増えるためキャリアの選択肢を増やすことになり、結果として理想とするキャリアを手に入れやすくなる。
社内のスキルアップに対して魅力的だと感じる社員が増えれば、離職率が減る。
スキルアップがきっかけで取引先への対応を改善すれば、取引先からの印象が良くなる。取引先との関係性を良好な状態にする意味でも、スキルアップは効果的だ。
自社でのスキルアップの取り組みをPR材料として使い、社員教育に力を入れている企業だとアピールすることも可能だ。周囲からの評判が良ければ、サービスの利用者や取引先の増加につながる。
スキルアップには様々な方法がある。ここでは5種類の方法を紹介する。
スキルアップにつながる研修は様々だ。研修の代表例は以下の通りだ。
OJTは先輩社員が現場を通じて、後輩社員へ1対1で指導する研修のことだ。業務をスムーズに進めるためのスキルを、実技を交えながら理解させる。口頭では伝わらなかったり、1対1で指導しないと習得が難しかったりする内容に、OJTを用いることが多い。
OFF-JTとは現場とは違う場所で、業務で役立つ知識を教えていく研修のことだ。座学や講義形式が多く、講師が話す内容を聞きながら受講生は理解していく。講師の話を聞くのがメインになるため、飽きさせないように研修を行えるかがカギになる。
グループワークとは、複数人でグループを組んで特定のテーマに関する話し合いをしたり、ミッションを達成するための行動をとったりすることだ。メンバーで話し合いながら、グループの中で答えを決めていく。
アクティビティ型の研修とは、遊び心を交えた研修のことだ。ゲームを行ったり、無人島で何日間か共同生活を送ったりなど、参加者が楽しめる研修になっている。
e-ラーニングとはコンピュータ上で利用できるシステムを用いて、スキルアップを目指す学習方法のことだ。インターネット通信があれば、場所に問われることなく利用できるため、通勤時などスキマ時間を使ってのスキルアップに向いている。
スクールに通いながら、スキルアップを目指す方法もある。スクールの中には、社会人向けに講義を実施している場所が存在する。生徒同士で仲良くなってアウトプットし合える環境を手に入れれば、それもスキルアップにつながる。オンライン講座を実施しているスクールもあるため、現地まで通えない方も利用可能だ。
ジョブローテーションとは「営業職→経理職→技術職」というように、様々な部署での業務を経験させることだ。様々な種類の業務スキルを習得できるため、スキルアップの方法として用いられている。
複業でスキルを習得させると、それが業務のスキルアップにつながるケースがある。たとえば技術職の社員が事務の複業をさせると、事務処理のスキルが上がるかもしれない。それで資料の作成時間が短くなれば、他の業務に時間を割けるようになる。このように、複業で身に付けたスキルを本業に活かしていくのだ。
スキルアップを成功させるには、大事なポイントを抑えておくことが大事だ。最後にスキルアップで大事なことを5つ紹介する。
会社を挙げてスキルアップの支援を行うのが大事になる。たとえばスキルアップの手当てを支給したり、研修の割引サービスを導入したりするのは代表的な支援策だ。会社で支援すると、社員はスキルアップのときに発生する費用を抑えられる。金銭面が理由でスキルアップをすることが難しい社員を助けることにもつながる。
習得しているスキルの状況は人それぞれ異なる。そのため、社員によってスキルアップさせる内容は変えた方がいい。たとえ同時期に入社した社員が複数いたとしても、得意分野や苦手分野・理解力などは異なるため、必然的にスキルアップの内容も変えることになる。
ちなみにスキルアップの内容を決めるときは、社員が習得しているスキルの状況がどのくらいか理解した方がいい。たとえば会社側が望んでいる理解度を100としたときに、70を習得しているのであれば、残り30を得るためのスキルアップを考えるイメージだ。
会社と社員の間に、どのくらいのギャップがあるか把握すれば、内容を決めやすくなる。理想とする成果を得てもらう意味で大事だ。
