「新入社員には、指示を待つのではなく自分から動いてほしい。」そう思う教育担当者の方も多いのではないでしょうか。とはいえ、座学中心の研修では受講者が眠くなりがちで、実践的な力も身に付かないと感じることもあるでしょう。そこでおすすめしたいのが、ゲームを使った研修です。楽しみながら、実務に通じる力を身に付けることができます。
この記事では、新入社員研修におすすめのゲーム型研修8選と、導入時のポイントを紹介します。
目次
新入社員研修にゲーム型研修が向いている理由は、知識を聞くだけでなく、実際に体を動かして体験できるためです。話を聞いて理解したつもりでも、実際の場面でうまく行動できるとは限りません。ゲームは、その行動を実際に試せる場になります。
座学の研修は、ビジネスマナーや業界知識を体系的に伝えるには適しています。一方で、新入社員が実務で求められる「チームで協力する力」や「相手の意図を汲み取る力」は、話を聞くだけでは身に付きにくく、実際にやってみることで初めてわかることが多いのです。
ゲーム型研修では、参加者自身が課題に取り組んだ結果が、その場ですぐに見えます。うまくいかなかった原因をすぐに振り返り、次の行動にすぐ活かせる点が、座学にはない強みです。
Before
講義を聞くだけで受け身になりがちな研修
After
自ら考え、動き、振り返る主体的な研修
新入社員研修にゲーム型研修を取り入れると、主に次の4つのメリットが期待できます。
主体性が育つ
自分で考え行動する経験を積める
チームワーク向上
協力しなければ達成できない課題設計が多い
心理的な壁が下がる
ゲームを通じて自然に会話が生まれる
失敗から気づきを得られる
安全な環境で試行錯誤を経験できる
配属前の同期同士は、まだ打ち解けていないことが多いです。そんな時期でもゲームという共通の目的があれば、自然に会話が生まれやすくなります。座学よりも早い段階で関係性を築けることは、その後の定着率にもよい影響を与えます。
ここでは、新入社員研修で取り入れやすいゲーム型研修を8つ紹介します。それぞれねらいが異なるため、研修の目的に合わせて選ぶことが大切です。
| 研修名 | 主なねらい |
|---|---|
| マシュマロチャレンジ研修 | 短時間での協働と試行錯誤 |
| ブリッジゲーム研修 | チームでの試行錯誤と役割分担 |
| 深海探索艇からの脱出ゲーム研修 | 情報共有と論理的思考 |
| コンセンサスゲーム研修 | 合意形成力とわかりやすい説明力 |
| ワードスパイゲーム研修 | 観察力と伝える力 |
| ボイス・デッサンゲーム研修 | 描写力と正確に伝える力 |
| フィールドマップ・ミッション研修 | 情報整理と合意形成 |
| ペーパータワー研修 | 計画力とチームワーク向上 |
本研修は、乾燥パスタやテープ、マシュマロなど限られた材料を使ったマシュマロチャレンジを通じて、チームでの協働を体験する研修です。計画を立てすぎるチームより、早い段階から試作を繰り返すチームのほうが良い結果を出しやすいというゲームの性質を通じて、実務にも通じる気づきを得られます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| チーム編成 | チームごとに材料を配布して実施 |
| 材料 | 乾燥パスタ、テープ、マシュマロなど |
| 制限時間 | 18分程度(所要時間の目安は1.5時間) |
| ねらい | 完璧な計画より、早い段階からの試作の繰り返しを体感する |
この研修で身に付くのは、チームでコミュニケーションを取りながら役割を分担し、試行錯誤しながら目標達成を目指す力です。マシュマロチャレンジでは、完璧な計画よりもまず試作を始め、誰が何を担当するかを相談しながら、思うように進まなければその場で役割や進め方を見直してタワーを組み立てます。こうした体験を通じて、まずやってみる姿勢を持ち、声を掛け合いながら役割を担って目標に向かって動くことの重要性を体感できます。
ブロックを使って自立する橋を組み立てるゲームを通じて、限られたリソースの中で試行錯誤を重ねる体験をする研修です。他チームと橋の長さや耐久性を競う過程で、チームで一つの成果を作り上げる感覚を味わいます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料 | ブロック |
