コミュニケーション研修は、業務を円滑に進めるための土台となる力を養う研修です。しかし「何を教えればいいのか」「どんな効果があるのか」がわからず、企画に悩む研修担当者の方も多いのではないでしょうか。この記事ではコミュニケーション研修の目的と内容を6つのステップに分けて紹介し、目的別におすすめのカリキュラムも紹介します。
目次
コミュニケーション研修の目的は、相手との関係を築きながら正確に意図を伝え合う力を養うことです。単なる話し方のテクニックだけでなく、聴く力や関係構築の姿勢まで含めて扱う点が特徴です。
今、コミュニケーション研修が求められるのは感覚だけに頼ったやり取りが通用しにくくなっているためです。働き方が多様化し、対面だけでなくオンラインでのやり取りが増えたことに加え、世代や価値観の異なるメンバーと働く機会も増えました。例えば、以前なら表情や雰囲気で察してもらえていた指示が、オンライン越しでは伝わらず認識のずれを生むといった場面が代表的です。だからこそ共通のコミュニケーションの型を学び直す機会が求められています。
コミュニケーションを円滑にするためには、次の4つのスキルをバランスよく身につけることが大切です。
関係構築力
相手に安心感や信頼感を与える土台をつくる
聴く力
相手の意図や背景を正しくくみ取る
伝える力
要点を整理し過不足なく伝える
相手に合わせる力
タイプに応じてアプローチを変える
この4つは単独で成立するものではな互いに補い合う関係にあります。次の章で、これらを段階的に身につけるカリキュラム例を紹介します。
コミュニケーション研修の内容は、基礎理解から実践的な対応まで6つのステップで構成すると、無理なく力を積み上げられます。1ステップあたり約1時間を想定した例が次のとおりです。
| ステップ | 内容 | ゴール |
|---|---|---|
| 1. 基礎理解 |
・コミュニケーションの目的と必要な場面 ・円滑にする4つのスキル |
必要性とスキルを理解する |
| 2. 関係構築 |
・安心・信用・信頼の要素 ・関係構築に必要な心構え |
関係構築のポイントを確認する |
| 3. 聴く力の強化 |
・傾聴の基本姿勢とかかわり行動 ・言い換え・要約・質問技法 |
効果的な聴き方を身に付ける |
| 4. 伝える力の基礎 |
・相手の視点に立つ考え方 ・PREP法による説明の組み立て |
効果的な伝え方を身に付ける |
| 5. 相手に合わせた対応 |
・相手のコミュニケーションタイプ分け ・タイプごとの依頼・褒める・叱るアプローチ |
相手に合わせた対応を確認する |
| 6. オンラインでの工夫 |
・顔を合わせる機会の確保 ・ノンバーバル・テキストでの配慮点 |
離れていても伝わる工夫を身に付ける |
それぞれの内容を詳しく見ていきます。
最初のステップでは、ビジネスにおけるコミュニケーションがなぜ必要なのかを整理します。雑談と業務連絡で求められる姿勢の違いや、報連相の遅れが招くトラブルの具体例を扱い、コミュニケーションを円滑にするための4つのスキルの全体像を確認します。4つが組み合わさって初めて機能するという感覚をつかむことが、以降のステップの土台になります。
どれだけ話し方が上手でも、相手との間に安心・信用・信頼がなければ言葉は届きにくくなります。このステップでは、この3つの要素がどう積み上がっていくのかを整理したうえで、日常会話の積み重ねや礼儀正しさといった関係構築に必要な心構えを確認します。テクニック以前の土台づくりとして、特に若手社員や異動直後のメンバーに響きやすい内容です。
信用と信頼の違いとは
信用は実績や約束を守った結果として積み上がるもの、信頼は相手の人柄や姿勢に対して抱く感覚的な安心感を指します。関係構築では両方をバランスよく育てることが大切です。
聴く力は、コミュニケーション研修の中でも特に効果を実感しやすい領域です。相手の話を評価や判断を挟まずに受け止める傾聴の基本姿勢やかかわり行動を確認したうえで、言い換え・要約といった傾聴技法、クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンを使い分ける質問技法を扱います。特に要約は認識のズレを防ぐ効果が高く、現場でもすぐに使いやすいスキルです。
Before
相手の話を聞きながら次に言うことを考えてしまう
After
相手の意図を確認しながら要点を整理できる
このステップでは、自分が伝えたい順番ではなく相手が知りたい順番で話す考え方を確認します。そのうえで、要点や理由を先に伝えるポイントやPREP法による説明の型を扱います。結論から話す型を練習することで、報告や説明の場面でも要点が伝わりやすくなります。
