新入社員研修ではどんな内容を扱い、どうカリキュラムを組み立てればよいか、悩んでいる教育担当者の方は多いのではないでしょうか。本記事では、新入社員研修でよく扱う内容を中心に、それぞれをなぜ研修に取り入れる必要があるのかを整理したうえで実際のカリキュラム例も紹介します。自社の研修設計を考える際の土台としてお役立てください。
目次
新入社員研修とは、入社したばかりの社員に対して社会人としてのマインドセットや基礎スキルを身につけてもらうための研修です。学生気分のまま現場に配属されてしまうと、上司や先輩とのやり取りでつまずいたり、取引先に失礼な対応をしてしまったりする場面が出てきます。そうした事態を防ぎ、早期に組織へ馴染んでもらうことが、新入社員研修に求められる役割です。
新入社員研修の目的は、新入社員を即戦力化させることにあります。ただし、いきなり専門スキルを教え込むのではなく、まずは企業理念や組織の仕組みへの理解、ビジネスマナー、報連相といった基本行動を身につけてもらう内容が中心になります。配属後にスムーズに業務へ入っていけるよう、土台を整える期間ととらえると、カリキュラムの優先順位もつけやすくなります。
多くの企業では、入社式後1週間程度を目安に新入社員研修を実施しています。1日で完結させる企業もあれば、複数のテーマを組み合わせて1〜2週間かけて実施する企業もあり、内容やボリュームは自由に調整可能です。研修期間を検討する際は、配属までにどこまで身につけてほしいかというゴールから逆算して考えることが大切です。
対象者
新入社員(入社1年目)
実施期間の目安
入社式後1週間程度
新入社員研修では、企業や業種を問わず共通して扱われる内容があります。ここでは代表的な6つのテーマについて、なぜ研修に組み込む必要があるのか、扱わない場合にどのような問題が起こりやすいのかとあわせて紹介します。
学生と社会人の大きな違いは、成果に対する責任の重さです。学生であれば結果が出なくても大きな問題にはなりませんが、社会人は自分の行動が会社の利益や信頼に直結します。この違いを理解しないまま現場に出てしまうと、指示を待つだけの姿勢や、責任を周囲に転嫁する態度につながりやすくなります。研修では、会社の成り立ちや経営理念への理解を通じて組織の一員として働く意識を養います。
Before
仕事の結果を「自分の評価」の問題として捉える
After
自分の行動が会社の信頼に直結すると理解している
ビジネスマナーは、仕事の実力が伴わない段階でも信頼を得られる数少ない手段です。表情、挨拶、身だしなみ、態度、言葉遣いといった基本を押さえておくことで、第一印象の悪さから生じる不要なトラブルを防げます。特に敬語の使い方や来客対応、電話応対は現場に配属後すぐに求められる場面が多いため、ロールプレイなどを通じて実践的に身につけておくことが望ましい内容です。
ビジネスマナー研修で押さえておきたい基本項目
新入社員が現場でつまずきやすい要因のひとつが、報告・連絡・相談(報連相)の不足です。何をどのタイミングで共有すればよいか分からず、トラブルの発覚が遅れてしまうケースは少なくありません。研修では、結論から話す伝え方や、相手の意図をくみ取る聴き方など、報連相の土台となるコミュニケーションスキルをあわせて扱います。
仕事の進め方が身についていないと、目の前の作業をこなすだけで手一杯になり、業務改善や振り返りにまで意識が回りません。研修では、PDCAサイクルによる業務改善の考え方や、限られた時間の中で優先順位をつけて動くための時間管理の基本を扱います。あわせて、整理整頓による効率化(5S)を取り入れる研修も多く見られます。
新入社員は、悪気なく規則違反や情報漏洩を起こしてしまうリスクを抱えています。SNSへの投稿や私物端末での業務データの扱いなど、学生時代の感覚のままでは気づきにくい落とし穴も少なくありません。
本人に悪意がなくても、社内規範や情報管理のルールを知らないまま行動してしまうと、会社の信用問題に発展することがあります。新入社員研修の早い段階でルールを共有しておくことが重要です。
コンプライアンス研修は、社会人基礎編やビジネスマナー編とは別に、独立したカリキュラムとして実施されるケースが多く見られます。自社の業種や取り扱う情報の性質に応じて、必要なボリュームを検討するとよいでしょう。