何も計画を立てずにスキルアップをしてしまうと、何をいつまでに行うべきか分からなくなる。結果、ペース配分が分からなくなり失敗に終わってしまう。なおスケジュールを立てさせるときは、以下の内容を意識すべきだ。
スケジュールに様々な内容を詰め込みたいが、数が多すぎて迷うケースもある。そのときは優先順位を決めさせて、順位が高いものから入れこませるといい。すると重要度が高い内容を漏らさずに済む。優先順位のグループ分けをしておくと、スケジュールを立てるのも簡単だ。
たとえばAの所要時間は60分、Bの所要時間は90分という形で把握させておくと、正確なスケジュールを組みやすくなる。
スキルアップの内容が決まっていても、実施時間が正確でないと予定は狂ってしまう。スケジュール通りに進めていくためにも大事なことだ。
アクシデントや急用によって、予定通りに進められなくなる恐れがあるため、余裕を持たせるのも大事だ。たとえば各項目に+10分ずつ足したり、予備日を作ったりするイメージだ。
スケジュールよりも早く終わる分については後の予定に支障をきたさないが、遅く終わってしまうと、後の予定に支障をきたす。後の予定を当初の予定に戻す意味でも重要だ。
独学でスキルアップをするのが、苦手な社員も存在する。個人に任せると思ったような成果を得られない場合もあるため、会社がスキルアップの場を与えることも必要だ。
たとえばアウトプットする場を設ければ、社員同士の情報交換が活発になり、スキルアップにつながる。また先輩社員と交流できる場を設けて、スキルアップが必要であることを自覚させる時間を設けると、本気で自分の能力を上げようとする社員が増えるかもしれない。このように社員総出で、バックアップすることが大事だ。
簡単に習得できるスキルばかり上げていくと、難しいと思うことに挑戦しなくなったり、スキルアップの速度が落ちたりする恐れがある。様々なことに取り組んでもらうためにも、簡単なことばかりチャレンジさせるのは良くない。
とは言ってもチャレンジすることに、おびえてしまう社員もいる。そのときは、以下のことを意識させるといい。
数十秒間で終わることや多くの方ができそうなことなど、ハードルが低いものをチャレンジさせるといい。そこからステップを踏んでいき難易度を徐々に上げれば、難しいことでもチャレンジしやすくなる。やったことがなくても、成功させられるという自信を持たせることが大事だ。
1人では挑戦しにくいケースもある。その場合は誰かが一緒にやってあげるといい。同じことに取り組む仲間がいれば、安心感が生まれて行動につながる。仲間を応援する意味で、取り組ませてみるといい。
常にチャレンジしている方と交流させると、刺激を受けて自分も何かやってみようと思う可能性がある。自分の限界を超えようとしている方や、楽しみながらアグレッシブに動いている方と話す機会を設ければ、相手にワクワク感が伝わって、難しいことに挑戦してくれるかもしれない。
スキルアップは、社員が持っている能力を伸ばすために大事な取り組みだと言える。コミュニケーションスキルやITスキルなど様々な種類が存在するため、社員に合わせてスキルアップの内容を変えるといい。スキルアップには、以下のメリットがある。
1.業務の幅が広がる
2.キャリアの選択肢が増える
3.離職率が減る
4.取引先からの印象が良くなる
5.人材育成に力を入れている企業だとアピールできる
社員だけではなく会社にとってもメリットがあるため、スキルアップできる雰囲気を社内に醸し出すといい。しかしスキルアップと言っても様々な方法があるため、より効果的なものを選択する必要がある。
1.研修
2.e-ラーニング
3.スクールへの通学
4.ジョブローテーションの実施
5.複(副)業をさせる
本記事を作成しているリスキルも研修会社の一つだ。テーマ別研修や階層別研修など多様な内容を用意している。是非検討してほしい。
社員をプロフェッショナルとして活躍させるためにも、スキルアップできる環境を整えることは重要だ。社員の特性を考えながら、スキルアップに力を入れていただければと思う。