PREP法とは
Point(結論)/ Reason(理由)/ Example(具体例)/ Point(結論の再提示)の順で話す構成法です。要点が伝わりやすくなり、報告や説明の場面で特に効果を発揮します。
同じ伝え方でも、相手によって受け取り方は変わります。人には、結論を早く知りたい、周囲との関わりを大切にしたいなど、話し方や物事の進め方にそれぞれ傾向があるためです。このステップでは、こうした傾向をコントローラー・アナライザー・プロモーター・サポーターという4つのタイプに分けて確認します。
コントローラー
結果を重視し、自分の意見や判断で物事を進めたいタイプ
アナライザー
情報を集めて分析し、計画的に物事を進めたいタイプ
プロモーター
新しいことや楽しさを大切にし、活気ある関わりを好むタイプ
サポーター
周囲との協力関係を大切にし、気配りができるタイプ
タイプ別の特徴を踏まえたうえで、依頼する・褒める・叱るといった場面でアプローチをどう使い分けるとよいかを扱います。基本の型に相手への配慮を加える、応用段階のステップです。
最後のステップでは、オンラインでのコミュニケーションに焦点を当てます。意識的に顔を合わせる機会をどう確保するか、表情や声のトーンといったノンバーバルコミュニケーションが画面越しでは伝わりにくいことを踏まえた工夫、テキストでのやり取りで文面がそっけなく見えないようにするための配慮点を確認します。離れて働くメンバーが増えた今、特にニーズの高い内容です。
ノンバーバルコミュニケーションとは
言葉を使わずに、表情・視線・身振り手振り・姿勢・声のトーンなどを通じて気持ちや意図を伝えるコミュニケーションのこと。
このカリキュラムの特徴は、基礎から応用まで段階を踏んで積み上げられる点にあります。関係構築や聴く力といった土台を先に固めたうえで、相手に合わせた対応やオンラインでの工夫といった応用段階に進む設計のため、通しで実施するほど理解が深まります。そのうえで、どのステップに時間をかけるかは対象者の課題に応じて調整していきます。
受講後は、報連相のスムーズさや会議での発言のしやすさなど、日々の業務の中で変化を実感しやすくなります。特に、聴く力と伝える力を組み合わせて使えるようになると、部署を越えたやり取りでも認識のズレが減っていきます。
Before
報告の場面で経緯から話してしまい「結局何が言いたいの」と聞き返される
After
報告の場面で結論から話せるようになり、一度で意図が伝わる
研修だけで完結させず実務での振り返りやフォローアップとあわせて設計することがポイントです。
ここまで紹介した内容と同じ方向性で、目的別に選べるコミュニケーション研修のカリキュラムを紹介します。自社の課題に近いものから取り入れていただけます。
コミュニケーションの基礎から応用まで漏れなくスキルを身に付けてほしい場合は以下がおすめです。
説得力のある伝え方に課題がある場合には、次の研修が選ばれています。
「言えない」か「言いすぎる」かに偏り、適切な伝え方ができていないという場合は、次の研修が向いています。
会議やミーティングの進行力を高めてほしい場合には、次の研修が人気です。
若手社員に上司とのコミュニケーションスキルを身に付けてほしい場合には、次の研修も人気です。
これらはいずれも、今回紹介した6ステップのカリキュラムで扱う関係構築・聴く力・伝える力といった要素を土台にしながら、対象者や場面に応じてより実践的に掘り下げた内容になっています。自社の課題に合わせた内容を選ぶことが大切です。
コミュニケーション研修は、関係構築・聴く力・伝える力・相手に合わせた対応・オンラインでの工夫という要素を段階的に積み上げることで、業務を円滑にする土台をつくる研修です。目的を明確にしたうえで、対象者や課題に合わせてステップを選ぶことが、効果を実感しやすい研修設計につながります。まずは自社の課題に近い内容から、取り入れてみてはいかがでしょうか。
リスキル事務局が記事の執筆・監修をしています。人材育成にまつわるお役立ち情報を分かりやすく解説します。
■社員研修のリスキルとは?
社員研修のリスキルは、一人でも多くの人に人材育成を届けるために、利便性の高い研修サービスを提供しています。検索をすれば、一社で実施する研修、日程が決まっている参加型公開講座、eラーニング動画講座などをすぐに見つけ、簡単に申込みや見積書を作成することができます。
■プロフィール
会社名:株式会社リスキル
(「リスキル」は株式会社リスキルの登録商標です。)
設立:2022年5月2日
上場市場:東京証券取引所グロース市場
■研修実績
・利用社数は年間3900社以上
・年間受講者数 前年比157%
・プロフェッショナルの講師陣300名以上在籍