OJT研修の実施を検討する際、「実際に受けた人がどう感じるのか」と気になる研修担当者は多いでしょう。研修の内容を検討する段階で、実際に受講者がどのような感想を持ったのかを知っておくと、自社に合った内容や実施形式を選びやすくなります。
本記事では、実際にOJT研修を受講したトレーナーの感想を中心に、良かった点や気になった点を紹介します。あわせて、トレーニー側が受講した場合の声や、感想から見えるOJT研修の効果、OJT研修設計のポイントについても見ていきます。
目次
OJT研修とは、OJT担当者(トレーナー)が、実際の業務を通じて後輩や新人を育成するために必要な考え方やスキルを身に付ける研修です。OJTは「On the Job Training」の略で、現場で実務を行いながら知識やスキルを習得させる育成方法です。指導する側を「トレーナー」、指導を受ける側を「トレーニー」と呼びます。

自己流の指導に頼ってしまうと、トレーナーごとに教える内容や質にばらつきが出やすくなります。たとえば、ある先輩は細かく手順を教える一方、別の先輩は「見て覚えて」というスタンスであれば、新人が受け取る情報量は大きく変わってしまいます。
OJT研修では、育成計画の立て方や指示の出し方、フィードバックの方法などを体系的に整理し、誰が担当しても一定の質でOJTを進められるようにすることをねらいとしています。実施して終わりにせず、感想やアンケートをもとに内容を見直していくことで、現場の実態に合った育成へとつなげやすくなります。
OJT研修の内容については、下記の記事で紹介しています。
ここからは、実際にOJT研修を受講したトレーナーの感想を紹介します。
以下で紹介する感想は、実際に受講後のアンケートでいただいたコメントをもとに、個人が特定できないよう表現を加工しています。
もっとも多く挙がったのが、指示の出し方やコミュニケーションの取り方に関する気づきです。
OJTトレーナーを任されてから抱えていた悩みを、この研修で解消できました。ワークで他の受講者の考え方に触れ、自分になかった視点にも気づけました。
抽象的な指示ではなく、5W2Hを意識して具体的に伝えることの大切さに、あらためて気づかされました。
叱り方に苦手意識を持っていた受講者からは、次のような感想もありました。
叱ることがずっと苦手でしたが、人ではなく事実に注目して話すことで、次の失敗を防げると感じました。
このほかにも、「褒める」「承認する」といったポジティブな関わり方についての気づきも多く挙がりました。日頃、業務の指示や進捗確認に意識が向きがちな中で、相手の存在や行動そのものを認める大切さにあらためて気づいたという声は、業種を問わず共通して見られる傾向です。
ここまでは指示の出し方や褒め方・叱り方といった、具体的なスキル面での気づきを紹介しました。これらに加えて、自分自身の指導スタイル全体を振り返る機会になったという感想も多く見られます。
OJTトレーナーの役割は、技術的な指導だけでなく、マインド面でのサポートも大事だとあらためて感じました。
自分ではある程度できていると思っていましたが、研修を受けて、対応が抜けていたところや不十分なところに気づくことができました。
このように、OJT研修は個別のスキルだけでなく、指導スタイル全体を客観的に振り返るきっかけにもなっているという感想が目立ちます。すでにOJTを経験している受講者であっても、あらためて基本に立ち返ることで、新たな気づきを得られているようです。
また、目標設定が苦手だったという受講者からは、次のような感想も見られました。
目標を立てること自体が苦手なので、まずは自分の目標を見直したいと思いました。ゆくゆくは新人の目標設定も指導できるようになりたいです。
このように、自分自身の課題を見つめ直すきっかけになったという声も少なくありません。
こうした感想を踏まえると、OJT研修の前後で指導に対する意識に変化が見られることがわかります。「なんとなく」で行っていた指導が、研修を通じて言語化され、根拠を持って説明できるようになったという声は特に多く見られます。
Before
自己流でなんとなく指導していて、伝えたつもりで終わっていた
After
5W2Hや相手の理解度を意識し、伝わることを目的に指導できるようになった
Before
叱ることに苦手意識があり、指摘を後回しにしてしまっていた
After