| ルール | 手を触れず自立させること |
| 制限時間 | 所要時間の目安は1時間 |
| 評価基準 | 橋の長さ・耐久性を他チームと競い、優勝チームを決定 |
この研修で身に付くのは、限られたリソースの中で、周囲と関わりながら試行錯誤を重ねる力です。新入社員は、初めて取り組む業務ほど「正解」が分からないまま、つい一人で抱え込んで進めがちです。限られたブロックという資源の中で、自然と得意なことを見つけて役割を分け合い、時には他者の意見を取り入れて組み方を変えながら、何度も組み直しては理想の形に近づけていく。こうして試行錯誤を重ねる過程で、役割分担力や柔軟性が自然と鍛えられていきます。
この研修では、海底地震で浸水した探索艇からの脱出を目指すシミュレーションゲームを通じて、断片的な情報を口頭のみで共有し合う難しさを体験します。参加者は地形学者や通信士などの役割を担い、極限状況の中でチームとして意思決定を下す感覚を体感します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| チーム編成 | 4人1組。地形学者・通信士などの役割を分担 |
| 設定 | 海底地震で浸水した探索艇からの脱出を目指すシミュレーション |
| 制限時間 | 40分程度(所要時間の目安は1.5時間) |
| 攻略課題 | 物資選択・謎解き・遭難信号の3つ。情報共有は口頭のみ |
この研修で身に付くのは、断片的な情報を正確に伝え合い、優先順位を見極めながらチームとしての結論を導く力です。個々が持つ情報を漏れなく共有し、限られた時間で何を優先すべきかを判断し、メンバー間の意見をすり合わせて合意形成する。この一連のプロセスを通じて、正確な情報伝達力・優先順位づけ力・チームの合意形成力が実践的に鍛えられます。
ロケットの故障により月面に不時着したという設定のもと、母船への帰還に必要なアイテムの優先順位をチームで決定していく「NASAゲーム」を通じて、合意形成のためのコミュニケーション力を鍛える研修です。多数決を禁止し、対話のみで一つの結論を導き出す過程を体験します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 設定 | ロケット故障により月面に不時着した宇宙飛行士という想定 |
| 進行 | まず個人で優先順位と理由を考え、その後グループで議論して合意形成 |
| ルール | 多数決は禁止。対話のみでチームとしての結論を導く |
| 制限時間 | 所要時間の目安は1.5時間 |
この研修で身に付くのは、多数決に頼らず、対話を重ねてチームとしての結論を導く合意形成力です。個人で考えた優先順位をグループで共有し、異なる意見を持つメンバーと議論を重ねる過程で、協調性と問題解決力が自然と磨かれます。さらに、決定した優先順位とその理由を他チームに分かりやすく説明する準備を通じて、論理的に伝える力も向上します。
会話を通じてチーム内に紛れたスパイ役を見つけ出すゲームを通じて、相手の発言に潜む違和感を見抜く観察力を体験する研修です。スパイだけ異なるキーワードを持っているため、会話を重ねる中で、自分の説明力と相手を見る目の両方が試されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 配布物 | 参加者に1人だけ異なるキーワードを配布 |
| ルール | キーワードを直接口にせず、会話で手がかりを探る |
| 制限時間 | 所要時間の目安は1時間 |
| ゴール | 話し合いでスパイ役を特定する |
この研修では、観察力・論理的説明力・臨機応変な対話力が身に付きます。会話の中で相手の説明に潜む矛盾やズレを観察しつつ、自分自身も疑われないよう根拠をもって語り、相手の反応を見ながら伝え方を調整することが求められます。こうしたやり取りの積み重ねが、観察力・説明力・状況対応力を実践的に鍛えます。