新しい環境への適応は、想像以上に心身への負担がかかります。ストレスの原因やサインを理解し、睡眠・食事・運動といった健康管理や、考え方を切り替えるリフレーミングなどのセルフケアの方法を知っておくことで、早期離職の防止にもつながります。あわせて、目標設定の考え方を扱うことで、研修後も自身の成長を見据えて行動できるようになります。
ここからは、これまで紹介した内容を踏まえた具体的なカリキュラム例を4パターン紹介します。いずれも1章1時間程度を想定しており、自社の課題感に合わせて章を入れ替えたり、他のテーマと組み合わせたりすることも可能です。
会社の仕組みや、働くうえで前提となる考え方など、社会人としての基礎を中心に据えたカリキュラムです。まずは土台を固めておきたい場合に向いています。
| 章 | テーマ | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 会社の基本 | 会社の成り立ちや株式会社の仕組み/経営理念・ビジョンの意味/学生と社会人の違い/仕事に対する考え方・心構え |
| 2 | 売上と利益 | 売上・利益の構造(売上総利益・営業利益)の理解/経費削減の重要性/会社における自分の役割・貢献意識 |
| 3 | 仕事の仕方 | 仕事に必要な6つの意識/PDCA(SPDCAS)による業務改善/5Sによる効率化/指示の受け方/報連相/クレーム対応の基本 |
| 4 | ストレスマネジメント | ストレスの原因やサインの理解/健康管理(睡眠・食事・運動)と考え方の工夫(リフレーミング・レジリエンス)によるセルフケア |
| 5 | 目標設定 | 目標設定の重要性とSMARTの法則を用いた具体的な目標の立て方/アクションプランへの落とし込み方 |
| 6 | (参考)会議での振る舞い方 | 会議に出席・運営する際のマナー/アジェンダの準備/議事録の取り方など円滑な会議運営のポイント |
ビジネスマナーの基礎から、来客・電話・文章コミュニケーションまで一通り扱うカリキュラムです。配属後すぐに現場で使う実践的なスキルを重視したい企業に向いています。
| 章 | テーマ | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | ビジネスマナーの重要性 | ビジネスマナーの意味とメリット・デメリットの理解/信頼構築や成果への影響を事例を通じて確認 |
| 2 | ビジネスマナー5原則 | 表情・挨拶・身だしなみ・態度・言葉遣いの基本習得/第一印象の重要性/正しい挨拶とお辞儀の種類(会釈・敬礼・最敬礼) |
| 3 | コミュニケーションのマナー | 聞き方・話し方の基本スキル/敬語(尊敬語・謙譲語・丁寧語)とウチ・ソトの考え方/クッション言葉/肯定的表現 |
| 4 | 来客・訪問 | 来客対応の流れ/案内・席次の基本/名刺交換のマナー/訪問時の準備と当日の立ち居振る舞い |
| 5 | 電話応対 | 電話の受け方・かけ方の基本/取り次ぎ・伝言メモの作成方法/正しい言葉遣い |
| 6 | 文章コミュニケーションスキル | ビジネスメールの構成とマナー/各項目の記入ルール/ビジネスチャットの使い分けと書き方のポイント |
| 7 | まとめ | 研修内容の振り返り/今後実践したい行動目標の設定 |
学生気分の払拭と、成果へのコミットメントを重視したカリキュラムです。新入社員が指示待ちの姿勢になりやすい、成果への責任感が育ちにくいといった傾向を防ぎたい企業に向いています。
| 章 | テーマ | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 社会人としての基本マインドセット | 学生とプロ意識の違いの理解/責任の重さ・成果への意識・言い訳をしない姿勢 |
| 2 | 社会人としての基本動作の徹底 | 挨拶・身だしなみ・言葉遣い・電話やメール対応など/信頼を得るための基本マナーの再確認 |
| 3 | 時間管理と生産性向上 | 時間コストへの意識/現実的なスケジュール管理と集中力を高める働き方 |
| 4 | 報連相とコミュニケーション | 報告・連絡・相談の重要性の理解/結論から話す・情報を共有する姿勢 |
| 5 | 成果へのコミットメント | 目標達成への責任感/環境や他人のせいにせず継続的に自己成長する姿勢 |
| 6 | チームワークと協調性 | 個人プレーではなくチーム全体の成果を優先する意識/役割への責任感と協調的な議論力 |