人ではなく事実に注目して、タイムリーに伝えられるようになった
良かった感想が多い一方で、改善につながる意見も寄せられています。ここでは、よく挙がる声とその背景、そして解決のヒントをあわせて紹介します。
アンケートでは「満足・良かった」という回答が9割以上を占める研修が多いものの、残り1割弱の中には、研修の改善に役立つ貴重な意見が含まれています。良かった感想だけでなく、こうした少数意見にも目を向けることが、研修の質を底上げするポイントです。
| よく挙がる意見 | 背景として考えられること |
|---|---|
| 内容が基本的で、もう少し難易度を上げてほしい | すでにOJTの経験があるトレーナーにとっては、初歩的な内容に感じられる場合がある |
| 出社を前提とした内容だったので、リモートワーク下でのOJTにも触れてほしかった | 在宅勤務が中心の職場では、対面を想定した指導法だけでは対応しきれない場面がある |
| グループワークの時間が短く感じられ、意見交換が十分にできなかった | 限られた研修時間の中に多くの内容を詰め込むと、ワークに割ける時間が圧迫されやすい |
こうした意見は、事前の設計次第である程度解消できます。
改善点への対応ヒント
気になった点でも、事前に工夫することで防げるケースは少なくありません。特に、実施形式やワークの進め方といった運営面の課題は、担当者側の準備次第で改善しやすい部分です。感想を「受けっぱなし」にせず、次回の研修設計に反映していく姿勢が、OJT研修の効果を高めることにつながります。
OJT研修は、トレーナーだけでなくトレーニー向けにも実施することができます。トレーナーだけが指導方法を学んでも、教わる側が「指示の受け方」や「質問の仕方」を知らなければ、OJTがうまくかみ合わないことがあります。教える側・教わる側の双方が同じ前提を持っておくことで、指導のすれ違いを防ぎやすくなります。ここでは、トレーニーが受講した場合にどのような声が挙がるのかを紹介します。
トレーニー向けの研修では、OJTを受ける側として、指示の受け方や質問の仕方、報連相の基本などを学びます。「わからないことをそのままにしない」「受け身にならず自分から動く」といった、社会人としての基本姿勢を扱う内容が中心です。
新入社員研修の一部として実施されるケースも多く、配属直前のタイミングで受講することで、配属後の不安をやわらげる効果も期待できます。
トレーニー向けの研修では、社会人経験の浅い受講者から、指示の受け方や質問の仕方といった具体的なスキルに関する感想が多く挙がる傾向があります。
受け身ではなく、主体的に動くことの大切さを学ぶことができました。
ケーススタディを通じて、指示を受けた際にどう質問すればよいのか、具体的にイメージできました。
トレーニー向け研修についてより詳しく知りたい方は、以下の研修ページもあわせてご覧ください。
これまで紹介してきた感想を踏まえると、OJT研修を効果的に設計するためのポイントが見えてきます。良かった感想を再現しつつ、気になった感想を先回りして解消しておくことが、満足度の高い研修につながります。
受講者のレベルに合わせる
初めてトレーナーになる方と、経験のある方とで内容の深さを調整する
事例を調整する
受講者の職場環境に合わせて、出社前提・リモートワークなど扱う事例を選ぶ
トレーニーにも研修を行う
トレーナーだけでなくトレーニー側にも研修を行い、教える側と教わる側の認識を揃える
また、トレーナーの指導力をさらに高めたい場合や、トレーナーとトレーニーを一緒に受講させたい、OJTを実施に行った後の振り返りをしたい場合は、以下のような研修も活用できます。
OJT研修の感想を見ていくと、トレーナーの多くが、指示の出し方やコミュニケーションの取り方について新たな気づきを得ていることが分かります。一方で、内容の難易度や時間配分など、改善につながる声も一定数寄せられており、こうした意見を設計に反映していくことが、研修の効果を高める鍵になります。
トレーニー向けの研修とあわせて実施すれば、教える側・教わる側の双方が同じ認識を持ってOJTに臨めるようになります。実際の受講者の声を参考にしながら、自社に合ったOJT研修の内容を検討してみてください。
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