この研修では、視覚・聴覚・触覚で感じたことを言葉だけで伝えるゲームを通じて、正確に伝える難しさを体験します。全体像を伝える「引き」と細部を伝える「ズーム」の使い分けを習得したうえで、チーム対抗で伝える力を試すことで、自分の伝え方のクセにも気づけます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| テーマ | 視覚・聴覚・触覚で感じたことを言葉だけで伝える |
| 構成 | ①描写のコツを確認するワーク ②説明役・聞き手に分かれた対抗戦 |
| 制限時間 | 所要時間の目安は1時間 |
| ルール | 図やジェスチャーを使わず、言葉だけで対象物を伝える |
ここで身に付くのは、言葉だけで正確に伝える力です。図やジェスチャーを使わず言葉だけで説明するこのゲームでは、曖昧な表現がそのまま伝達ミスにつながるため、参加者は自然と具体的で誤解のない言い回しを選ぶようになります。また、自分の説明が相手にうまく伝わらない場面を通じて、普段気づきにくい自分自身の伝え方のクセにも気づくきっかけになります。
断片的な情報をもとに地図を完成させ、そこから謎を解き明かすゲームを通じて、情報を読み解きながら合意形成する体験をする研修です。「地図作成」と「謎解き」という2つのミッションを通じて、チームでの情報共有の難しさを体感します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ミッション構成 | ①断片的な情報から地図を完成させる ②完成した地図で謎解きに取り組む |
| 情報配布 | メンバーごとに異なる情報(SNS投稿・Web記事など)を配布 |
| 制限時間 | 所要時間の目安は1時間 |
| ルール | 口頭で情報を共有しながら地図を完成させる |
情報を読み解き、共有しながら合意形成を進める力が身に付きます。メンバーそれぞれが違う情報を持っているため、自分の情報を正しく伝え、他のメンバーの情報とすり合わせなければ地図は完成しません。さらに、限られた時間の中で情報がすべて出そろわないまま判断を下さなければならない場面もあり、チームとして意見をまとめ、その時点でのベストな結論を選び取る意思決定力も求められます。
紙だけを使って、制限時間内に最も高いタワーを建てることを目指すゲームを通じて、チームワークの本質を体感する研修です。実践と振り返りを2回繰り返すことで、成功するチームとうまくいかないチームの違いを自分たちで発見し、計画力とコミュニケーションの重要性に気づきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 材料 | 紙(配布された枚数のみ使用) |
| ルール | 制限時間内に自立する最も高いタワーを作る |
| 構成 | ①実践1回目 ②振り返り(成功パターン・失敗パターンの分析))③追加ルールでの実践2回目 |
| 制限時間 | 所要時間の目安は1.5時間 |
この研修では、計画と実行を繰り返しながらチームで成果を出す力が身に付きます。1回目の実践後、成功したチームとうまくいかなかったチームの違いをチームごとに振り返り、その学びを2回目の実践に活かすことで、作戦タイムでの計画力と制作タイムでの円滑なコミュニケーションの両方が実務にも通じる形で鍛えられます。
また、今回紹介したようなゲームを複数組み合わせ、1日かけて実施するチーム型の研修もあります。下記もあわせてチェックしてみてください。
ゲーム型研修を新入社員研修に取り入れる際は、次の3つのポイントを押さえておくと効果を高めやすくなります。
とくに重要なのが、ゲームそのものよりも振り返りの質です。ゲーム終了後に「なぜうまくいったのか」「なぜつまずいたのか」を、チームで言語化する時間を設けます。そうすることで、体験を実務に応用できる気づきへと変換できます。
新入社員研修にゲーム型研修を取り入れると、座学だけでは伝わりにくいチームワークやコミュニケーションの大切さを、体験を通じて実感してもらえます。今回紹介したマシュマロチャレンジや深海探索艇からの脱出ゲーム、ブリッジゲームなどは、それぞれねらいが異なります。研修の目的に合わせて選ぶことが重要です。
導入する際は、新入社員がゲームを楽しむことだけをゴールにせず、振り返りを通じて業務への気づきにつなげる設計を意識してみてください。
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