| 7 | 総合実践とアクションプラン | 研修内容の振り返り/自身の弱点整理/明日から実践できる行動計画の策定 |
関係構築力や傾聴力、伝える力を重点的に扱うカリキュラムです。配属後の新人が上司や先輩とのコミュニケーションでつまずきやすい、という点をあらかじめケアしたい企業に向いています。
| 章 | テーマ | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | コミュニケーションの基礎理解 | ビジネスにおけるコミュニケーションの意味と必要性/求められる場面の確認/スキルとして習得可能であることの理解 |
| 2 | 関係構築力 | 「安心→信用→信頼」の段階的な関係構築/受け入れる姿勢や傾聴の心構え/あいさつ・声がけ・雑談などの実践スキル |
| 3 | ノンバーバルコミュニケーション | 声のトーンや表情、視線、姿勢、ジェスチャーが与える印象や信頼感への影響/意識的なコントロール方法 |
| 4 | 聴く力 | 「聞く」と「聴く」の違い/受容・共感・自己一致という傾聴の基本姿勢/質問の使い分け |
| 5 | 伝える力 | ペーシング、クッション言葉、否定表現の言い換え、PREP法などを用いた分かりやすい伝え方 |
| 6 | 報告・連絡・相談(ホウレンソウ) | 報告・連絡・相談それぞれの目的とポイント/悪い情報ほど早く伝える重要性/緊急度に応じた連絡手段の選び方 |
複数のカリキュラム例を紹介しましたが、どれか1つに絞る必要はありません。自社の課題感に合わせて組み合わせることも可能です。
同じ新入社員研修でも、必要な内容は企業によって異なります。マナーの定着に課題を感じているのか、マインドの部分でつまずきやすいのか、あるいはコミュニケーション面での相談が多いのかによって、重点を置くべきカリキュラムは変わってきます。自社が新入社員に求める人物像や、現場の管理職・先輩社員が日ごろ感じている課題感をもとに、優先順位をつけて選ぶことをおすすめします。
複数テーマを組み合わせるメリット
複数テーマを組み合わせるデメリット
研修を組み立てる際は、目的やテーマを明確にしたうえで「実施可能な日数に合わせて、扱う範囲や構成を調整する」ことが大切です。1日だけなら、テーマを2〜3個に絞り込むことで、参加者に内容をしっかり身につけてもらえます。2日以上あれば、1日目に「マインドセット」、2日目に「ビジネスマナー」のように複数テーマを段階的に習得してもらうことも可能です。このように実施日数に応じてカリキュラムの深さや範囲を調整することが、研修効果を高めるポイントです。
リスキルで人気のあるテーマもあわせて紹介します。カリキュラムを検討する際の参考としてご覧ください。
会社の基本から仕事の仕方、ストレスマネジメント、目標設定までを1日で扱う研修です。
表情・挨拶といった基本の5原則から、来客対応、電話応対、文章コミュニケーションまでを網羅した研修です。
学生気分の払拭と、成果へのコミットメントを重視している研修です。
関係構築力や傾聴力、伝える力を重点的に扱う研修です。
社内規範や情報管理の基本を扱う研修です。
このほか、PowerPointやExcel、ロジカルシンキングなどの内容を扱う新入社員研修も用意しています。詳しくは下記からご覧ください。
新入社員研修では、社会人としてのマインドセット・ビジネスマナー・報連相・仕事の進め方・コンプライアンス・セルフマネジメントといった内容を扱うことが一般的です。それぞれの内容をなぜ研修に組み込む必要があるのかという視点で理解しておくと、自社の課題に合わせたカリキュラムの取捨選択がしやすくなります。
紹介した4つのカリキュラム例は、あくまで組み合わせの一例です。自社の新入社員の傾向や、現場から寄せられる課題感をもとに調整しながら、実践しやすい新入社員研修の内容を組み立てていきましょう。
リスキル事務局が記事の執筆・監修をしています。人材育成にまつわるお役立ち情報を分かりやすく解説します。
■社員研修のリスキルとは?
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■プロフィール
会社名:株式会社リスキル
(「リスキル」は株式会社リスキルの登録商標です。)
設立:2022年5月2日
上場市場:東京証券取引所グロース市場
■研修実績
・利用社数は年間3900社以上
・年間受講者数 前年比157%
・プロフェッショナルの講師陣300名以上在籍